雨どいの修理は火災保険でできるのか|適用条件は?申請の流れは?

雨どいの修理が火災保険でできると聞くとちょっと不思議に思われるかもしれません。しかしもし雨どいが自然の風や雪が原因で壊れた場合には火災保険が適用できるかもしれません

この記事では雨どいの修理が火災保険でできるのかについて解説します。火災保険の適用条件は?申請の流れは?といった疑問も解説しています。

ご自宅の雨どいが壊れた原因が分からない場合のご案内もしておりますので、ぜひ最後までお読みください。

雨どいの修理は火災保険でできるのか

雨どい 火災保険
結論から言いますと、雨どいは火災保険が適用になる可能性があります。

火災が起きていなくても、壊れたのが雨どいだけどいう場合にも、火災保険が適用になる可能性があります。

ただし、補償の範囲の自然災害が原因で壊れた場合で、経年劣化での破損は含まれません。

また、壊れてから3年以内の申請、修理にかかる費用が20万円以上などの適用条件がかかっている場合があります。

適用条件についてはこの記事の後半の「雨どい修理の火災保険の適用条件は?」で解説していますので、気になる場合はこちらから先にお読みになるのもよいでしょう。

雨どいは適用の可能性がある

屋根の積雪と雨どい
火災保険は万が一の火災で家が焼失した場合などに適用される保険です。しかしそれだけではありません。

一般的な火災保険が補償対象としているのは以下のような損害です。

雨どいに関連があるのは、以下のうち「風災」と「雪災」です

一般的な火災保険が補償対象にしている損害
    1. 火災による損害
    2. 落雷による損害
    3. 破裂又は爆発による損害
    4. 航空機の墜落若しくは接触又は航空機からの物体の落下による損害
    5. 車両の飛び込みによる損害
    6. 同一の建物の上層階に居住する他人の住居のいっ水により生じた水漏れによる損害
    7. 台風、突風又は旋風等による損害(風災)
    8. 暴風雨、洪水、豪雨又は長雨等による損害(水災)
    9. 積雪、雪崩又は降雹等による損害(雪災)

※加入している火災保険により異なる場合がありますので、詳細はご自身が加入されている火災保険の重要事項説明書などをお読みになりご確認ください。

火災保険の契約対象

火災保険
また、一般的な火災保険で契約できる対象としては以下のようになっています。

一般的な火災保険で契約できる対象
  1. 住んでいる自分の家(持ち家)の建物と動産
  2. 住居を貸している方(貸家)の建物
  3. 住居を借りている方(借家)の動産
  4. 店舗併用住宅に住んでいる方の建物と動産
※「動産」とは、日常生活に必要な家具・什器、電化製品、衣服、寝具類、身回品およびその他生活用動産のことです。
※加入している火災保険により異なる場合がありますので、詳細はご自身が加入されている火災保険の重要事項説明書などをお読みになりご確認ください。

雨どいを直したい方は持ち家の方、住居を貸している方、店舗併用住宅に住んでいる方でしょう。

この場合一般的な火災保険ではいずれも「建物」が契約できる対象になっており、雨どいは「建物」の一部ですから、雨どいは火災保険契約の対象に含まれています

ここまでは一般的な火災保険の内容について解説しました。雨どいは適用の可能性があることが分かりましたね。

火災保険の種類

火災保険には、一般的な火災保険である「住宅火災保険」のほかに「住宅総合保険」「オールリスクタイプ」といったタイプの火災保険があります。

いずれも一般的な火災保険よりも補償の範囲が広いものとなっています。

火災保険の種類
  • 住宅火災保険:一般的な火災保険。補償範囲はこの記事の解説を参照。
  • 住宅総合保険:住宅火災保険の補償範囲に加え、台風・暴風雨による水害・水漏れ・盗難などについても補償範囲に含まれる。
  • オールリスクタイプ:補償範囲の最も広いタイプ。機械設備の電気的・機械的事故、ガラス破損リスク等も補償範囲に含まれる。

※「機械設備」は、一般に給水設備、排水設備、ガス設備、換気設備などをさします。

雨どい修理の火災保険の適用条件は?

