屋根材「セキスイかわらU」の問題|メンテナンスは?塗装できる?アスベスト大丈夫?

セキスイかわらU」は瓦を模した波状の形状をした軽量のセメント系屋根材です。

1975年に積水化学工業(株)から発売になって以来、「セキスイかわら」シリーズは2013年9月まで40年近くの期間販売されました。

しかし発売時期により、アスベストを含むことと劣化しぼろぼろに脆くなることの2点が問題として挙げられます。

この記事では、セキスイかわらUについて解説します。

メンテナンスの方法は?塗装はできないの?アスベストの健康被害は大丈夫なの?といった疑問も解説しています。

セキスイかわらUとは

セキスイかわらUのカタログの写真

セキスイかわらUは1975年に積水化学工業(株)から販売が開始された軽量のセメント系屋根材です。

瓦を模した波状のデザインになっています。

軽量であることと強固な固定法から、地震と台風に強い屋根材として、主にリフォーム向けに多数使われました。

その後、材料として当初から使われていたアスベストの発がん性が判明し、アスベストを使用しない製造法に変更して(ノンアスベスト製品)発売が継続されました。

  • 発売時期が1975年~1990年:アスベストを含む
  • 発売時期が1991年~:ノンアスベスト。劣化しやすい

そして2つの問題が残りました。

  1. アスベストを含む製品を使用した屋根が多数現存する
  2. ノンアスベストの屋根が劣化しぼろぼろの屋根になった

アスベスト製品の問題

アスベストの写真

※アスベストの写真

セキスイかわらUは1975年の販売開始当初からアスベストを含む製品です。

白石綿、茶石綿という種類のアスベストを10~14%含有している製品が1990年まで25年間販売され多数の住宅に使用されました。

アスベストの健康被害は大丈夫なの?

アスベストは天然の鉱物繊維で、丈夫で変化しにくい特性を持っています。

この特性のため、建材では吹き付け材や保温・断熱材、スレート屋根や外壁などのスレート材・内装材などに使用されてきました。

しかし、極めて細かい繊維のため飛散しやすく、吸入してしまうと、じん肺、悪性中皮腫、肺がんの原因になります。

なお、アスベストを含むセキスイかわらUを製造していた積水化学工業(株)のグループ会社「岡山積水工業(株)」の退職者のなかに、石綿肺と診断された方が1名、胸膜にプラーク(胸膜が厚くなっている状態)が認められた方が1名いたとの報告もあります。

ご自宅の屋根がアスベスト製品の場合のメンテナンス方法についてもご覧ください。

劣化の問題|ノンアスベスト製品

※写真は同シリーズのセキスイかわらCITY|塗装のはがれが見られる

ご自宅の屋根がセキスイかわらUで設置したのが1991年以降の場合、ノンアスベストの製品です。

アスベストの問題はないのでその点は安心できますが、屋根材の劣化がかなり進んでいる可能性があります。

どのように劣化していくか?

ノンアスベストのセキスイかわらUの劣化はおおよそ次のように進みます。

  • 塗装がはがれる
  • 本体の表面がめくれたりひびや割れが発生し、ボロボロに崩れる

まず、表面の塗装がはがれ、色が薄くなり白っぽくなっていきます。

本体の劣化が進行していきます。

特に屋根材の縁の劣化が先に進み、塗装の剥がれや、本体のめくれ、ひびや割れが現れてきます。

ひびや割れは雨漏りにつながります。

劣化が進行したセキスイかわらUは、屋根に人が乗っただけで割れてしまうほどに脆くなります。

劣化に対し品質保証は?

平成12年(2000年)4月に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)が施行され、新築工事の場合屋根の10年間の品質保証が義務付けられました。

現在、10年間を品質保証の期間としている屋根材が多く見られます。

セキスイかわらシリーズは終売が2013年9月ですので、終売直前の時期に新築で設置した場合には、10年間経過していないため劣化に対して品質保証が適用になる可能性もあります。

新築工事しゅん工の時の書類で品質保証について確認し、工事をした工務店に相談して屋根を点検してもらうのもいいかもしれません。

なお、品質保証はメーカーから建築工事をした工務店に掛けられているものなので、品質保証の適用を受けたい場合にはその旨工務店に伝えることになります。

他の屋根材で同じ問題は起きてないの?

屋根材パミールを使用した屋根が劣化している写真

※劣化が進んだスレート屋根材「パミール

セキスイかわらUのような問題は同じ時期に販売されたほかのセメント系屋根材(スレート屋根材など)にもあります。

アスベストは非常に安定していて劣化しにくいので、昭和30年ごろから屋根を中心に多くの建築資材に使われてきました。

その後、発がん性があることが判明し、使用が禁止となりましたが、アスベストに替わる材料を見つけることが難しく、その直後に新建材として販売され設置されたノンアスベストのスレート屋根の劣化が問題となりました。

