棟板金とは?劣化の原因や症状、メンテナンス方法や交換工事の費用相場まで解説!
“棟板金“(むねばんきん)という言葉をご存知ですか?
棟板金とは、屋根の頂部にある「棟」と呼ばれる部分を覆う金属の部材のことです。
棟板金は、屋根の継ぎ目をしっかりと保護し、雨や風、雪、紫外線から屋根を守って耐久性を高める重要な役割を果たしています。
しかし、棟板金は雨風や気温変化による熱膨張の影響を受けやすく、経年劣化により釘の浮きや変形、場合によっては棟板金自体が飛ばされる恐れがあります。
放置してしまうと、雨漏りや建物内部の腐食に繋がる可能性があるため、定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。
今回の記事では、棟板金の基本的な知識に加え、劣化の原因や症状、さらに修理費用の相場や火災保険についてもわかりやすく解説します。
棟板金(むねばんきん)とは?
棟板金とは、屋根の一番高い部分の"棟"に取り付けている屋根部材のことです。
屋根同士の結合部を覆って、雨水の侵入を防ぐために設置されています。
棟板金以外に「棟」や「軒包み」と呼ばれることもあります。
棟部分は複雑な構造になっていて漏水のリスクが高いですが、棟板金はその隙間を塞いで、雨水や雪の侵入を防いでいます。
棟板金は、屋根の重要な防水部材であり、建物の耐久性を守る役割を担っています。
そのため、定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。
棟板金が劣化する原因
次に、棟板金が浮いたり劣化する原因を紹介します。
- 経年劣化
- 釘やビスの緩み・抜け
- 施工不良
- 自然災害
棟板金は通常、ビスや釘で固定しますが、温度変化による膨張と収縮で緩んだり、台風や強風などの風圧も緩みの原因となります。
緩んだり抜けたまま放っておくと、強風で飛んでしまう可能性がありとても危険です。
棟板金が劣化すると起こる症状
棟板金が劣化すると、どのような症状が起こるのか紹介します。
棟板金が飛ばされる
劣化した棟板金は、強風や台風の影響で簡単に剥がれ、飛ばされてしまうことがあります。
棟板金が飛ばされると屋根の防水機能が大きく損なわれ、放置すると雨漏りや建物の劣化につながるため、早めの修理が必要です。
また、飛ばされた棟板金が通行人や周囲のものに当たる恐れもあるため、注意が必要です。
貫板の腐食
棟板金を支えている貫板は木製を使用している場合が多く、雨水の侵入や経年劣化で腐食が進みます。
棟板金を固定する下地材である貫板が腐食すると、棟板金の耐久性が低下し、建物全体の防水機能に影響を及ぼします。
雨漏り
棟板金の破損や隙間から雨水が侵入し、屋根内部や天井に雨漏りが発生します。
雨漏りは、建物の様々な部材を腐食させ、カビの原因にもなるため、早期発見と修理が建物の長持ちに繋がります。
雨漏りについて、こちらの記事で詳しく紹介しています。
棟板金の耐用年数
棟板金の耐用年数は、10~20年ほどですが、5年に1度は専門業者による点検をおすすめします。
また、台風や強風の後は特にダメージを受けやすいため、必ず点検をして早めの修理を心がけましょう。
目視チェックはどこまでできる?
