ベランダ防水は「立ち上がり」が要注意|床より先に劣化しやすい理由とチェックポイント

ベランダ防水の不具合は、床ではなく「立ち上がり」の劣化が原因になっているケースも少なくありません。
立ち上がりは、壁と床の境目にあたる重要な部分ですが、紫外線や雨風の影響を受けやすく、気づかないうちにひび割れや防水層の劣化が進行しやすい場所です。
一見すると床に異常がないように見えても、立ち上がりから雨水が侵入し、室内側の雨漏りや壁内部の腐食につながることもあります。
今回の記事では、ベランダ防水の立ち上がりが劣化しやすい理由やよく見られる症状、放置した場合のリスクを解説。
自分でできるチェックポイントや補修を検討すべきタイミングも分かりやすく紹介します。
ベランダ防水は「立ち上がり」が重要

ベランダ防水というと床ばかり注目されがちですが、実は「立ち上がり」部分の状態が雨漏りリスクを大きく左右します。
この立ち上がりが劣化していると、床に異常がなくても雨水が建物の内部に入り込むことがあります。
まずは、立ち上がりがどんな役割を持つ部分なのかを確認していきましょう。
立ち上がりは、どの部分?

立ち上がりとは、ベランダの床と壁が接している垂直部分のことを指します。
床面から10~20cmほど立ち上がっているケースが多く、防水工事では床と一体で施工される重要な箇所です。
普段はあまり意識されませんが、雨水は床だけでなく壁際にも集まりやすく、立ち上がり部分は常に水や湿気の影響を受けやすい構造になっています。
床の防水との違い
床防水は、ベランダに降った雨水を直接受け止める面ですが、立ち上がりは床に流れた雨水が壁内部に侵入するのを防ぐ役割を担っています。
床だけ補修しても、立ち上がりが劣化していると、防水層のつなぎ目や端部から雨水が入り込み、雨漏りを完全に防げないケースも少なくありません。
そのため、防水の状態を判断する際は、床と立ち上がりをセットで見ることが重要です。
立ち上がりが担っている役割
立ち上がりは単なる「壁の下の部分」ではなく、防水層の終点かつ、雨水の侵入口を防ぐ最後の砦のような存在です。
特に、サッシ下や手すりの付け根、壁との取り合い部分では、立ち上がりの防水が劣化すると建物内部へ直接雨水が侵入しやすくなります。
床に大きな異常がなくても雨漏りが起こる場合、原因がこの立ち上がり部分にあるケースは決して珍しくありません。
立ち上がりには「必要な高さ」が決められている

ベランダ防水の立ち上がり部分は、見た目や施工のしやすさだけで決められているわけではありません。
雨水の侵入を防ぐため、一定以上の高さを確保することが前提となっています。
これは、建築基準法で求められている「雨水が建物内部に侵入しない構造」を前提に、設計や防水施工の実務基準として定着しています。
一般的な住宅では、床面から立ち上がりまで約10~20cm程度確保されているケースが多く、この高さによって雨水が壁内部へ回り込むのを防いでいます。
特に横殴りの雨や強風を伴う天候時には、この高さが十分に取られているかどうかが防水性能を大きく左右します。
もし立ち上がりの高さが不足していると、床に異常がなくても、端部や取り合い部分から雨水が侵入しやすくなるというリスクがあります。
また、後付けの手すりやサッシ交換、床のかさ上げなどによって、本来確保されていた高さが実質的に低くなってしまうケースも少なくありません。
こうした条件が重なることで、見た目には問題がないにもかかわらず、立ち上がり部分から劣化や雨漏りが進行してしまうことがあります。
そのため、立ち上がりは「劣化しているか」だけでなく、高さが十分に確保されているかという視点でも確認することが重要です。
なぜ立ち上がりは劣化しやすいのか?
立ち上がり部分は、ベランダの中でも特に雨水や紫外線の影響を受けやすい場所です。
さらに、建物の動きや施工条件の影響も重なり、床より先に劣化が進むケースも少なくありません。
ここでは、立ち上がりが痛みやすい具体的な理由を見ていきましょう。
雨水が集中しやすい構造になっている

床面と壁面が交わる位置にある「ベランダの立ち上がり部分」は、雨水が集まりやすい構造になっています。
床に落ちた雨水は排水口へ流れる途中で立ち上がり付近を通るため、この部分に水が滞留しやすくなります。
特に、排水不良や勾配不足がある場合は、立ち上がりの根元に水たまりができやすく、防水層に長時間水が触れる状態が続きます。
その結果、防水層の劣化が早まり、ひび割れや剥がれといった症状につながることがあります。
紫外線・雨風の影響を直接受けやすい

