屋根の釘が浮いていると言われたけど大丈夫?屋根の釘が浮く原因と修理方法・費用について解説します
ある日、急に訪問業者から「屋根の釘が浮いている」と言われたら、不安ですよね。
まずは過度に不安になる必要はありません。
屋根の釘が浮いているからと言って、すぐに雨漏りしませんので、安心してください。
実際にやねまるにも「屋根の釘が浮いていると言われたけど、業者が怪しいから見てほしい」というお問い合わせを毎月5件〜10件くらい頂いております。
そのようなお客様の家の現地調査を行うと、屋根の釘が浮いている事実がない場合や屋根の釘が浮いていても数カ所で補修程度の修理で解決する場合がほとんどです。
「屋根の釘が浮いている」と言われたら、まずは落ち着いて、屋根の状態を把握するために他の業者に現地調査の依頼をするようにしましょう。
業者を選ぶための判断材料にもなりますので、屋根の釘が浮いてしまう原因や屋根の釘を浮いたまま放置しているどんなことが起きるのかなどの知識つけましょう。
「屋根の釘が浮いている」とは、何?
まず、はじめに屋根の釘について解説します。
一昔前は、屋根の工事をするときに釘を使って様々な屋根の部材を固定していました。
その中で主に訪問業者が言う「屋根の釘が抜けている」は、屋根の棟瓦や棟板金を固定する釘のことを指しています。
棟瓦の釘が浮いている状態
上の写真のような瓦屋根には、棟瓦が使われています。
棟瓦は、真上に釘穴が空いており、そこに釘を入れて固定をしています。
棟板金の釘が浮いている状態
上の写真のようなスレート屋根や金属屋根(ガルバリウム・トタンなど)やアスファルトシングル(リッジウェイ)などの屋根に棟板金が使われています。
棟板金は、横に釘穴を開けて、釘を打って固定をしています。
屋根の釘が浮いてしまう原因
屋根の釘が浮いている状態とは、棟瓦や棟板金を固定している釘が緩んで、今にも取れそうな状態のことを言います。
屋根の釘は様々な要因が重なって約7〜8年ほどで少しずつ緩んでしまいます。
その要因は3つです。
1.寒暖差で木材が収縮して釘が浮く
棟瓦や棟板金の下には、釘を打ち込んで固定するために必要な木材が使われています。
※瓦の場合は棟芯材(むねしんざい)・棟板金の場合は貫板(ぬきいた)と呼ばれています。
木材の性質上、気温が寒いと収縮し、暑いと膨張するということを繰り返します。
その影響で固定している釘を外に押し出してしまい、棟瓦や棟板金から釘が浮いてしまう状況が起こります。
2.木材が腐敗して釘が浮く
寒暖差で木材が収縮して、釘が少し浮き始めたころに雨が降ったとしましょう。
釘に降った雨は、釘の形に沿って流れて、木材に辿り着きます。
それが何度も繰り返された場合、水を含んだ木材はどんどん腐り、釘はどんどん緩んで浮いていきます。
最終的にボロボロになった木材では釘を固定することができず、釘が抜け落ちてしまいます。
実際にこの状態までになっているときは、女性職人が軽い力でスッと釘を引っ張るだけで、簡単に抜けます。
3.台風や地震などの自然災害の影響で釘が浮く
棟瓦や棟板金は、屋根の一番高い位置にあるため、屋根の中で風の影響を最も受けやすいです。
特に台風などの風速17m/s以上の強い風が吹いたときは、しっかりと釘で固定していても風の影響でバタバタと動き、釘を緩ませてしまいます。
その他にも下から吹き上げるような風の場合、棟瓦や棟板金を持ち上げるようなかたちになるため、その力に耐えられず、釘が抜けてしまうこともあります。
また、日本は地震大国と言われるほど、地震が多い国です。
地震が起きると家全体を揺らすため、棟瓦や棟板金も同じように揺れます。
棟瓦や棟板金が揺れるということは、その揺れによって釘が緩んでしまい、浮いてしまう状態に繋がります。
今までに挙げた3つが全て重なって、屋根の釘が浮いている状態になる場合もあれば、1つの原因で釘が浮いている状態になることもあります。
他にもこの3つ以外の原因で釘が浮いてしまう可能性もあります。
例えば、工事業者の施工不良や人為的にわざと釘を浮かせるなどの場合も、ないとは言い切れません。
いずれにしろ、家の立地や環境によって原因は異なりますので、原因としっかり確認しましょう。
屋根の釘が浮いていると、どのようなトラブルが起きるのか?