例えば、ノンアスベストのスレート屋根として開発され販売された「パミール」という製品があります。

この製品も設置後の劣化が問題になりました。

詳しくはこちらの記事にしておりますので是非お読みください。

このあとは、セキスイかわらUの屋根に対してどのようなメンテナンスができるのかその方法を解説します。

メンテナンス方法は?|アスベストを含むセキスイかわらUの場合

作業員の男性に相談する若い女性のイラスト

アスベストが含まれているセキスイかわらUの場合、劣化の進行がゆるやかで安定しており、現時点でも状態が比較的いいものが多いようです。

劣化が進んでいないようであれば、対処法としては以下のいずれかになります。

  • 当面はそのまま使用する
  • 撤去し、他の屋根材に葺き替える

劣化が進んでいなければ特別な管理を必要としないとされています。

ただし、屋根材に穴をあけたり、切断したりすると、アスベストが飛散する可能性がありますのでしないでください。

劣化が進んでいれば「撤去し他の屋根材に葺き替える」の1択です。

信頼できる屋根工事業者に見てもらい、葺き替え工事の相談をしましょう。

万が一にも工事の時に作業員がアスベストに、ばく露(※)したり周辺に飛散したりしてしまわないためにも、分かってい場合には屋根工事業者にアスベストが含まれる屋根材であることを伝えてください。
※ばく露:浮遊して吸入されやすい石綿繊維又は石綿粉じんにさらされることをいいます。

アスベストを含む屋根材についてさらに詳しくはこちらの記事にまとめてありますので是非ご覧ください。

メンテナンス方法は?|ノンアスベストのセキスイかわらUの場合

屋根が壊れてボロボロになっているイラスト

ノンアスベストのセキスイかわらUの場合、劣化の進行がかなり進んでいる可能性があります。

塗装はできないの?

屋根のメンテナンスで代表的な方法が塗装です。

塗装をすることによって屋根材を保護し、屋根の寿命を延ばすことができます。

しかし、劣化が進んだセキスイかわらUは、表面がめくれている状態だったり本体がボロボロと崩れる状態になっていたりします。

ボロボロのセキスイかわら

ひどく劣化が進んだ状態の場合には、屋根に人が乗っただけで割れてしまうほどの脆い状態になります。

屋根材の本体がこのようにぼろぼろなのは、すでに屋根材としての限界が来ているといえます。

崩壊する本体に塗料を塗っても意味をなしません。

劣化が進んだセキスイかわらUの屋根の対処は葺き替え工事の1択です。

劣化が進んでいない状態ですと塗装が可能ですが、塗装を検討するときも、塗装工事の費用の出費があったうえでその後の数年間で劣化が進んで寿命になる可能性もあることよく考えて判断されるといいでしょう。

なお、劣化が進んでいない状態というのは、塗装の剥がれは見られても本体のめくれやひび、割れ、崩れなどがなく、本体の損傷が見られないものをさしています。

ちなみに、いままでのセキスイかわらUの雰囲気を維持しつつ葺き替え工事をしたい場合、類似のデザインで非常に耐久性のあるFRP(繊維強化プラスチック)を使った「カルカ・ルーフ」という屋根材も販売されています。

葺き替え工事

葺き替え

セキスイかわらUは販売終了から相当年数経過しており、劣化が進んでいる場合が多いと考えられます。

また、比較的劣化が進んでいない状態でも、今後数年で劣化が進むことも考えられます。

このようなことからメンテナンス方法として葺き替え工事が最もおすすめです。

葺き替え工事は、今の屋根材を撤去して新しい屋根材を設置する工事です。

すべての屋根材をリニューアルすることになりますので、劣化したセキスイかわらUは全て撤去となり、新しい屋根材は他のさまざまな種類の屋根材から選択できます。

なお、撤去の際、撤去するセキスイかわらUがアスベストを含む製品なのかノンアスベスト化された製品なのかをしっかりと確認する必要があります。

撤去のやり方が大きく違ってくるからです。

いずれの製品なのかは年代で分かります。

  • 1990年までに設置していればアスベストを含む
  • 1991年以降の設置ならノンアスベスト化された製品

なお、アスベストを含む製品の場合には見た目で劣化が少ないことも目安にはなります。

さらに、自宅のセキスイかわらUにはアスベストが含まれていないという証明として、「セキスイかわらゼロアスベスト証明書」を受け取れればかなり安心です。

現在、積水化学工業(株)のグループ会社の「セキスイルーフテック(株)」が屋根のアフターメンテナンスを行っており、証明書の発行をしてくれます。

これは工事を依頼する業者に取得してもらうといいでしょう。

屋根材が分からない場合

ここまでセキスイかわらUについて解説してきましたが、その前にそもそも屋根材が何かわからないということもあるでしょう。

その場合にはやはり、信用できる屋根工事業者に点検としてみてもらうのがいいでしょう。

セキスイかわらUは屋根の業界では有名な屋根材ですのですぐに分かるのではないでしょうか。

重要なのは劣化しているか、アスベストを含んだ屋根材かですので、点検してもらってその点の説明をしてもらうといいでしょう。

補助金制度はあるの?

セキスイかわらUの屋根を撤去して新しい屋根材に葺き替えたい。

そのような場合に受け取れる補助金制度はあるの?と疑問に思うかもしれません。

ご自宅のある市区町村に、リフォーム工事に適用になる補助金制度があるかもしれません。

国の補助金制度と、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の市区町村の補助金制度をまとめたこちらの記事で補助金があるかを是非ご確認ください。

2023年6月21日住宅知識,屋根屋根,屋根材,葺き替え