オークリッジとは?その特徴とリッジウェイとの違いを紹介します。
アスファルトシングルの屋根材といえば、リッジウェイと言われるほど、建築業界では認知されている商品です。
しかし以前、世界的な輸送混乱で一時的に在庫がなく、リッジウェイでの施工ができない期間がありました。
その時にリッジウェイの代わりとして、注目されたオークリッジについて今回は紹介します。
オークリッジの特徴やメリット・デメリット、また"アスファルトシングル"について基本的な説明から、「リッジウェイの代わりというけど違いは?」と言った疑問も解説します。
オークリッジとは
オークリッジとは、米国のメーカーOwens Corning Corporation(オーウェンス・コーニング社)の製品で、正式名称は 『 オークリッジスーパー 』 です。
瓦やスレート、ガルバリウムという屋根材がある中で、「アスファルトシングル」という屋根材の一つです。
アスファルトシングルは、グラスマットとアスファルトを重ね、表面に細かい石粒を吹き付けた屋根材のことです。
アスファルトシングルは、"日本における瓦“といってもいいほど、海外では主流の屋根材です。
映画などで見る海外のお家の屋根は、ほとんどがアスファルトシングルの屋根です。
オークリッジのメリット
次に、オークリッジのメリットを紹介します。
軽量で柔軟性が高く施工しやすい
瓦屋根やスレート屋根に比べて非常に軽量で、曲面や複雑な形状の屋根にも対応することができます。
また、薄いシート状になっているため、ハサミやカッターで簡単にカットすることが可能で、接着剤または釘で固定して施工します。
長期保証と認定制度がある
家を建てる上で必須となる防火性能ですが、オークリッジは平成13年に海外製品としては初めて「屋根飛び火試験」を認められた製品です。
そのため日本でも場所を選ばず、施工することができます。
また、オークリッジは 「ライフタイムワランティー」 という長期製品保証(期限付き)がついています。
聞きなれない名前の保証制度ですが、これは施工後の経過年数によって、保証される負担金額が変わるというものです。
海外の商品ではありますが、日本の建築基準法や長期保証がついているのは安心できますね。
防水性・耐風圧性能が高い
屋根材として重要な防水性ですが、オークリッジはグラスマットにアスファルトを重ねているため、水を吸い込みません。
雨が降った日のアスファルトの道路を想像してもらうと、分かりやすいと思います。
それにプラスして独自のセルフシーラントという接着もつけているため、水の侵入を防ぎます。
また、一般的にアスファルトシングルは、軽量で風に弱いとされていますが、オークリッジは密着性能を高めたことにより、耐風圧50m/sの風でも耐え抜く構造になっています。
時速に換算すると約180km/hほどの非常に強い風で、
一般的な木造住宅は倒れ、樹木や電柱、街灯も倒れるほどの風圧です。
豊富なカラーバリエーションと高いデザイン性
海外のお家を想像すると分かりやすいですが、陰影と立体感があり、屋根の色が何色にも見え、とても素敵です。
「こんな屋根のデザインが好き!」という人も多いのではないでしょうか?
これは、2層構造の凹凸と異なる色調の変化で実現されています。
カラー展開は全7色(上記写真参照)で、どれもお洒落な屋根にしてくれる色とデザインです。
「他とは差をつけたい!」という人におすすめの屋根材です。
高い静音性で雨音を軽減
また、ガルバリウム鋼板などの金属屋根は、「雨音が響いてうるさい」という声も出るのですが、オークリッジはアスファルトシングルという性質上、雨音を吸収してくれるというのも大きな特徴です。
アスファルトと表面に吹き付けられた石が、雨音を吸収・拡散するため、遮音性を高めます。
オークリッジのデメリット
防水性や静音性に優れていて、保証もしっかりしているオークリッジですが、デメリットもいくつか存在します。
強風による剥がれのリスク
「オークリッジは風に強い」とお伝えしましたが、どれだけの強風が吹いても絶対に剥がれないと言い切ることはできません。
また、施工時の不備(接着剤の不足や不適切な施工)により、剥がれる可能性もあります。
表面の石粒が脱落することも
黒色の小さな石が屋根から剥がれ落ちたもの
アスファルトシングルは、表面に石粒を吹き付けているため、施工後:半年~1年ほどは石粒が剥がれ落ちる可能性があります。
これは不良品ではなく、コーティングしきれなかった石粒が雨などによって剥がれてしまうためです。