立ち上がり部分は、屋根や庇などで守られていません。
そのため、紫外線や雨風の影響を直接受けやすい場所です。
特に上部は日差しを受け続けて、柔軟性が失われていきます。
また、横殴りの雨や強風を伴う雨天時には、床よりも立ち上がりの方が雨水を受けやすくなるケースもあります。
こうした外的ダメージが積み重なることで、床より先に立ち上がり部分が劣化してしまうことも少なくありません。
建物の揺れや伸縮の影響を受けやすい

建物の構造上、揺れや温度変化による伸縮の影響を受けやすい箇所が立ち上がり部分です。
地震や強風、日中と夜間の温度差などによって、壁や床にはわずかな動きが生じています。
こうした動きが繰り返されることで、立ち上がり部分の防水層に負荷がかかり、ひび割れや隙間が発生しやすくなります。
特に、築年数が経過している建物では、こうした影響が劣化として表れやすくなります。
施工時に厚みが確保しにくい
立ち上がり部分は、施工時に防水層の厚みを均一に確保しにくいという特徴があります。
床面に比べて作業スペースが限られるため、防水層が薄くなってしまうケースも少なくありません。
厚みが不足した状態だと防水層の耐久性が下がり、劣化が早まる原因になります。
見た目では問題がなくても、内部ではすでに防水性能が低下していることもあるため、注意が必要です。
立ち上がりの劣化でよくある症状
立ち上がり部分が劣化すると、見た目に分かるサインが現れはじめます。
初期症状は小さくても、放置すると雨漏りにつながる可能性があるため注意が必要です。
ここでは、立ち上がりで特に見られる劣化症状を紹介します。
ひび割れが入っている

立ち上がりの表面に細かいひび割れが入っている場合、防水層が劣化し始めているサインと考えられます。
紫外線や寒暖差、建物の動きにより防水層が硬化し、表面に亀裂が生じることがあります。
一見すると、軽微なひび割れでも、そこから雨水が入り込み、防水層の内部で劣化が進行してしまいます。
特に、ひび割れが同じ場所に繰り返し現れる場合は注意が必要です。
浮き・剥がれ

立ち上がり部分の表面に浮きや剥がれが見られる場合も、劣化が進んでいる状態です。
内部に水分が入り込むことで、密着力が低下し、浮きや剥がれが発生します。
この状態を放置すると、防水層の下にさらに雨水が回り、劣化が一気に進む恐れがあります。
床に異常がなくても、立ち上がりだけに症状が出るケースも少なくありません。
端部や角(入隅・出隅)に隙間ができる

立ち上がり部分の端部や、入隅・出隅と呼ばれる角の部分は、特に負荷がかかりやすい箇所です。
建物の揺れや伸縮の影響を受けやすく、防水層に隙間ができやすい傾向があります。
こうした隙間は見落とされがちですが、雨水の侵入口になりやすいポイントです。
「角だけ少し空いている」「端がめくれている」といった状態でも、注意が必要です。
シーリング(コーキング)の劣化

立ち上がり部分には、防水層と壁・サッシなどの取り合いにシーリングが施工されています。
このシーリングがひび割れたり、痩せて隙間ができている場合、雨水が侵入しやすくなります。
築年数が経過している建物では、シーリングの劣化が原因で雨漏りにつながるケースがとても多いです。
そのため、防水層だけでなく、シーリングの状態もあわせて確認することが重要です。
立ち上がりの劣化、放置するとどうなる?
立ち上がりの劣化は、見た目の変化が小さいため後回しにされがちです。
しかし、気づかないうちに雨水の侵入口となり、建物内部で被害が進行してしまうことがあります。
では、立ち上がりの劣化を放置するとどうなるのか?起こりやすいリスクについて詳しく解説します。
壁内部へ雨水が侵入する

立ち上がり部分にできたひび割れや隙間から雨水が入り込むと、壁の内部へと水が回っていきます。
外からは見えない場所で水分が滞留するため、気づいたときには被害が広がっているケースも少なくありません。
壁内部に水が入り続けることで、下地材や断熱材が湿り、建物自体の耐久性が低下する恐れがあります。
天井や室内側に雨漏り症状が出る

