地震で屋根の瓦が落ちた|地震保険で直せるの?お隣の車は?地震保険とは?注意点は?

地震大国と言われる日本では数年ごとにどこかで大きな地震が起きています。

  • 1995年 阪神・淡路大震災
  • 2000年 鳥取県西部地震
  • 2001年 芸予地震
  • 2004年 新潟県中越地震
  • 2008年 岩手・宮城内陸地震
  • 2011年 東日本大震災
  • 2016年 熊本地震
  • 2016年 茨城県北部の地震
  • 2018年 北海道胆振東部地震

大きな地震で屋根の瓦が落ちてしまうことがあります。

屋根全体が落ちたりお隣の車を壊してしまうこともあるでしょう。

火災保険では地震が原因の損壊は補償されません

この記事では、地震で屋根が壊れたとき地震保険で直せるのかということについて解説します。お隣の家の車を壊した時は?地震保険とは?注意点は?といった疑問も解説しています。

地震保険で屋根は直せるのか?|屋根の瓦が落ちた

地震保険で屋根は直せるのか、直せるなら保険金はどのくらい受け取れるのかについて解説していきます。

地震保険で屋根は直せるのか?

屋根から落ちて割れた瓦の写真
地震保険で屋根は直せるのか

結論から言うと、地震保険に加入していれば、屋根の破損で保険金が下りる可能性があります

地震保険では、ご自宅の主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)が地震が原因で「全損」「大半損」「小半損」「一部損」となった場合に保険金が下ります。以下、主要構造物の損害額が時価の何%かという基準です。

  • 「 全損 」は時価の50%以上
  • 「大半損」は時価の40%以上50%未満
  • 「小半損」は時価の20%以上40%未満
  • 「一部損」は時価の3%以上20%未満

※時価とは、保険の対象と同等のものを再築または新たに購入するために必要な金額から、使用による消耗分を差し引いた金額をいいます。

※地震が原因での火災や流失の被害については別に基準があります。

地震では家全体が揺れて屋根だけでなく全体的に破損する可能性がありますので、主要構造物の損害額が大きくなる場合は屋根以外にも損害があるケースと言ってよさそうです。

保険金はいくら受け取れるのか?

地震で屋根が壊れたときに保険金がいくら受け取れるのかについて一例を見ながら解説します。

地震保険は、火災保険+地震保険というように、必ず火災保険と一緒にセットで入ります。

まず、地震保険の契約は、セットの火災保険の保険金額(支払限度額)の30~50%の範囲で設定します。

※火災保険ではご自宅の築年数などで時価を計算し支払限度額が設定されます。

ここでは分かりやすいよう、火災保険の保険金額(支払限度額)が1,000万円、地震保険を50%で設定したケースで解説します

【例】地震保険の契約内容
火災保険の保険金額が1,000万円
↓(50%で設定の場合)
地震保険の保険金額は500万円

このケースで受け取ることができる保険金の金額は認定された損害の程度によって決まります。

【例】受け取ることができる保険金の金額
全損の場合  500万円(時価限度)
大半損の場合 300万円(時価の60%)
小半損の場合 150万円(時価の30%)
一部損の場合 25万円(時価の5%)

となります。

保険金が受け取れる可能性のある屋根の破損3種

地震保険の保険金が受け取れる可能性のある屋根の破損3種について解説します。それは、

  1. 瓦の落下、ずれ
  2. 屋根全体が落ち込んだ、落ちた
  3. 雨じまいの破損

の3種です。いずれも地震が原因で起こりうるものです。

まず、瓦の落下、ずれですが、瓦屋根は主に木製でできた屋根の本体の上に重い瓦を置いている構造になっているので、地震で家全体がゆすられると、瓦がずれてしまったりひどい場合は落ちてしまいます。

次に、地震が原因で屋根全体が落ち込んでしまったり屋根そのものが落ちてしまうことがあります。

地震が原因で屋根毛落ち込んでしまった写真

この場合、屋根の本体部分が激しく損傷しているものと考えられます。

3種目は、雨じまいの破損です。雨じまいは「雨仕舞」と書きます。

雨じまいというのは、煙突や換気口、壁などと屋根とのきわの部分を言います。

地震のために瓦がずれてしまい、雨じまいの部分に瓦がない状態になったり、瓦と壁などのすき間を埋めて防水する部分(コーキング、シーリング)がはずれてすき間が大きく開いたりすることがあります。

そのままにしておくと、当然、雨漏りの原因になります。

これら3種の破損はいずれも地震が原因で起こりうるもので、地震保険の保険金が受け取れる可能性があります。

保険金の申請のしかた

地震保険の保険金の申請の流れは以下のようになります。

自身や家族の身の安全を確保したうえで、最初に保険会社に連絡をします。

地震保険の保険金の申請の流れ
  1. 保険会社に連絡し、保険適用の可能性や申請書類などを確認する
  2. 信用できる屋根修理業者に調査を依頼(被害状況の写真撮影や修理の見積を依頼)
  3. 屋根の応急処置(ブルーシート等)
  4. 保険会社に申請
  5. 保険会社が現地を調査
  6. 保険金の受け取り
  7. 業者に屋根の修理工事に着手を依頼

