アスベストが使われている屋根の見分け方|アスベストとは?健康被害は?対策方法は?

アスベスト使用の屋根の見分け方

アスベスト(石綿)は、非常に細かく丈夫な天然鉱物繊維で、以前は屋根をはじめとした多くの建材に使用されてきましたが、発がん性が問題となり、現在では製造・使用が禁止されています。

しかし、昭和30年(1955年)ごろから平成16年(2004年)にかけて施工された住宅や建物には、今もアスベストを含む建材が残っている可能性があります。

屋根材は、見た目では判断が難しいため、正しい知識確認方法を知っておくことがとても重要です。

この記事では、アスベストとはどんな物質?という基本的な知識から、アスベストが使われている屋根の見分け方アスベストの健康への被害アスベストが使われていた場合の対処法を解説します。

アスベストとは?

アスベストとは

アスベスト(写真参照)は、天然の鉱物から採れる繊維状の素材で、非常に丈夫で熱や薬品にも強い特性を持っています。

日本国内では主に「白石綿(クリソタイル)」など、蛇紋石族に分類される3種類のアスベストが広く使用されてきました。

アスベストの特徴と使われていた建築素材

アスベスト吹き付け

アスベストは、極めて細かい繊維状の天然鉱物で、熱・摩擦・酸・アルカリに強く、非常に丈夫で変化しにくいという特性があります。

この優れた耐久性から、かつてはさまざまな製品に広く使用されてきました。

建築素材としての使用例
  • 吹き付け材(耐火・耐熱目的)(※上記写真参照)
  • 保温材・断熱材
  • スレート屋根・外壁材
  • 内装材

アスベストによる健康被害

アスベストは、非常に細かい繊維状のため、空気中に飛散しやすい特徴もあります。

その繊維を吸い込むことで、健康被害を引き起こす恐れがあることがわかっています。

病名症状・潜伏期間
じん肺(肺線維症)職業上アスベスト粉じんを10年以上吸入した労働者に発症。
潜伏期間は15~20年
悪性中皮腫肺を覆う胸膜などに発生する悪性腫瘍で、非常に進行が早い病気。
潜伏期間は20~50年
肺がん吸入されたアスベスト繊維が肺に取り込まれ、主に物理的刺激によってがん化する。
潜伏期間は15~40年

なお、アスベストの吸入量と発症の直接的な基準は明らかになっていないものの、吸入との相関関係は科学的に確認されています

アスベストの「発じん性」と作業レベルの分類

国土交通省の資料によると、アスベストを含む建物の解体などの作業は、粉じん(細かいちり)の出やすさによって「レベル1~3」の3段階に分けられています。

「発じん性」とは、細かなちり「粉じん」が、空気中に飛びやすいかということです。

アスベストは、衝撃を受けることで粉じんが空中に飛散しやすい性質があります。

発じんの度合いによる作業レベルは、レベル1~レベル3があり、レベル1が最も粉じんが出やすく厳重なものとなっています。

アスベストのレベルや作業内容によって、作業場所の隔離や立ち入り禁止措置、作業の届出の有無などが異なります。

また、アスベストを含む屋根材を処分する際の「廃棄物の扱い」もレベルによって違います。

レベルごとに作業内容・対策・廃棄物の扱いについて以下にまとめました。

レベル1(発じん性が著しく高い作業
項目内容
作業内容アスベストが含まれる吹き付け材の除去作業など
対策厳重なばく露防止対策が必要
廃棄物の扱い「特別管理産業廃棄物」として、厳重に処理されます
レベル2(発じん性が高い作業)
項目内容
作業内容アスベストが含まれる断熱材の除去作業など
対策レベル1に準じて高いレベルのばく露防止対策が必要
廃棄物の扱い「特別管理産業廃棄物」として、厳重に処理されます
レベル3(発じん性が比較的低い作業)
項目内容
作業内容アスベストが含まれる建材(成形板等)の除去作業
対策湿式作業を原則として、発じんレベルに応じた防じんマスク、保護衣。作業衣等の使用
廃棄物の扱い「産業廃棄物」として扱われ、比較的取り扱いが緩やかです

レベル1~3までの中でスレート製の屋根材はレベル3に当てはまります。

また、廃棄物は最終的に専用の埋立地へ運ばれ、土の中に埋めて処分されます。

廃棄物の種類は、以下の通りです。

  • 産業廃棄物(産廃):工事現場から出る通常の廃棄物
  • 特別管理産業廃棄物:産廃のうち特に有害とされたもの
  • 一般廃棄物:家庭から出るごみ、通常のごみ
  • 特別管理一般廃棄物:一般廃棄物のうち、特に有害と指定されたもの

屋根にアスベストが使われているか見分ける方法

アスベスト使用の屋根か見分ける方法

ご自宅の屋根にアスベストが使われているかどうかの見分け方を解説します。

まず、アスベストが使われていないことが簡単に見分けられる方法を説明します。

2004年10月以降に建てられたか?

まず最も簡単に判断できるのが、建物の築年数です。

2004年(平成16年)10月以降に建てられた建物であれば、アスベストは使用されていません

これは、労働安全衛生法施行令の改正により、2004年(平成16年)10月1日から「住宅屋根用化粧スレート」(スレート製の屋根材)の製造、販売及び輸入が禁止されたためです。

ですので、ご自宅が2004年10月以降に建てられた場合は、アスベストは使用されていないと判断できます。

屋根材が粘土瓦または金属か?

