壁のヒビを発見!この家大丈夫なの?ヒビの危険度チェックと応急処置について解説
なんとなく家を見上げたときに、壁のヒビ割れを発見して不安になっている人もいるのではないでしょうか。
もちろん、壁のヒビは傷んできている証ではありますが焦ることはありません。
落ち着いて状態を確認し、適切な対処しましょう。
あまりにも焦るあまり、悪い業者に補修を依頼してしまい、多額の費用負担が生じてしまったという話も耳にします。
今回は、そうならないよう壁のヒビの危険度と対処法などについて解説していきますので、最後までご覧ください。
壁のヒビの状態によって危険度は異なる?
壁のヒビ割れは、幅や状態によって危険度が異なります。
ただ1つ言えることは、早急になにか対策しなければ壁が崩落し、家が壊れてしまうようなことはありません。
それぞれの壁のヒビの状況を適切に判断して、修繕方法を選択することが大切です。
ここでは、壁のヒビを3つに分類してそれぞれ解説していきます。
最終的には信頼のおける業者に判断してもらいましょう。
【危険度:★★★】構造クラック
国土交通省の規定で、幅0.3mmを超えるひび割れを「構造クラック」と呼びます。
幅0.3㎜を超えるクラックからは雨水や湿気が侵入しやすく、構造部分に悪影響を及ぼします。
鉄筋コンクリート造の場合
例えば、鉄筋コンクリート造であれば、鉄筋が雨水に触れることで、サビを発生させコンクリートの爆裂を起こしてしまいます。
爆裂とは、コンクリートの劣化症状の一つで正式名称は鉄筋爆裂と言います。
爆裂と見ると怖く感じてしまうかもしれませんが、ここでいう爆裂は、コンクリート内部にある鉄筋が、サビて膨張したことにより、内側からコンクリートを押し出してしまうことを指します。
木造の場合
木造の場合だと、壁のヒビから入り込んだ雨水が骨組みである木材を腐食させてしまいます。
さらに骨組みである木材が腐食して湿っている状態は、シロアリが住みやすい大好物な環境です。
シロアリが木材を食い荒らして、骨組みである木材をボロボロにし、支えられない状態になる可能性も考えられます。
上記2つの点から、幅0.3㎜を超えるヒビは危険度が高いと言えます。
【危険度:★★】縁切れクラック
縁切れクラックは、主にモルタルやコンクリートの壁で発生する症状で、壁を区切るようにまっすぐ伸びるヒビ割れです。
通常は、一度に一面の壁を仕上げますが、天候などの状況により塗装作業を中断したり、部分的にやり直しをすることがあります。
次、塗装するまでに空いた期間が1日〜2日であれば問題ありません。
しかし、1ヶ月〜2ヶ月くらいの期間が空いて、中断したところから塗料を塗ると塗料の乾燥に差が出てしまい、元々塗っていた部分と新しく塗り始めた部分の境目でクラックが起きてしまいます。
このように縁切れクラックは原因が明確であり、幅の広いクラックには成りにくいことから、危険度は【中】になります。
ただし、コンクリートの縁切れクラックは、強度に影響する場合がありますので注意が必要です。
【危険度:★】ヘアクラック
幅が0.3㎜未満のクラックをヘアクラックと呼びます。
ヘアクラックは、幅が狭く、雨水の侵入する可能性が限りなく低いため、危険度の低いクラックと言えます。
また、幅が狭いので、構造体部分までクラックが進行する可能性も低いです。
そのため、ヘアクラックくらいであれば、様子見でも問題ないでしょう。
ただし、ヘアクラックを放置しておくと構造クラックに変っていくこともあります。
特にヘアクラックが広範囲に複数ある場合や塗装の色あせがある場合などは、壁塗装や補修程度で構造クラックへの進行を抑えることができるので、早めの対策と点検をすると良いです。
何故、壁にヒビが発生するのか
壁にヒビが発生する原因は、4つあります。
それぞれ以下で説明します。
原因①|乾燥による収縮
コンクリートやモルタルは、砂利・砂・セメント・水を混ぜ合わせることによって作られます。
完成後も、ある程度の水分が含まれていますが、天候や気温の変化で水分が蒸発して失われます。
水分が蒸発すると、コンクリートに乾燥による収縮が起こり、その結果として、ヒビ割れが発生します。
原因②|地震による振動
壁に使われる材料は、コンクリートやモルタルなど基本的に硬くなる性質を持ったものです。
硬質である以上、地震の揺れに合わせて動くことができないため、直接影響を受けることになります。
震度にもよりますが、地震が起きると壁にヒビが発生すると覚えておきましょう。
原因③|外壁塗装の施工不良
残念ながら、壁のひび割れは、施工不良によって発生することがあります。
例えば、外壁塗装の塗料の厚み不足や塗料の硬化不良などで塗膜自体にひび割れが発生してしまいます。
このひび割れは、塗膜(塗料の膜)に問題があるため、下地であるコンクリート・モルタルには影響しません。
しかし、下地のコンクリートやモルタルを守るはずの塗膜に問題があるので、将来的に構造クラックに繋がる恐れがあります。
原因④|トラックや電車などの振動
意外かもしれませんが、地震以外の振動が壁のひび割れの原因となることがあります。
それがトラックや電車などから発する振動です。
地面から伝わる微細な振動を継続的に受け続けることによって、壁にヒビが発生してしまう可能性があります。
特に大きな幹線道路や線路が近い住宅は、このような振動を受けやすい環境だということを覚えておくと良いでしょう。
壁のヒビを放置していると危険度がUPする
見つけた壁のヒビが小さいからと安心して放置しておくと、危険度がどんどん上がっていきます。