もし、屋根の釘が浮いている状態をそのままにしていたら、どんなトラブルが起きるのかを解説します。
1.釘が抜けて棟瓦や棟板金が外れる・落下する
「屋根の釘が浮いている」とは、何?でも書いた通り、棟瓦や棟板金は釘で固定されています。
そのため、なんらかの原因で屋根の釘が浮いて、そのままにしていた場合は釘が抜けます。
釘が抜けると、棟瓦や棟板金は固定されていたものを失うため、落下する可能性が高くなります。
この写真は、実際に棟板金の釘が抜けてしまって落下した棟板金の写真です。
このときは外に誰もおらず、家の敷地内に落下したため、怪我人などは出ませんでしたが、これがもし人がいるところに落下したら・・道路に落下したら・・と考えると怖いですよね。
その他にも棟板金が一本の釘だけで固定されており、屋根から落下していないというケースもありました。
いつ、この釘が外れて落下するか分からない危険な状況です。
これでは安心して暮らせませんよね。
このようになってしまう前に点検は、5年〜10年毎に行うように心がけましょう。
2.雨漏りが発生する
屋根の釘が浮いていることをそのままにしていると、最終的に雨漏りに繋がってしまいます。
屋根の釘が浮いてしまう原因でも書いた通り、棟瓦や棟板金の下には釘を固定するための木材があります。
その木材がボロボロになるまで腐食してしまうと、木材よりも下に雨水が流れるようになってしまいます。
その状態が長期間続くと、やがて部屋の天井や壁に到達し、雨漏りを引き起こしてしまいます。
雨漏りは、家のトラブルの中で最も住んでいる私たちや家自体に大きな影響を与えます。
雨漏りが発生している家は、家を作っている躯体がボロボロになってしまう可能性やシロアリなどの害虫を呼び寄せることになります。
私たちにとっても、雨漏りしている箇所にカビが生えて、その胞子を吸ってしまうことで健康を害する可能性もあります。
やねまるにご依頼いただいたお客様で、雨漏りしていた家の方が咳が止まらなくなってしまって、病院に行っているという話も聞きました。
そうなってしまう前にまずは雨水が入ってしまう原因の修理をして、安心して暮らせるようにしましょう。
もし、本当に屋根の釘が浮いていたら、どんな修理が必要?
ここまで屋根の釘が浮いてしまう原因やどのようなトラブルが起きるのかについて解説しました。
もし、本当に訪問業者が言うように屋根の釘が浮いてしまっていたら、どのような修理方法があり、どのくらい費用がかかるのか解説します。
屋根の釘が浮いている数が10個くらいで下地の状態が綺麗なら、数万円の補修工事で問題ありません。
しかし、棟瓦や棟板金の下地の状態によって補修工事ではなく、少し大きな工事が必要になる可能性があります。
数万円の補修工事を何度も何度も行うより、少し大きな工事を1回行ったほうが費用が抑えられるケースもあります。
自分の家が棟瓦か棟板金でも修理方法や費用が変わりますので、自分の場合はどのケースになるか考えながら見てみましょう。
釘浮きの補修方法と修理費用
棟瓦と棟板金の釘が浮いているときの補修方法には、2種類あります。
価格 | |
釘の打ち込み | 15,000〜/1棟 |
コーキング補修 | 16,000〜/1棟 |
釘の打ち込みは、その名の通り、浮いてしまった釘をハンマーで打ち込んで、元に戻します。
これは、棟瓦や棟板金の下地が綺麗な状態で、既存の釘をただ打ち込むだけでもしっかり固定できる場合のみにできる補修方法です。
コーキングの補修は、釘を打ち込んだ後にコーキングというシリコンを上から重ねる方法です。
コーキングを釘の上から重ねるので、釘をフタするようなかたちになり、コーキングは固まるとゴムのような質感に変わり、釘が浮いてしまうことを防いでくれます。
コーキングは粘着質で、固まるとゴムのような質感に変わり、経年劣化が原因で効果が薄れてしまうことはありますが、釘が浮いてしまう原因で書いたような原因で取れてしまうことはありません。
棟板金の修理方法と修理費用
価格 | |
棟板金交換 | 6,000~/m |
棟板金が使われている屋根は、主にスレート屋根や金属屋根(ガルバリウムやトタンなど)・アスファルトシングル(リッジウェイ)などの屋根で使用されています。
言い方を変えると、瓦屋根以外のほとんどが棟板金が使われています。
