FRP防水の再施工|FRP防水の塗り替えとの違いや再施工が必要な症状などを詳しく解説!
「FRP防水の再施工」と「塗り替え」には、どんな違いがあるかご存知ですか?
ベランダやバルコニーの防水に使われるFRP防水は、定期的なメンテナンスが必要です。
しかし、劣化の症状によっては「再施工」が必要なケースもあります。
この記事では、FRP防水の再施工と塗り替えの違いや、それぞれが必要になる症状、再施工の手順まで詳しく解説します。
FRP防水|再施工と塗り替えの違いとは?
FRP防水工事には「再施工」と「塗り替え(トップコート塗り替え)」の2種類があります。
呼び方は業者によって異なる場合もありますが、一般的には次のような違いがあります。
FRP防水の再施工とは?
「FRP防水の再施工」とは、既存のFRP防水層をすべて撤去し、新たにFRP防水層を作りなおす工事のことを指します。
FRP防水は、ベランダやバルコニーなどの床面に多く仕様されていて、優れた耐久性と防水性を誇ります。
しかし、経年劣化や施工不良が原因で、防水層自体に不具合が起こった場合は、再施工が必要になることがあります。
FRP防水の塗り替えとは?
一方、「FRP防水の塗り替え」は、防水層そのものではなく、その表面を保護している「トップコート」を塗り直す作業を指します。
多くの住宅では、ベランダやバルコニーの床面がグレーなどで仕上げられていますが、それがトップコートの色です。
トップコートは、紫外線や摩擦から防水層を守る役割があるものの、防水性能自体はありません。
このトップコートが剥がれたり、色褪せたりした場合は、早めの塗り替えが必要です。
FRP防水の再施工が必要になる主な理由
FRP防水の再施工が必要になるケースは、大きく分けて「経年劣化」と「施工不良」の2つです。
経年劣化による再施工
FRP防水層は施工直後、トップコートによって紫外線や風雨から守られていますが、時間が経つとトップコートが劣化し、ひび割れや色あせが発生します。
これを放置すると防水層が露出し、劣化が進んでしまい雨漏りにつながる可能性もあります。
こうした事態を防ぐためには、トップコートの塗り替えなど、定期的なメンテナンスが欠かせません。
劣化が進行してしまった場合には、防水層を一度撤去し、再施工が必要になることもあります。
施工不良による再施工
防水工事には専門的な知識と経験が必要ですが、近年では技術不足による施工不良で、早期に不具合が起きるケースもあります。
施工から2~3年で剥がれや膨れが発生し、再施工が必要になることもあります。
こうしたトラブルを防ぐには、業者選びがとても重要です。
防水工事の実績が豊富で、信頼できる業者を選ぶようにしましょう!
こんな症状が出たらFRP防水の再施工が必要!