つまり、ヒビが広範囲に広がったり、ヒビの幅が大きくなったりする可能性があるということです。
これから以下で説明する問題は単体で起こることもありますが、様々な状況が繋がって問題として浮上するというイメージを持ってほしいです。
その点も踏まえて、壁のヒビ割れを放置した場合に起こりうる問題について見てみましょう。
壁の劣化で美観が損なわれる
ヒビ割れが放置されると、時間と共に壁の劣化が進みます。
ヒビ割れの範囲もどんどん広がり、汚れや劣化が目立つようになり、見た目が悪くなってしまいます。
デザインや見た目にこだわる人にとっては、残念に感じてしまうかもしれません。
雨漏りの発生
壁のヒビ割れが放置されると、雨水や湿気が建物の内部に浸入しやすくなります。
初めは少量の水の侵入が放置される月日が経てば経つほど、内部にどんどん侵入して、部屋の壁や床に雨漏りを発生させる可能性があります。
一度、雨漏りが発生してしまうと、場所によって日常生活に支障が出てしまいます。
カビやシロアリの発生
ヒビ割れから浸入する雨水は、建物内部にシロアリやカビを発生させる原因を作ってしまいます。
カビは、通気性が悪い湿った場所を好み、壁のヒビに溜まった汚れを食べて増殖します。
増殖した結果、人間の健康に害を及ぼす可能性が高まり、呼吸器系の問題やアレルギーを引き起こすことがあります。
シロアリは、湿っていて暖かい場所を好み、幅が0.6mmのクラックがあれば侵入してくると言われています。
また、雨水で腐食した木材が大好物なため、骨組みの木材を食い荒らし、結果的に耐久性を弱らせる可能性があります。
耐久性の低下
壁は、建物の構造を支える重要な部分です。
その壁にあるヒビ割れが放置され、雨漏り・シロアリ・カビの発生などの問題が発生すると、最終的に建物の構造に影響を与え、建物全体の耐久性が低下します。
これにより、建物の価値が下がるだけでなく、将来的な修復やメンテナンスコストも増加する可能性があります。
耐久性が低下すると、最悪の場合、地震などの自然災害時に抵抗する力が弱まり、建物が壊れてしまうかもしれません。
壁のヒビを発見したときに出来ること
壁のヒビ割れは、建物の安全性と美観にとって対処しなければならない問題です。
ヒビ割れを発見したときに出来ることについて以下で説明します。
壁のひび割れのサイズを確認する
無理のない届く範囲で構いません。
どのお宅でも1枚くらいは、クリアファイルがあると思います。
無ければ、名刺や紙のポイントカードでも大丈夫です。
ひび割れにクリアファイルなどを入れて、壁のヒビの幅を測ってみましょう。
標準的なクリアファイルの厚みが0.2mm・厚手のクリアファイルで0.3mmなので、クリアファイルが入らなければ構造クラックではないので、様子を見ても大丈夫でしょう。
もし、クリアファイルが余裕で入るくらいなら、修理が必要になる可能性が高いため、業者に連絡しましょう。
業者に連絡する
壁のひび割れのサイズを確認して、クリアファイルが余裕で入るくらいだった場合やひび割れが広範囲に見える場合は、業者へ連絡し、調査をしてもらいましょう。
調査自体は、無料で対応してくれる業者が多いので、費用の心配はありません。
調査を依頼するときは、2~3社くらいに見てもらい、人柄の良さや明確に説明してくれるか、実績はあるかなどを見て、信頼できそうな業者を選びましょう。
壁のヒビはDIYで直せる?
この記事を読んでいる人の中には「可能なら業者に頼まず、自分でDIYで直したい」と考える人もいるかと思います。
結論から言うと、壁のヒビは応急処置としてであれば、DIYで直すことができます。
実際にホームセンターに行くと、様々な壁のひび割れ補修材も売っています。
ここでは、DIYでヒビを修復する方法を紹介しますが、あくまでも一時的な応急処置となります。
応急処置|シーリングで埋める
壁のヒビを見つけたときに、最も簡単に直す方法がシーリングで埋めることです。
工具や材料は、全てホームセンターで準備できます。
必要なものは以下です。
- シーリング材(ポリウレタン系)
- コーキングガン
- マスキングテープ
- ヘラ
作業は以下のように行いましょう。
- ヒビに沿ってマスキングテープを貼る
- ヒビの上にシーリング材を塗り付ける
- 塗り付けたシーリング材を、ヘラでヒビの中に押し込む
- ヒビの表面のシーリング材を平らになるよう、均す
- マスキングテープを取り除いて完了
火災保険や地震保険で修理費用を賄えるかもしれません
壁のひび割れで修理をする場合、ひび割れた原因によっては、火災保険や地震保険で修理費を賄えるかもしれません。
もし、ひび割れた原因が地震や風で飛ばされた飛来物が壁に当たったなどの自然災害が原因の場合は、火災保険や地震保険に申請することができます。
審査の結果、被災による破損と認められれば、火災保険や地震保険から修理費をもらって修理をすることが可能です。
火災保険について、もっと詳しく知りたい人はこちらもご覧ください。
ただ、火災保険と地震保険では、申請の条件や支払われる修理費など、細かな部分が異なるため保険申請に慣れている業者などにサポートをお願いしたほうが良いでしょう。
壁のヒビは危険度の判断からプロに任せましょう
この記事では、壁のヒビについて危険度別のひび割れ紹介や原因・対策などを紹介しました。
壁のヒビは、幅によって危険度が異なりますので、幅の見極めが大切になります。
幅が0.3mm以上の構造クラックに発展する前の段階で適切な目を持って、処置していくことを心掛けましょう。
この記事が壁のヒビ割れを気にされている人にとって、少しでもお役に立ったなら幸いです。