自分の家の屋根に何の屋根材が使われているか分からない人は、瓦屋根か・そうでないかだけ分かれば判断ができます。
棟板金の交換は、釘が抜けてしまって外れてしまっていたり、棟板金が破損しているときに行う工事です。
または、棟板金の釘が浮いてるだけで、一見なにも破損や外れが見えなくても下地がボロボロで、釘が打てない場合で使われる修理方法です。
棟板金の交換方法は、既存の棟板金や下地を全て取り外して、新しい下地と棟板金に交換します。
交換するとき、棟板金を固定するのは釘ではなく、よりしっかり固定されるビスで固定をし、さらにコーキングを重ねて抜けないようにします。
ここまでしっかり行うので、次から「屋根の釘が浮いている」と訪問業者も言えなくなります。
棟板金の交換費用は、何メートル棟板金を変えるか・下地に何を使うかなどで費用が大きく変わります。
もし、費用に余裕がある場合は下地を木材ではなく、樹脂製の貫板を使うようにすると腐食することがなくなるため、おすすめです。
棟瓦の修理方法と修理費用
価格 | |
棟の積み直し | 8,000円~/m |
棟瓦は、瓦屋根のみに使われる専用の屋根材です。
そのため、自分の家が瓦屋根で訪問業者に「屋根の釘が浮いている」と言われたら、棟瓦の釘が浮いていると思ってください。
棟の積み直しは、棟瓦を取り外し、下地の漆喰や木材などを新しいものに交換をして、再び棟瓦を積み直す工事です。
この工事は、下地の状態がボロボロで釘が打てないときに行います。
棟の積み直しで棟瓦を固定するときは、よりしっかり固定されるビスを使います。
これだけでも十分ですが、さらにコーキングを上から重ねることによって、ビスが浮いてしまうことを防ぐことができます。
棟の積み直しの費用は、何メートル下地を変えるかによって、費用が変わります。
瓦は、耐久性が非常に高い屋根材のため長く使えますが、もし、棟瓦が割れていたり、ひび割れていたら、新しい棟瓦と交換する必要が出てきます。
その場合、通常の棟の積み直しに加えて、新品の棟瓦の費用もかかるので、そのことも頭の片隅にでも入れておきましょう。
訪問業者の「屋根の釘が浮いている」は、ただの営業トーク
最後に訪問業者が「屋根の釘が浮いている」と言う理由と対処方法をお伝えします。
タイトルにもありますが、訪問業者の「屋根の釘が浮いている」は、ただ工事を受注したいだけの営業トークで詐欺といっていいと思っています。
正直な話をすると、私たちプロの職人であっても、地上から見たときに明らかに棟板金が外れていたり、棟瓦がズレているというような状況でないと屋根の釘が浮いていることは分かりません。
誰も分からないから「屋根の釘が浮いている」と言って、不安を煽って契約させたり「無料で点検します」といい、屋根に上がって、何も異常のない棟板金や棟瓦を壊して「壊れてましたよ」と言います。
本当にただの詐欺です。許されません。
これだけ世間でこのような詐欺がありますと知られていても、被害がなくならないという現状です。
でも、全てが詐欺ではなく、その中の1%くらいかもしれませんが、善意でお伝えしている人もいます。
私たちプロの職人が隣で屋根の工事をしていて、屋根の釘が浮いていたり、取れてしまっているところを、ふと見つけることはあります。
そのときは、怪しいと思われそうだなと思いつつも、隣の方に写真を見せてお伝えしています。
訪問業者から「屋根の釘が浮いている」と言われたときの対処法
上記でも書いたように、地上からは屋根の釘が浮いていることは分からないので、「屋根の釘が浮いている」と訪問業者に言われ、「無料で点検しますよ」と言われても無視してください。
あまりにもしつこいときは「警察を呼びますよ」といって構いません。
すでに契約してしまったという人は、8日以内ならクーリング・オフができますので、国民生活センターに相談してみましょう。
もし、断りきれずに次回見積もりを持ってきますなど、次回訪問する約束をしてしまった場合は、会う・話すをしてしまうと訪問業者のペースに巻き込まれて、また断れなくなる可能性があります。
ひとりで対応をすることはやめましょう。
誰か家族または友人と一緒に会うか、自分以外の誰かに相談して断ってもらいましょう。
もし、家族や友人が難しい場合は、遠慮なく、やねまるにご相談くだい。
対応させていただきます!