以下のような症状が見られる場合、トップコートの塗り替えでは対応できず、FRP防水そのものの再施工が必要になる可能性があります。
雨漏りしている
雨漏りが発生している場合、防水層に亀裂や破れなどの重大な不具合が起きている可能性が高いです。
この状態では、トップコートの塗り直しだけでは改善できないため、FRP防水の再施工が必要になります。
下地からのひび割れ・亀裂がある
FRP防水は、施工時に合板などの木製下地の上に施工されています。
その継ぎ目部分に沿って直接的なひび割れがある場合は、下地材自体にひびが入っている可能性があります。
防水層の下からひび割れが起きているため、根本的な修復が必要となり、再施工が必要です。
表面に浮きがある
ベランダやバルコニーの床面に、プクッと膨れたような"浮き"が見られる場合は、内部に水分や湿気が入り込んでいる可能性があります。
また、防水層や下地が剥がれているケースも考えられるため、このような症状が出ている場合は再施工を検討しましょう。
広範囲に表面の剥がれがある
床面の広い範囲にわたって表面が剥がれている場合は、劣化の進行具合によって対応方法が変わります。
軽度であればトップコートの塗り替えで対応できる場合もありますが、状態によってはFRP防水そのものの再施工が必要になることもあります。
この判断は難しいため、専門の防水業者に調査を依頼するのがおすすめです。
こんな症状の場合はFRP防水の塗り替えでOK
すべての劣化症状が再施工を必要とするわけではありません。
以下のような軽度の症状であれば、FRP防水の塗り替え(トップコートの塗り直し)だけで対応できます。
色あせ
ベランダやバルコニーの床面は、紫外線や日々の摩擦によってトップコートが徐々に劣化し、色あせが起こることがあります。
色あせのみの場合は、防水層に問題がないため、トップコートの塗り替えだけで対応可能です。
表面のヒビや剥がれが少しある
床面に不規則な小さなヒビや、ごく一部の剥がれが見られる程度であれば、劣化の初期段階と考えられます。
このような状態であれば、塗り替えのみで防水層の保護効果を回復できます。
経年劣化によるメンテナンス時期
トップコートの耐用年数は一般的に10年程度とされています。
築10年、あるいは前回の塗り替えや再施工から10年ほど経過している場合で、特に大きな不具合がない場合は、塗り替えだけでメンテナンスすることが可能です。
FRP防水の再施工の手順
FRP防水の再施工は、以下のような流れで行われます。
現場の状況によって多少異なることもありますが、基本的な工程を紹介します。
1│現状の確認
まずは、既存のFRP防水層の状態を確認します。
もし、完全に破れている場合は、既存の防水層をすべて撤去して、再施工を行います。
状態が良い場合は、既存の防水層の上に新たなFRP防水層を重ねることも可能ですが、基本的には下地に合板を張ったほうが、より確実な防水性能を得られます。
2│高圧洗浄
施工前に、床面の汚れや排水溝の詰まりを取り除くために、高圧洗浄を行います。
3│合板を張る
床面が乾燥したら、合板を張ります。
合板の継ぎ目はひび割れの原因に・・・また、ビスのわずかな隙間から雨水が浸水する可能性があるため、すべてコーキングで隙間埋める作業を行います。
4│ケレン(削り)
電動工具などで防水面を削る「ケレン」作業を行います。
これにより、施工面との密着度が高まり、剥がれにくくなります。
5│プライマーを塗る
FRP専用のプライマーを塗布します。
この工程により、FRP防水層と下地との密着性が向上します。
6│FRP防水層を作っていく
プライマーが乾いたら、いよいよFRP防水層をつくっていきます。
まず、床面や立ち上がり部分に合わせてカットした「ガラスマット」を敷きます。
その上からポリエステル樹脂を塗り、ガラスマットに浸透させながら、内部の空気をしっかり抜いて密着させます。
この工程を1回行うと「1PLY(ワンプライ)」、2回行うと「2PLY(ツープライ)」と呼ばれ、耐久性が高くなります。
7│トップコートの塗装
FRP防水層が乾燥したら、仕上げにトップコートを塗布します。
トップコートは1回で終わる場合もあれば、2回塗ることもあります。
2回塗りのほうが保護力は高まりますが、厚塗りしすぎると硬化不良やひび割れの原因になるため、適切な量で施工することが重要です。
まとめ
今回は、FRP防水の再施工について詳しく解説しました。
最後にポイントをまとめます。
- FRP防水の再施工とは、既存の防水層を撤去して新たに施工し直す工事のこと
- FRP防水の塗り替えとは、防水層の表面を保護しているトップコートを塗り直す作業のこと
- 再施工が必要になる原因は、紫外線による劣化や施工不良など
- 雨漏り・浮き・下地からのひび割れや亀裂がある場合は、再施工が必要
- 色あせ・経年劣化・軽度なヒビや剥がれであれば、塗り替えだけで対応可能な場合も
症状に合わせた適切な対応を行うことで、防水性能をしっかり維持することができます。
迷ったときは、経験豊富な防水業者に相談しましょう!