ベランダの床面がひび割れた!?FRP防水がひび割れる原因と修理方法などを紹介
ふとベランダの床を見たら、ベランダの床面にひび割れを見つけたけれど、このままでも大丈夫?と気になっている方へ、そのひび割れを放置していると雨漏りの原因となる可能性があります。
今回は、ベランダやバルコニーのFRP防水がひび割れてしまう原因や修理の方法・費用を紹介します。
FRP防水と防水についての基礎知識を解説
FRPとは何か?
FRPは、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastic)の略称であり、プラスチックに繊維を混ぜ合わせた複合材料の一種です。
一般的にガラス繊維や炭素繊維が使用され、プラスチックとの結合により高い強度と耐久性を持つ素材です。
FRPの特徴
FRPの特徴は、軽量でありながら高い強度を持つため、建物の軽量化や耐震性の向上が見込めます。
防水性があり、耐薬品性や耐候性にも優れているので、ベランダやバルコニーの床面や浴槽、プールなどの場所に向いています。
その他にもヘルメットや自動車や船、飛行機など様々なところで使われている素材です。
防水とは何か?
防水とは、水や湿気の侵入を防ぐことを指し、雨水などの浸入を防ぐために防水工事が行われます。
家の中で発生すると最も怖いことは雨漏りです。
家を作っている建築材料は水に弱いものが多く、長い間、水に晒されていると腐ってしまったり、サビが発生したりと様々な問題が起こります。
そうならないよう、様々な箇所で水が入らないようにする防水工事や仮に水が入ってしまってもすぐに排水できるような仕組みを作って、家を水から守っています。
防水工事をすることで、家の劣化や腐食を防ぎ、家の耐久性が向上します。
さらに室内への水漏れや湿気の侵入を防ぐことで快適性を確保し、住みやすい環境ができています。
以上のことから防水は、家の耐久性や快適性を確保するために重要な役割を果たしています。
FRP防水とは?
先ほど、様々な箇所に防水処理をしていますと書きましたが、その一つがベランダのFRP防水です。
FRP防水は、4種類ある防水工事の中の一つで他にウレタン防水・シート防水・アスファルト防水があります。
ベランダやバルコニーで行われる防水工事は、ウレタン防水またはFRP防水がほとんどを占めています。
理由は、FRP防水の防水性の高さと摩擦への強度が高いため、ベランダの床を歩いたり、何か重いものを置いても劣化しにくいからです。
また、家のベランダがFRP防水なのかを知りたい場合は、ベランダの床面を指で押して沈む感じがなく、硬さを感じたらFRP防水の可能性が高いです。
ウレタン防水については以下の記事もご覧ください。
FRP防水のひび割れ原因は?
FRP防水は、固まると防水の表面が硬くなるため、ひび割れがしやすい防水工法です。
ひび割れてしまう原因は、地震による揺れや太陽光(紫外線)を長い間、浴びていたことによる経年劣化です。
地震の揺れは、一度でひび割れを起こす可能性がありますが、家の近くに高速道路がある場合や近くの道路を大きな車が走った場合などの振動も家を揺らします。
この場合、一度でひび割れはできませんが、その状態が続くことでひび割れができてしまう原因なります。
他にも家は、寒くなると収縮し、暑くなると膨張することを繰り返しています。
これを比喩表現で家が呼吸しているという人もいますね。
特に木造の家はこの温度変化による収縮・膨張が多く発生します。
FRP防水は施工上、長方形のガラスマットを並べて防水層を作っているため、ベランダやバルコニーでこの収縮・膨張が行われると、ガラスマットの継ぎ目からひび割れが発生してしまいます。
なぜなら、防水表面が硬く伸縮性がないため、収縮と膨張の動きに合わせられないからです。
FRP防水のひび割れは2パターンある
一見同じように見えるひび割れですが、FRP防水には2パターンのひび割れがあります。
この見極めは難しいので、プロの防水職人に見てもらうようにしましょう。
トップコートのみのひび割れ
表面がひび割れているだけの場合は、トップコートがひび割れているだけの可能性が高いです。
トップコートは、防水性のない塗料でFRP防水面を太陽光(紫外線)から守るための保護材として塗られているものです。
このトップコートを塗ることでFRP防水面の劣化をしにくくさせ、防水性を長持ちさせてくれています。
修理の緊急性は低いですが、放置をしているとFRP防水面が剥き出しになり、FRP防水面の劣化が進行します。
その結果、防水性がなくなり、雨漏りに繋がってしまいます。
