ウレタン防水とFRP防水を徹底比較|汎用性の高いウレタン防水と性能が高いFRP防水

ウレタン防水とは何か?

ウレタン防水

ウレタン防水は、ウレタン樹脂を使用した防水方法のことです。

ウレタン樹脂は、耐久性に優れており、防水材料としても優れた性能を発揮します。

ベランダやバルコニー、屋上などの防水として利用されており、複雑な形状でも施工が可能なため、多くの住宅で利用されています。

「密着工法」と「通気緩衝工法」

ウレタン防水には「密着工法」と「通気緩衝工法」の2つの工法があります。

密着工法とは、下地にそのままプライマーなどを塗り重ねる工法で、下地に水分が含まれていない場合に利用されます。

通気緩衝工法とは、通気緩衝シートという下地の影響を受けないようにするためのシートを重ねてから、ウレタン塗料を塗り重ねる工法です。

脱気盤で湿気などの水蒸気を排気させることができるので、下地に湿気がある場合などに利用されます。

どちらの工法で防水工事を行うかは、下地の状態次第で変わってきます。

ウレタン防水の特徴とメリット

ウレタン樹脂は、ポリウレタンとも呼ばれ、化学的に安定しており、耐久性が高いことが特徴です。

また、強度があるため、重い荷物を載せたり、人が歩いたりする場所でも使用することができます。

さらに、柔軟性があるため、建物の動きに合わせて伸縮することができ、防水性能を維持することができます。

ウレタン防水のデメリットと注意点

一方で、ウレタン防水にはデメリットや注意点もあります。

施工時の天気や温度によって硬化不良が発生する可能性があり、職人の技量の差が出やすいため、仕上がりが変わってしまいます。

また塗料が固まる(硬化)のに時間がかかるため、工期が4日〜5日と長めです。

FRP防水とは何か?

frp防水

FRP防水は、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)を使用した防水方法のことです。

FRP防水は、ガラスマットを敷いた上にポリエステル樹脂を塗り重ねて施工します。

ベランダやバルコニーの防水として利用されています。

FRP防水の特徴とメリット

FRP防水は、人が歩いたときや物を移動したときなどに発生する摩擦に耐えることができ、傷つきにくいです。

その上、軽量なため、施工時や家への負担を軽減することができます。

作業を行う工程上、硬化剤を入れて塗料を塗布するので、硬化する時間が早く、工期が1日〜2日と短いです。

FRP防水のデメリットと注意点

一方で、FRP防水にはデメリットや注意点もあります。

強度がある分、伸縮性がないので、地震などの影響でひび割れが発生しやすいです。

また、FRP防水は硬化剤を入れて、自ら熱を発生させることで工期が短くなっていますが、分量や継ぎ足しを間違えると発火の恐れがある危険なものです。

きちんと注意書きを守って施工する必要性があります。

ウレタン防水とFRP防水の比較

耐久性の比較

ウレタン防水とFRP防水の耐久性を比較すると、FRP防水は、人が歩いたときなどの摩擦(摩耗性)やFRPという耐久性と強度が高い素材を使っているという点で優れています。

さらに浴槽やプールなどの水場もFRPが使用されているため、防水性もFRP防水のほうが高いといえます。

ただ、FRP防水は振動に弱く、ひび割れが起こりやすいことが難点で、ひび割れが発生すると防水性が失われてしまいます。

そのため、木造住宅のような気温や湿度によって伸縮する住宅にFRP防水は向かないかもしれません。

その点でウレタン防水は弾力性があるため地震などの振動に強く、ひび割れが起こりにくいため、木造住宅やRC造など、どのような構造の住宅でも合わせられる柔軟性があります。

施工方法の比較

施工方法については、どちらも専門的な知識が必要ですが、ウレタン防水はウレタン塗料をコテを使って均一にする作業があるため、職人の技量が仕上がりを決めます。

一方で、FRP防水はウレタン防水ほどの技量は必要ありませんが、発火の恐れのある溶剤を使用するため、混ぜる分量など扱いに注意が必要です。

工期の比較

工期については、FRP防水のほうが硬化時間が早いため1〜2日で作業が完了します。

一方、ウレタン防水は硬化時間が天候に左右されてしまうため、4〜5日と長くなります。

価格の比較

価格については、ウレタン防水の方が比較的安価で3,000円~7,500円/㎡です。

一方で、FRP防水はガラスマットなどの材料費が必要なため、FRP防水の費用:4,000~8,000円/㎡くらいと高めです。

メンテナンスの比較

メンテナンスについては、どちらも定期的な点検や補修が必要です。

どちらもトップコートという保護材を塗っているので、トップコートの塗り替えを10年毎に行う必要があります。

耐用年数を単純に比較するとFRP防水が12〜20年・ウレタン防水が10〜14年と、FRP防水のほうが長いです。

しかし、太陽光(紫外線)の当たり方やトップコートの塗り替えメンテナンスを定期的に行っているかなど、それぞれの状況によって変わるため、耐用年数は目安として考えたほうが良いでしょう。

ウレタン防水とFRP防水が適している場所は?

ウレタン防水が適している場所

ウレタン防水は、ベランダ・バルコニー・屋上など様々な場所の防水工事に適しています。

狭い場所・広い場所・複雑な形状でも問題なく、施工ができます。

FRP防水が適している場所

FRP防水は、ひび割れが起きやすいという点からベランダやバルコニーなどの面積が小さいところが適しています。

他にも温度や湿度によって膨張したり、収縮をしないRC造のような構造の住宅が適しているのではないかと思います。

ウレタン防水とFRP防水は状況に合わせて選ぼう!

ウレタン防水とFRP防水のどちらを選ぶかは、それぞれの住宅の状況によって異なります。

業界内でも様々な見解があるようですが、リフォームの場合、既存の防水がウレタン防水の場合はウレタン防水・既存の防水がFRP防水の場合はFRP防水を行ったほうが施工不良のリスクを減らせます。

さらに下地が良い状態を保っているのか・悪い状態なのかによっても、施工方法は変わるので、プロの業者ときちんと相談したほうがいいでしょう。

施工業者の選び方

防水工事は専門性が高いため、防水専門の業者に依頼しましょう。

防水塗料を塗るという認識が広まっているようで外壁塗装や屋根塗装を行う職人でもできると勘違いされている人もいるようですが、全くの別物だと思って構いません。

もちろん塗装職人と防水職人のどちらもやっているという人もいますが、分けて考えたほうが良いです。

まとめ

今回は、様々な視点からウレタン防水とFRP防水の比較をしました。

総合的に見ると価格は高いですが、性能的にFRP防水のほうが優れている防水工事といえます。

しかし、価格が安いことやどんな場所でも施工ができるという汎用性に長けているウレタン防水が一般的に普及していることも頷ける結果となりました。

最後にまとめます。

  • ウレタン防水は、ウレタン樹脂を使用した防水方法
  • FRP防水は、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)を使用した防水方法のこと
  • 伸縮性があるウレタン防水のほうがどんな形状でも施工が可能
  • 耐久性/摩耗性/防水性はFRP防水のほうが優れている
  • 価格ではウレタン防水のほうが安い
  • 工期ではFRP防水のほうが早い
  • 耐用年数はFRP防水のほうが長い