石粒が剥がれ落ちて、雨樋やベランダなどに溜まることもありますが、石粒は小さいため、詰まることはありません。
また、石粒が剥がれ落ちたとしても、表面の防水性に影響はありませんのでご安心ください。
断熱性能が高くない
アスファルトシングルは、他の屋根材と比較して断熱性能が低いと言われています。
これは、夏の日差しをアスファルトが吸収し、室内の温度が上がりやすいためです。
また、アスファルトの特性上、直射日光や高温状態で熱を吸収してしまい、材質が軟化しやすく、多少の変形が起きる可能性もあります。
しかし、適切な下地処理や通気設計(換気口や換気棟の設置)を行うと抑制することが可能です。
オークリッジがカバー工法に適している理由
リフォームでオークリッジを利用するなら、カバー工法がおすすめです。
理由は、シート状で軽量のため、地震が多い日本で耐震性に優れていると言えるからです。
耐震性という点において、屋根材の軽さは重要で、オークリッジは瓦の1/3の重量といわれており、1㎡あたり約12㎏ほどです。
これは、スレートが1㎡あたり約20㎏ほどと言われているので、それよりも軽いです。
大きな地震への備えとして、耐震性の高さは、新築で建てる場合もリフォームする場合でも重要な条件になりました。
その中でもオークリッジは、軽量で防水性や耐風圧性能も高いため、カバー工法の屋根材として、とてもおすすめできる商品です。
カバー工法について詳しく知りたい人は、こちらをご覧ください!
耐用年数とメンテナンスのポイント
オークリッジの耐用年数は、約25年~30年程度と言われています。
塗装メンテナンスは可能ですが、アスファルトが溶けだしてしまうため、溶剤系塗料は使用できません。
そのため、塗装を行う際は、必ず水性塗料を使用します。
また、アスファルトシングルは、表面に細かい凹凸があるため、苔(コケ)や藻がとても付着しやすいです。
苔や藻は、高圧洗浄で落とすことができますが、水圧が強いと表面の石粒が剥がれてしまうため、水圧に注意が必要です。
屋根の清掃は高所での作業となり、危険が伴います。安全のためにも業者に依頼するようにしましょう!
オークリッジとリッジウェイの違い
リッジウェイは、世界情勢の影響で一時在庫がない事態が起こりましたが、アスファルトシングルの中では主流の商品であることは間違いないです。
そんなリッジウェイとオークリッジの違いを検証してみましょう。
性能面
リッジウェイとオークリッジを性能面で比べたときに、どちらも「屋根飛び火試験」を合格している製品であり、防水性や耐久性・耐風性も共に十分高いといえます。
デザイン面
※画像引用:リッジウェイ(旭ファイバーグラス株式会社)公式サイト
7色展開のオークリッジに対してリッジウェイは、柔らかい風合いで色展開は5色(デュアルブラック/ハーバードスレート/デュアルブラウン/アーストーンシーダー/ヴィンテージグリーン)です。
また、オークリッジは、2層構造の凹凸と異なる色調の変化で陰影と立体感を生み出しています。
一方、リッジウェイは、天然石の粒を使用しており、自然な風合いと高級感があります。
リッジウェイは、柔らかな陰影が特徴で落ち着いた色展開ですが、グリーンやブルーなどの色展開はオークリッジにしかない色味です。
どちらも基礎が「アスファルトシングル」と同じなので、違いをそれほど見つけることができませんでしたが、そういった意味では、リッジウェイもオークリッジも、どちらもいい商品でどちらを選んでも間違いないと思います。
施工前に知っておきたい注意点
オークリッジは、高機能でデザイン性にも優れた屋根材ですが、海外製品であるため、施工には一定の専門知識と経験が求められます、
施工を依頼する際は、以下の点に注意しましょう。
- 施工業者がオークリッジに関する十分な知識を持っているか
- ホームページや口コミなどで業者の評価を確認する
- オークリッジの施工実績があるかどうかをチェックする
これらのポイントを確認することで、トラブルを防ぎ、安心して施工を任せることができます。
まとめ
今回は、オークリッジについてとリッジウェイとの違いについて紹介しました。
オークリッジは、OwensCorning社が販売しているアスファルトシングルの屋根材で、耐久性や防水性・耐風性に優れている優秀な屋根材です。
リッジウェイとの性能差でもハッキリとした差がないので、デザインや色の好みでリッジウェイかオークリッジを選んでも問題ないと思います。
葺き替えやカバー工法で、どの屋根材を選ぶか悩んでいる人は、オークリッジを検討してみてはいかがでしょうか?