屋根修理の業者がすぐに到着できなさそうな場合は、屋根の応急処置(ブルーシートなど)を先にやってしまうこともあると思います。

その際には、屋根全体の写真と被害のあった部分の写真を撮っておくとその後の対応がスムーズになると思います。

ただし安全が確保できない場合は無理をせず業者におまかせしましょう。

なお、保険金の金額が修理費用に満たない場合も考えられます。

また、損害額が小さい場合などは保険の適用にならず、保険金が下りない場合もあります。

地震保険は、家の修繕費の一部、家財の買い替え、当面の生活費といった被災後かかることになる生活再建を支えるための保険という意味合いのあるものです。

下りた保険金をどのように使うかということについて縛りはありませんので、屋根修理以外の費用の必要性も総合的によく考えて修理工事の実施を決めるようにすることをおすすめします。

お隣の家の車を壊した時は?|屋根の瓦が落ちた

地震のため自宅の瓦が落下し、お隣の家の車に当たり壊してしまった、ということも考えられます。

このとき地震保険は下りるでしょうか。損害賠償の責任はあるでしょうか。

まず、地震保険は下りません

このようなケースは対象になっておりませんし、もし仮にこの車が自分のものであったとしても、地震保険では車は保険の対象になっていません。

では、車の修理費の支払いなどの損害賠償の責任はあるでしょうか?

やはりこちらの家の屋根瓦が落下してお隣の家の車が損傷したわけで、原因者がこちらですので、基本的に賠償する責任を負うことになります。

ただ、民法第717条で土地の工作物等(土地上に人工的に設置されたもの)の工作物責任を規定しており、工作物の瑕疵(かし:本来備える安全性を欠いていること)がないことが立証できた場合にはその責任を免れる、という場合があります。

民法第717条 (土地の工作物等の占有者及び所有者の責任) 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作 物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。

民法

例えば、日ごろから屋根のメンテナンスをしっかりしており、地震が起きたあと自宅以外の周辺の建物の瓦も落ちていた場合などは、被災前には屋根瓦が本来備えるべき安全性を有していたと客観的に判断され免責されるかもしれません。

熊本地震で屋根の瓦が落ちた写真

実際に判断するにあたっては個々のケースで法律の専門の方に相談する必要があります。

また、法的な根拠からの判断とは別に、これからも仲良くお付き合いをしていきたいご近所とのおつきあい上、賠償した方がよいとご自身で判断することもあるでしょう。

法的な考え方と個人的な感情とは必ずしも相容れないことがありますので、両者を総合的に考えて判断するのも一案かもしれません。

地震保険とは

地震保険の字を木のブロックでデザインした写真

地震保険について解説します。火災保険とは違うところがありますの注意が必要です。これから地震保険を契約しようと考えている方、すでに契約されているけれどもう一度よく知りたいという方に参考になると思います。

地震保険とは?

地震保険は、地震、噴火、またはこれらによる津波を原因とする損害(火災・損壊・埋没・流失)に対して保険金を受け取ることのできる保険です。

地震保険ではご自宅の「建物」と「家財」(ご自宅にある生活用動産)が対象です。「家財」を保険の対象に入れるか入れないかを選ぶことができます。

地震保険は火災保険のような家を直すための費用に保険金を充てるということもありますが、被災後かかることになる生活再建を支えるための保険(家の修繕費の一部、家財の買い替え、当面の生活費)と言えます。

加入のしかたは?

地震保険は単独では契約できません。

地震保険は火災保険に付帯する方式での契約になります。

火災保険を契約し、火災保険+地震保険というようにセットで保険会社と契約します。

地震保険はどの保険会社でも同じ内容になっています。

注意点は?

地震保険の注意点をまとめました

「地震の発生日から10日以上経過後に生じた損害は対象外」ということもありますし、保険金が下りるまで一定の時間がかかる可能性があります。

被災後の当面の生活費に充てるという性質もある保険ですので、被災した場合にはできるだけ早く保険金申請の対応に動くことが必要と思われます。

地震保険について詳細は以下のサイトが参考になります。

屋根を守る地震への備えは何ができる?

住宅街に設置された三階建ての津波避難タワーの写真

※住宅街に設置された三階建ての津波避難タワー。常に防災意識を持って備えを。

地震保険は、建物の主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が時価額の3%以上でないと保険金が支払われません。

また、屋根瓦が落ちてお隣の家の車を壊してしまったときなどにも対象になりません。

これらに対する対策はどうすればいいでしょう?

この記事の最後に、こういったことへの対策を含めた、ご自身の屋根を守る地震の備えとしてできることを以下にまとめました。

【屋根を守る地震への備え】日ごろからの点検とメンテナンス
屋根の定期的点検と適切なメンテナンス
  • 瓦の割れやひび割れ、浮きなどがないか?あれば早急に修理。
  • 通常のメンテナンス:瓦の清掃、コーキングの補修など
  • 高所で危険な作業なので信用できる屋根修理業者に依頼する。

瓦の割れやひび割れ、浮きなどがあると地震発生の際、瓦のずれや落下につながりやすいです。

また、通常のメンテナンスとして、瓦の表面の清掃をし、藻やコケなどの付着物を取り除くことで瓦の劣化を防ぎ、寿命を延ばすことができます。

コーキングの補修などの防水のメンテナンスにより、水の侵入を防いで屋根の破損防止ができ、寿命を延ばすこともできます。

こういった対策で地震での瓦落下、ずれのリスクが低減できます。

なお、これらの作業は屋根という高所で行う大変危険な作業ですので、信頼できる屋根修理の専門業者にご依頼ください。

2023年5月9日住宅知識,屋根修理,地震保険,屋根,