屋根の葺き直し|施工方法・葺き直しできない瓦まで簡単に解説!
葺き直し(ふきなおし)とは、元々ある瓦を利用して、屋根の下地を補修する工事のことをいいます。
大体の相場は、足場込みで95万円〜です。
2019年の台風被害により、屋根の職人不足が浮き彫りとなり、現在では屋根修理は相場よりもだいぶ上がっているのが現状です。
屋根の葺き直しって何?
瓦は耐久性がどの屋根材よりも高く、耐用年数も40年〜60年以上と非常に長いです。
しかし、瓦周辺の部材(防水紙・漆喰など)も同じくらい耐久性があるかというとそうではありません。
瓦に比べて短い約20年くらいで機能が劣ってしまいます。
瓦の耐用年数が長いから大丈夫と安心していると、防水紙が劣化していることに気づかず、雨漏りを引き起こす可能性もあります。
そのため、瓦周辺の部材を丸ごと変えて、瓦はそのまま再利用しようというのが葺き直しという工事です。
葺き直しをすることにより、雨漏りの予防、小動物の侵入、屋根の強度や耐震性も上がるのでオススメです。
葺き直しができるのは、瓦のみ!
葺き直しは瓦のみに限定された工事です。その理由として瓦の耐用年数は50〜60年と長く、瓦が欠けるなどの瓦自体の破損がなければ、ほぼ半永久的に使える屋根材として優秀な素材です。
何ヶ所か破損があったとしてもその箇所の瓦のみ交換すれば、そのまま使い続けることができます。対して、他の屋根材は瓦ほどの耐用年数はありません。
もし、他の屋根材で葺き直しを行った場合、耐久性がなくなった屋根材をまた使うことになるので、屋根材の下を貼り替えたとしてもあまり意味がありません。
そのため、葺き直しができるのは瓦のみとなります
葺き直しは15年〜20年くらいを目安に!!
大体15年〜20年くらいを目処に葺き直しを考えましょう。
理由としては、瓦周辺の部材(防水紙・漆喰など)の耐用年数が20年前後くらいなので、その頃くらいから葺き直しを検討、点検されるとよいと思います。
また、ご自身が住んでいるお家の屋根がどんな状態かというのは、お客様自身では見ることが難しい部分です。
今、どういう状態かだけでも見てみたいという方は無料で調査してくれる業者がありますので、利用してみましょう。
故意に屋根材を破損させたり、雨樋を壊したり、元から壊れていたかのように装い「ここが壊れているので修理しましょう」と提案する悪い業者が増えているようです。
そのため、業者選びは慎重に行いましょう。
屋根の葺き直しが必要なサインとは?
無料調査してくれる業者を利用してみましょうと言いましたが、実際に業者に調査してもらっても、どんな状態なら修理が必要かというのは分からないと思います。
そんな方のために屋根の葺き直しが必要なサインをまとめたので、見てみましょう!
下地の劣化
葺き直し必要度:レベル3
下地とは【 野地板・防水紙(ルーフィング)・桟木・漆喰 】のことですが、この下地にも耐久性というものがあります。
下地は開いてみないと分からないですが、大体、20年ほどで劣化し始めてしまいます。
その頃に外の瓦に問題がなくても中の下地に何かしらの劣化が発生している可能性がありますので、一度、調査・点検をすることをオススメします。
棟、瓦のズレ
葺き直し必要度:レベル4
台風などの強い風、または地震などの自然災害による影響で棟や瓦がズレてしまうことがあります。
ズレたまま放置していると、屋根から瓦の一部が落ちしてしまう原因になりかねません。
人が歩いている時に瓦が落ちたら、とても危険です。
★ POINT ★
ズレた瓦が風で落ちてしまい、通行人に当たってしまった、隣家に当たってしまった場合などその責任は家主の維持管理不足になるため、個人の賠償責任になります。
落下しそうな状態であれば早急に処置をされた方がよいかと思われます。※地震、台風など自然災害によるものは個人の賠償責任にはならないです。
雨漏り
葺き直し必要度:MAX
雨漏りをしている状態で外の瓦に破損などの問題が見つからない場合、瓦の下の野地板・防水紙(ルーフィング)・漆喰のいずれかに原因がある可能性が高いです。
このような場合は、早急な対応が必要です。
葺き直しができない瓦がある!?
実は全ての瓦が葺き直しできるわけではありません!!
瓦には【 日本瓦・セメント瓦・金属瓦 】などの種類があります。
その中で、葺き直しをするメリットがないといえる瓦が『 セメント瓦 』と『 金属瓦 』です。
セメント瓦は、モルタルという素材で作られており、その表面に防水塗料を塗っているため、葺き直しする際に放水塗料の塗り直しも必要となります。
その場合、通常の葺き直しの費用にプラスで塗り替え費用も発生するので、葺き替えを行った方がコスト的に安価になる可能性の方が高いです。
金属瓦は、どんなに丁寧に扱っても瓦を取り外す際に瓦が変形してしまう可能性が高いため、葺き替えをオススメします。
葺き直しの施工方法
瓦の撤去と清掃
漆喰などを剥がして、屋根に設置している瓦を全て取り外していきます。
瓦は再利用するので、割れたりしないように丁寧に扱います。
下地や瓦などの取り外しと清掃を行います。
下地の設置または補修
野地板の状態をみて、部分補修 or 増し張り or 交換した方がいいのかを判断し、臨機応変に対応します。
野地板とは、瓦やスレートなどの屋根材の下地になる板のことを言います、業者さんによってはコンパネなどと呼ぶ場合もあります。
屋根は、垂木・野地板・防水紙・屋根材がワンセットで機能しています。その中間にあるのが野地板で、野地板がなければ、防水紙・屋根材を固定することができません。
防水紙貼り・瓦桟木の設置
雨からお家を守ってくれる防水紙(ルーフィング)を設置します。
その後、瓦を取り付けるために必要な桟木(さんぎ)を一定間隔で設置します。
防水紙(ルーフィング)は、雨からお家を守ってくれる役割を持っています。
多くの場合、このルーフィングが劣化したり、穴が開いたりすると、そこから水が入り、雨漏りに繋がります。
桟木(さんぎ)は、細長い角材で瓦を取り付ける時に桟木に引っ掛けたり、瓦を留めるために必要な部材です。
瓦の葺き直し
一度取り外した瓦を屋根に敷き詰めていきます。
壊れている瓦がある場合は、同じ瓦を準備させていただきます。
一つ一つ丁寧に設置していきます。
屋根の葺き直しは、ほとんど廃材が出ないため、環境に優しいです。
また、廃材処理費を抑えることができ、お客様へのご負担も軽くできるのでおすすめです。
仕上げ
仕上げに棟瓦(むねかわら)に漆喰を塗っていきます。
漆喰を塗ることにより、棟の瓦が固定され、棟部分からの雨水が入ることを防止してくれます。
棟の部分は、いくつもの瓦が重なっているため、銅線を結び、さらにしっかりと固定します。
最後に
今回は、葺き直しについてでしたが、外観の瓦はこのままで修理したいという方にはとても理想的な工事方法だと思います。
屋根の劣化は見えにくい場所ではありますが、【 見えないから・分からないから・何も不具合がないから 】と放置していると、いつか何か起きた時に困ってしまいます。
また、何か起きたときの修理となると莫大な費用がかかる可能性もあります。
そうなる前に事前にメンテナンスをすることで最悪な状況は回避できますので、定期的な調査をオススメします。