金属屋根

ご自宅が建てられたのが2004年10月より前の場合も、簡単に見分ける方法があります。

  • 粘土瓦(和瓦・洋瓦)
  • 金属屋根(ガルバリウムなど)

これらの屋根には、アスベストは使用されていません。

しかし、見た目が屋根瓦のような形状に作られたスレート製の屋根もありますので、注意が必要です。

不安な場合はご自宅の工事を行ったときの設計図書を確認するか、工事をした業者に問い合わせましょう。

また、信用できる屋根工事の業者に相談するのもいいでしょう。

上記の方法で判断できない場合は?

上記の方法で判断できない場合は

上記の方法で見分けられない場合にはさらに調査が必要になります。

屋根材の商品名・型番・製造時期を調べる

以下の製品が使われている場合は、アスベストが含有されている可能性があります

  • カラーベストコロニアル(旧クボタ製)
  • カラーベスト(旧クボタ製)
  • フルベスト(旧松下電工製)

※同じ商品名でも製造時期によってはアスベストが使われていないことがあるため、製造年月の確認が重要です。
また、他にもアスベストが使われている可能性のある製品があります。

アスベストの有無を、目視だけで判断するのは難しいです。

設計図書や製品の型番・製造時期などを確認することで判断できる場合があります。

また、過去に工事を行った工務店や施工業者に問い合わせることでも確認が可能です。

商品名・型番・製造時期が分かる場合

屋根材の商品名や型番・品番・製造時期が分かる場合、以下のデータベースの情報などを参照します。

「石綿(アスベスト)含有建材データベース」(国土交通省)

※アスベストが使われている建材の情報を見ることができるデータベースです。

上記のデータベースに情報が掲載されていれば、アスベストが使われている屋根材であることが分かります。

商品名・型番・製造時期が不明な場合

調査をしても商品名や型番・品番・製造時期が分からないこともあります。

分からなかった場合の対策方法としては、以下のいずれかの対応となります。

  • 分析機関に依頼をして、成分の分析調査をしてもらう
  • アスベスト含有の屋根材として、処分する

また、平成元年7月以降に製造された製品には、アスベストの含有を識別しやすくするため、アルファベットの「a」の字のaマークを表示しています。

aマーク

画像引用元:環境省

ご自宅の屋根材にaマークの表示が確認できれば、アスベストが使われている屋根材である可能性が高いことが分かります。

※屋根の上は大変危険なため、信頼できる屋根工事業者などに依頼して確認してください。

ルーフィング(屋根材の下)を確認する

ルーフィング

※上記写真のルーフィングにアスベストは含まれていません

屋根材だけではなく、屋根材の下にある「ルーフィング」もアスベストを含んでいることがあります。

屋根材の下には通常、ルーフィングという防水シートを敷いています。

ルーフィングは、「アスファルトルーフィング」とも言い、「アスファルトフェルト」というものを使っている場合もあります。

国土交通省の資料によると1937年~1987年(昭和12~62年)に製造されたルーフィングには、アスベストが含まれている可能性があります

ルーフィングも目視では判断が困難ですので、施工記録や業者への確認が必要です。

アスベスト使用屋根の対策方法

アスベスト使用屋根の対策方法

自宅の屋根がアスベスト使用の屋根と分かった場合の対策について解説します。

飛散リスクがなければ、現状維持も検討を

アスベストが使用されている建物と分かっても、日常生活で飛散リスクが無ければ、すぐに撤去する必要はありません

一般的には、アスベストが使用されている建材に穴を開けたり、改修・解体工事で撤去するような場合以外は、日常生活の中で特別な管理を必要としないとされています。

アスベストは、あることが問題なのではなく、飛散すること、吸い込むことが問題となるものです。

なお、DIYで屋根に穴をあけたりすると、アスベストが飛散する可能性がありますので、絶対にしないようにしてください。

屋根を改修する2つの方法

屋根を改修する2つの方法

屋根を改修するという選択肢がありますが、その場合、葺き替え工事またはカバー工法という2つの改修方法があります。

アスベストを含む屋根材が今も残っていることを踏まえると、主な改修方法は2つあり、それぞれの特徴をまとめたのが以下の表です。

改修後の屋根工期工事費用
葺き替え工事アスベストの問題は解消撤去+新設なので工期は長め工期は長めで費用は高い
カバー工法アスベストの問題は先送り撤去がないので短め工期は短めで費用は安い

葺き替え工事を行うと、アスベストの問題は解消されます。

また、カバー工法はアスベストを残したまま施工できるため、コストは抑えられますが、問題は先送りになります。

将来的に屋根の撤去や建物の解体が必要になる場合、アスベスト処理費用が発生します。

また、処分費用は今後上昇すると予想されており、工法選びは将来も見据えて検討することが大切です。

葺き替え工事とカバー工法について、詳しく知りたい人はこちらの記事をご覧ください。

まとめ

今回は、アスベストについて、使用されている屋根の見分け方や対策方法について解説しました。

  • 2004年10月以降の建物に、アスベストは使われていない
  • 屋根材や施工履歴でアスベストの使用有無を見分けられる
  • 健康被害を避けるためには、飛散させないことが重要
  • 改修工事をする場合「葺き替え」か「カバー工法」

「うちの家は、アスベスト入っているのかしら?」と不安になる人もいらっしゃると思います。

業者視点で話すと、アスベストの屋根は早く変えてしまったほうがいいと考えますが、費用の問題など様々な事情があるかと思います。

そのような不安も含めて、ご相談を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください!

ご自身の安全と家族の健康のためにも、適切な判断と対応をしていきましょう。

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2023年5月19日住宅知識,屋根