トップコートについてもっと詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。
FPR防水面のひび割れ
FRP防水の床面が剥き出しになっていると上の写真のような繊維のようなものが見えます。
これが見えている状態で亀裂やひび割れがある場合は、FRP防水面のひび割れの可能性が高いです。
今は雨漏りしていない家でも、近いうちに雨漏りするかもしれません。
室内の上にベランダやバルコニーがある場合は、天井に雨漏りが発生し、それ以外は軒天に雨漏りが発生する可能性があります。
修理の緊急性は高いので、すぐに業者に依頼しましょう。
FRP防水のひび割れを修理する方法
2パターンのひび割れを紹介しましたが、それぞれどんな修理方法があるのか紹介します。
簡易コーキング補修
大きなひび割れがある場合や目立つひび割れが10箇所くらいある場合は、簡易的なコーキング補修が可能です。
その他の髪の毛くらいの太さの細かいひび割れが複数ある場合などは、これから下記で紹介するトップコートの塗り替えやFPR防水の再施工のほうが長期的に見てコストパフォーマンスが良いです。
コーキングとは、シーリングとも呼ばれますが、防水の下地処理としても使われる乾燥すると固まり、ゴムのような伸縮性を持つ防水材です。
簡易コーキング補修では、このコーキングをひび割れ部分に注入して、ひび割れを埋めるので、結果的にひび割れへの水の侵入を防いでくれます。
ただし、あくまでも一時的な簡易補修となるため、数年後にはトップコートの塗り替えやFPR防水の再施工が必要になると思っておいたほうが良いでしょう。
トップコートの塗り替え
トップコートのみのひび割れの場合は、トップコートの塗り替え工事で修理が可能です。
トップコートの塗り替え工事は、既存のトップコートを削って、新しいトップコートを塗り直す工事です。
この工事をすることにより、新しいトップコートがFRP防水面を保護することができるため、防水性が長持ちします。
また、見た目も劣化した状態から新築のような見た目に変わります。
トップコートの塗り替え工程などについて、詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。
FPR防水の再施工
FRP防水面がひび割れている場合は、FRP防水の再施工が必要になります。
既存のFRP防水面の上に新しいFRP防水層を作る工事です。
既存FRP防水層の状態にもよりますが、雨漏りしていない場合はこの方法で防水性が元に戻ります。
雨漏りしている場合や歩いた時に水を含んでいると分かる場合は、既存FRP防水層に水が浸透しているので、傷んでいるFRP防水を撤去して新しく板を敷き、FRP防水の施工を行います。
新しくFRP防水をやり直すので、防水性はお墨付きです。
FPR防水の再施工について、詳しく知りたい人はこちらの記事もご覧ください。
FRP防水のひび割れの修理費用はどのくらい?
FRP防水のひび割れについての原因・修理方法まで分かったら、次に気になるのは費用ですよね。
費用については、ひび割れの種類やFRP防水の状態・広さによって大きく変わりますので、参考程度にご覧ください。
簡易コーキング補修
簡易コーキング補修の費用は、5000円〜になります。
作業範囲にもよりますが、作業日数は半日〜1日で終わります。
トップコートの塗り替え
トップコートの塗り替えの費用は約10万円〜になります。
作業日数は最短で1日で、天候や気温によって2日かかることもあります。
FPR防水の再施工
FRP防水の再施工の費用は1㎡あたり4,000〜7,500円前後が目安です。
ただし、雨漏りしている場合はこの金額よりも高くなる可能性があります。
作業日数は、最短で1日〜2日くらいですが、天候や気温・下地の状態などによって長くなる場合があります。
特に梅雨の時期は、雨の影響で1ヶ月〜2ヶ月遅れることもあるため、この時期の施工は控えたほうがいいでしょう。
まとめ
今回は、FRP防水のひび割れについて紹介しました。
- FRPは軽量でありながら高い強度を持ち、耐久性や防水性に優れています
- 防水工事は建物の耐久性や快適性を確保するために重要です
- FRP防水はひび割れを起こしやすい防水工法です
- ひび割れの原因は劣化や振動、温度変化による収縮と膨張によるものです
- トップコートのひび割れは緊急性は低いが放置すると雨漏りに繋がる可能性があります
- FRP防水面のひび割れは緊急性が高いので業者へ修理依頼しましょう
- トップコートのひび割れはトップコートの塗り替え工事が有効です
- FRP防水面のひび割れはFRP防水の再施工が有効です