侵入した雨水は、壁や天井裏を伝って移動し、別の場所に症状として現れることがあります。
その結果、天井のシミやクロスの浮き、室内への水滴など、分かりやすい雨漏り症状が出てしまいます。
「最初は小さな劣化だったのに、被害が広がってしまった」という相談もよくあります。
補修範囲が広がり費用が高くなる

立ち上がりの劣化を早期に発見できれば、部分補修で対応できる場合もあります。
しかし、放置して雨水の侵入が続くと、防水層全体や周辺部まで補修が必要になることがあります。
補修範囲が広がるほど、工事期間や費用も大きくなってしまいます。
小さな異変の段階で対応することが、結果的に負担を抑えることにつながります。
見落としやすい立ち上がりのチェックポイント

専門的な知識がなくても、自分で立ち上がりの劣化を確認できるポイントがあります。
難しい作業はなく、「いつ・どこが・どんな状態か」を意識してみるだけでも、原因のヒントをつかむことができます。
ここでは、自分でチェックしやすいポイントを整理して確認してみましょう。
| チェック項目 | 確認ポイント | 要注意な状態 |
|---|---|---|
| 立ち上がり表面 | ひび割れがないか | 同箇所にひび割れを繰り返す |
| 防水層の状態 | 浮き・めくれ・剥がれ | 端部が浮く/触ると動く |
| 端部・角(入隅・出隅) | 隙間や切れがないか | 小さな隙間が空いている |
| シーリング | 痩せ・ひび・剥がれ | 硬く弾力がない |
| 天候との関係 | 雨の日・雨の翌日 | 毎回同じ場所が湿る |
これらのチェックでひとつでも当てはまる場合は、立ち上がりの劣化が進んでいる可能性があります。
ただし、見た目だけでは内部の状態まで判断することは難しく、無理に自己判断するのはおすすめできません。
次に紹介する「補修・調査を検討すべきタイミング」を参考に、早めの対応を検討してみてください。
補修・調査を検討すべきタイミング

立ち上がりの劣化は、どの段階で対応するかによって被害の大きさが変わります。
軽度のうちに対処できれば、部分補修で済むこともありますが、判断を誤ると雨漏りにつながる可能性もあります。
ここでは、補修や調査を検討すべき具体的なタイミングを整理します。
応急処置で済ませてはいけないケース
ひび割れ部分に防水テープを貼ったり、コーキングを上から塗るといった応急処置で様子を見る人も少なくありません。
しかし、劣化の原因が内部にある場合、表面だけの対処では根本的な解決にならないことが多いです。
特に、同じ場所で症状を繰り返している場合や雨のたびに濡れが出る場合は注意が必要です。
一時的に症状が落ち着いても、内部では水の侵入が続いている可能性があります。
防水補修が必要になる症状の目安
- 立ち上がりのひび割れが広がっている
- 防水層が浮いている
- シーリングが劣化して剥がれ・隙間がある
このような状態は、防水補修を検討すべき状態です。
また、床面に異常がなくても、立ち上がり部分だけに劣化症状が出ている場合も注意が必要です。
これらの症状が見られる場合、放置すると雨水が建物内部へ侵入し、被害が広がる恐れがあります。
早めに補修を行うことで、工事範囲や費用を抑えられるケースも少なくありません。
判断に困ったときは専門業者に相談を!

ベランダ防水の立ち上がりの劣化は、見た目だけでは判断が難しいケースも多くあります。
「補修が必要なのか」「まだ様子を見ても大丈夫なのか」と迷った場合は、防水や雨漏りに詳しい専門業者に相談するのがおすすめです。
専門業者であれば、立ち上がりの状態を確認したうえで、
- 補修が必要かどうか
- 部分補修で対応できるか
- 調査が必要な状態か
などの点を整理して、判断してもらえます。
必要に応じて「雨漏り調査」を行うことで、原因を明確にし、無駄な工事を避けることにもつながります。
当社で行っている雨漏り調査について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
まとめ|ベランダ防水は床だけでなく立ち上がりの確認が重要
ベランダ防水というと床に目が向きがちですが、立ち上がり部分も雨漏りリスクの高い重要なポイントです。
- 立ち上がりは雨水や紫外線の影響を受けやすく、床より先に劣化することがある
- ひび割れや隙間を放置すると、壁内部や天井へ被害が広がる可能性がある
- 床に異常がなくても、立ち上がりの症状には注意が必要
小さな異変の段階で気づき、早めに対応することが、被害や修理費用を抑えるポイントです。
判断に迷った場合は、無理に自己判断せず、専門業者の調査を依頼し原因を明らかにすることをおすすめします。