一般の方が安全に確認できるのは、釘の浮きや板金の浮きといった地上からの目視チェックまでです。
屋根の上など高所での作業は転倒や事故のリスクがありますので、少しでも異常を感じたら、無理をせず、業者に相談することが大切です。
棟板金のメンテナンス方法
次に、棟板金のメンテナンス方法について紹介します。
簡易補修
メンテナンス方法の1つ目は、簡易補修です。
釘が浮いていたり外れていた場合は、固定しなおしてコーキングを打ち直す簡易補修を行います。
棟板金が少しだけズレている場合など、症状が軽い場合は、簡易補修を行います。
棟板金交換工事
2つ目は、棟板金交換工事です。
棟板金の劣化が進んでいたり、貫板が腐食している場合は、棟板金と貫板の交換工事を行います。
棟板金交換工事の流れ
どのように棟板金の交換工事を行っているか、やねまるで実際に工事したお客様宅を例に説明します。
1|既存の棟板金を取り外す
工事前の棟板金です。
まず、この棟板金を取り外します。
近くで見ると、釘が浮いている場所が多数あり、棟板金も少し浮いている状態です。
2|棟板金下地の貫板を取り外す
棟板金を取り外すと、"貫板“(ぬきいた)が見えてきました。
やはり、雨水が回ってしまって貫板が黒く変色しています。
3|新しい貫板を設置する
次に、新しい貫板を設置していきます。
棟板金を固定するための"下地材“になります。
4|新しい棟板金を設置する
新しい棟板金を設置します。
棟板金は、1枚2mほどあり、何枚も組み合わせて作ります。
コーキングで組み合わせて、ビスで固定します。
5|完成
これで棟板金交換の工事は、完了です!
実際の工事の流れや工事見積をこちらの記事で紹介しています。
棟板金の交換工事について知りたい人は、ぜひご覧ください。
棟板金交換の費用相場
棟板金交換の費用は、棟板金の長さ・使用する板金の種類によって変わりますが、数万円~20万円くらいが目安です。(足場費用含まず)
また、足場を建てる際は、金額が上がりますので注意が必要です。
足場の設置が必要な工事は、工期もコストもかかりますが、複数の工事を同時に行うことでコストを削減することができます。
棟板金工事の費用に関するQ&A
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棟板金の費用以外にかかる費用は?
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足場代や古い棟板金や貫板の撤去・処理費用、廃材処理費、消費税などかかる場合があります。
トラブルにならないためにも、見積もり時に詳細をしっかり確認しましょう。 -
足場代って絶対にかかりますか?できれば節約したいんですが・・・
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足場代は、屋根工事ではほとんどの場合で必要になります。
特に2階以上や屋根が急勾配の場合、作業員の安全確保のため、法律で足場の設置が義務付けられています。
足場の費用は、設置面積によりますが、10万〜20万円ほどが一般的です。 -
台風で棟板金が吹き飛ばされた・・・!火災保険の利用は可能?
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結論からいうと、台風で吹き飛ばされた棟板金の修理に火災保険は利用可能です!
火災保険は、自然災害により建物や家財に被害が生じた際に、利用することができるため、この場合は火災保険適用可能となります。
しかし、加入している火災保険や被害の状況により、補償の範囲や条件が違うため、申請の際は注意が必要です。 -
経年劣化で釘と棟板金が浮いてしまっている・・・これは火災保険の対象になる?
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経年劣化による損傷は、ほとんどの場合、補償の対象外になります。
火災保険は自然災害や偶発的な事故による損害を補償するもので、経年劣化のように予測可能な損傷は保険会社の責任範囲外とされています。
そのため、経年劣化による損傷は補償の対象にはなりません。
訪問営業で「屋根が浮いてる」と言われたときの対処法
リフォーム会社の訪問営業に来た人が「屋根が浮いている」や「釘が浮いている」と指摘することがありますが、必ずしも正確とは限りません。
こうした指摘は、営業トークの場合もあるので、慎重に対応しましょう。
また、そのような訪問営業をしてきた人がいたら、以下のような対策をしましょう!
- 絶対に業者を屋根に上らせない
- 名刺をもらって身分を確認する
- その場で契約しない
訪問業者が来たとき対処法をこちらの記事で詳しく紹介しています。
まとめ
棟板金は、屋根の構造の中でもとても重要な役割を果たす部材です。
屋根は日頃から目にすることが少なく、意識しづらいですが、劣化が進むと雨漏りや建物の寿命に関わるため、早めに気づくことや早めに対応することが大切です。
また、火災保険が適用できるケースもありますので、加入している保険の内容を事前に確認しておくと安心です。
定期的な点検・メンテナンスと正しい知識で、大切な住まいを長く安心して住めるように守っていきましょう。