屋根材「セキスイかわらU」の問題|メンテナンスは?塗装できる?アスベスト大丈夫?

「セキスイかわらU」劣化の問題やメンテナンス方法、塗装はできる?アスベストは入ってる?

セキスイかわらU」は、瓦を模した波状の形状をした軽量のセメント系屋根材です。

1975年に積水化学工業株式会社から発売されて以来、約40年にわたって「セキスイかわらシリーズ」として親しまれてきました。

しかし、発売時期により、アスベストを含むこと劣化によって瓦がぼろぼろに脆くなることの2点が問題となっています。

この記事では、「セキスイかわらU」の特徴やアスベストの健康リスク、劣化の実態、メンテナンスや塗装、そして葺き替え工事について解説しています。

また、活用できる補助金制度品質保証についても紹介しています。

セキスイかわらUとは

セキスイかわらUとは?

※写真は同シリーズのセキスイかわらCITY

セキスイかわらUは1975年に積水化学工業株式会社から販売が開始された瓦を模した軽量のセメント系屋根材です。

軽量であることと強固な固定法から、地震と台風に強い屋根材として、主にリフォーム向けに使われました。

しかし、アスベストの発がん性が判明し、アスベストを使用しない製造法に変更して(ノンアスベスト製品)発売が継続されました。

そして、2つの問題が残りました。

  1. アスベストを含む製品を使用した屋根が多数現存する
  2. ノンアスベスト製品が劣化しやすいこと

アスベスト製品の問題

アスベスト製品の問題

※アスベストの写真

セキスイかわらU」は1975年の販売当初から、白石綿、茶石綿という種類のアスベストを10~14%含んでいました。

しかし、これらの製品は、1990年まで25年間販売され、多数の住宅に使用されました。

アスベストの健康被害は?

アスベストは天然の鉱物繊維で、丈夫で変化しにくい特性を持っています。

そのため、吹き付け材や保温・断熱材、スレート屋根や外壁などのスレート材・内装材などに使用されてきました。

しかし、極めて細かい繊維のため飛散しやすく、吸入してしまうと、じん肺、悪性中皮腫、肺がんの原因になります。

実際に、セキスイかわらUを製造していた積水化学工業株式会社のグループ企業「岡山積水工業(株)」では、退職者のうち1名が石綿肺と診断され、別の1名には胸膜プラークが確認されたという報告もあります。

劣化の問題|ノンアスベスト製品

劣化の問題:ノンアスベスト製品

※写真は同シリーズのセキスイかわらCITY|塗装のはがれが見られる

1991年以降の製品はアスベストを含みませんが、塗装の剥がれやひび割れ、ボロボロになるなど、劣化が進みやすい特徴があります。

劣化の進み方

ノンアスベストのセキスイかわらUの劣化は、おおよそ次のように進みます。

  1. 塗装が剥がれ白っぽく変色
  2. 本体表面のめくれ、ひび割れ発生
  3. 脆くなり、屋根に人が乗るだけで割れることも

品質保証について

平成12年(2000年)4月に施工された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)により、新築屋根材には10年の品質保証が義務付けられました

2013年9月まで販売されたセキスイかわらUの場合、新築10年間未満なら保証対象の可能性があります。

なお、品質保証はメーカーから建築工事をした工務店に掛けられているものなので、品質保証の適用を受けたい場合は、その旨を工務店に伝えることになります。

他の屋根材と同様の課題

ほかの屋根と類似問題:スレート屋根材・パミール

※劣化が進んだスレート屋根材「パミール

セキスイかわらUと同じ時期に販売されたセメント系屋根材(スレート屋根材など)も劣化が問題になっています。

アスベストは、安定していて劣化しにくいため、昭和30年ごろから屋根を中心に多くの建築資材に使われてきましたが、その後に発がん性があることが判明し、製造・販売が禁止となりました。

ノンアスベストのスレート屋根として開発され販売された「パミール」という製品があります。

この製品は、設置後の早期劣化が問題になりました。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

メンテナンス方法は?|アスベストを含むセキスイかわらUの場合

メンテナンス方法:アスベスト含むセキスイかわらUの場合

アスベストが含まれているセキスイかわらUの場合、劣化の進行がゆるやかで安定しており、劣化が進んでいなければ特別な管理を必要としないとされています。

しかし、屋根材に穴をあけたり、切断したりすると、アスベストが飛散する可能性があるので、避けてください。

劣化が進んでいれば「撤去し他の屋根材に葺き替える」の一つの手段です。

信頼できる屋根工事業者に見てもらい、葺き替え工事の相談をしましょう。

アスベストを含む屋根材について、こちらの記事をご覧ください。

メンテナンス方法は?|ノンアスベストのセキスイかわらUの場合

メンテナンス方法:ノンアスベストのセキスイかわらUの場合

ノンアスベストのセキスイかわらUの場合、劣化がかなり進行している可能性があります

塗装はできる?

塗装はできる?

屋根のメンテナンスで代表的な方法が塗装です。

本来は、塗装により屋根材を保護し、屋根の寿命を延ばすことができますが、劣化が激しい場合は、屋根に塗装をしても効果はありません

そのため、劣化が進んだセキスイかわらUの屋根の対処は、葺き替え工事1択です。

葺き替え工事

葺き替え工事とは?

最も確実なメンテナンス方法は葺き替え工事です

しかし、撤去時はアスベストの有無で撤去方法がしっかりと確認する必要があります。

  • 1990年までに設置していればアスベストを含む
  • 1991年以降の設置ならノンアスベスト化された製品

積水化学工業のグループ会社「セキスイルーフテック」が証明書発行やメンテナンスを行っており、「セキスイかわらゼロアスベスト証明書」という証明書がありますので、取得するのもいいでしょう。

葺き替え工事について、こちらの記事で詳しく紹介しています。

屋根材が分からない場合

屋根材が分からない場合は?

ここまで「セキスイかわらU」について解説してきましたが、そもそも屋根材が何かわからないということもあるでしょう。

その場合は、信用できる屋根工事業者に点検を依頼してください。

セキスイかわらUは、屋根の業界では有名な屋根材ですので、判別しやすいはずです。

その際、劣化状態やアスベストについて説明をしてもらうといいでしょう。

補助金制度はある?

補助金制度はある?

屋根の葺き替えに関しては、自治体や国のリフォーム補助金が利用できる場合があります。

対象となる条件や申請方法は地域によって異なるため、事前に自治体の窓口や公式サイトで確認しておくと安心です。

まとめ

セキスイかわらUは、瓦を模した波状の形状の軽量セメント系屋根材で、かつて多くの支持を集めていました。

しかし、1990年までに製造された製品にはアスベストが含まれていて、健康被害のリスクがあることが分かっています。

1991年以降に製造されたノンアスベスト品についても、耐久性に課題があり、ひび割れなどの不具合が発生しやすい点が問題となっています。

劣化が軽度な場合は、塗装でのメンテナンスが可能ですが、著しく劣化している場合は、葺き替え工事が必要です。

保証内容や補助金制度をしっかりと確認し、状況に応じた適切な対処を行うことで、安心して長く住める住環境を維持しましょう。

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2023年6月21日住宅知識,屋根