ご自宅の雨どいが火災保険の適用になるかどうかは、それぞれの家の状況によって違います。ここでは基本的な適用条件について解説します。

最初に、火災保険を適用できない場合を解説します。まずこれらに該当しないことを確認のうえ次に進みましょう。

火災保険を適用できない場合
  • 雨どいの破損の原因が経年劣化である場合
  • 雨どいが破損してから3年以上たつ場合
  • 雨どい修理に必要な金額が20万円未満または免責金額以下の場合

雨どいの破損の原因が経年劣化である場合

雨どいは自然災害の風災や雪災で壊れることがあり、火災保険の適用になる可能性があります。

しかし、年数とともに老朽化して破損という経年劣化が原因である場合は補償範囲に含まれません

雨どいが破損してから3年以上たつ場合

火災保険の申請・請求期限は3年です。 保険法という法律の第95条に「保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第63条又は第92条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、3年間行わないときは、時効によって消滅する」とあり、3年間で時効を迎えてしまうことが規定されています。

ただし、特別に3年以上の長い期間請求できることにしている火災保険もなかにはありますので、雨どいが壊れて3年以上経過している場合も念のため確認するといいと思います。

雨どい修理に必要な金額が20万円以下または免責金額以下の場合

雨どい修理に必要な金額が20万円以下または免責金額以下の場合、保険金は支払われません

どちらの条件が適用されるかは火災保険によって違い、20万円以上の条件のほうを「フランチャイズ方式」、免責金額以上と設定されているほうを「免責方式」とよびます。

免責金額は0円、1万円、3万円、20万円などというように設定金額は火災保険によりさまざまです。

雨どい修理の火災保険の適用条件

「火災保険を適用できない場合」のどれにも該当しないことを確認したうえで、基本的な適用条件を確認します。

適用条件としては、その火災保険の補償対象の損害を受けた場合です。

雨どいの場合は「風災」または「雪災」が原因で破損した場合と言っていいでしょう。

考えられる具体的な損害の例としては、

  • 強風で雨どいの一部が外れてしまった。
  • 積もった雪の重さで雨どいが歪んでしまった。
  • 雹(ひょう)が激しく降り雨どいに穴が開いてしまった。

ということがあります。最近は普段吹かないような方角からの強い風が吹いたり、東京周辺でも雪が積もることがあります。

雨どいの接続が強風ではずれて大変危険な状態に!

また、夏に積乱雲の発達で大粒の雹が降るということもあります。

雹が降って雨どいや屋根、カーポートが壊れることもあります。

※なお、ご自宅の雨どいが火災保険の適用になるかどうかは、一定の手続きののちに最終的には保険会社が判断します。

これはあくまで基本的な適用条件です。

雨どい修理に火災保険から受け取れる金額は?

火災保険が適用となって保険金がおりることになった時に、受け取れる金額はいくらになるのでしょうか。

「フランチャイズ方式」の火災保険と「免責方式」の火災保険とで違いがあります。

受け取れる保険金の金額
  • フランチャイズ方式:被害額が20万円を超えたときに被害額全額を保険金として受け取ることができる。
  • 免責方式:被害額から免責金額を差し引いた金額を保険金として受け取ることができる。
※ここでは理解しやすいように、被害額の全額が対象になった場合で説明しています。

一例として、被害額が10万円、20万円、30万円、免責金額が5万円のときに受け取れる保険金の金額を表にしました。

フランチャイズ方式 免責方式
被害額20万円以上 免責5万円の場合
保険金 被害10万円 0円 5万円

(10万円ー免責5万円)

被害30万円 30万円 25万円

(30万円ー免責5万円)

被害50万円 50万円 45万円

(50万円ー免責5万円)

※この表では理解しやすいように、被害額の全額が対象になった場合で説明しています。実際には火災保険によって計算の方式が違い、被害額全額が支払われない契約もあります。

(例:フランチャイズ方式の火災保険に契約だが、被害額25万円に対して保険金は15万円だった。被害額は20万円以上なので適用だったけど受け取れたのは15万円だった。など。)

雨どい修理の火災保険の申請の流れは?

雨どい修理の火災保険の申請の流れについて解説します。

雨どい修理の火災保険の申請の流れ
  1. 契約している火災保険の契約内容を確認する。「風災」「雪災」が補償範囲になっていることを確認。
  2. 業者に見てもらう。火災保険を申請するつもりであると伝え、修理の見積をしてもらう。
  3. 保険会社に被災の連絡。提出書類をとりよせる。
  4. 保険会社への書類を作成し送付する。現地の写真や図面、業者からの見積も必要。
  5. 保険会社の現地調査が来る。(書類審査のみの場合もある)
  6. 保険金の受け取り。指定した口座に振り込まれる。
  7. 業者に雨どいの修理を開始してもらう。

このような流れで雨どい修理の火災保険の申請を進めます。注意すべき点としては、

  • 雨どいが壊れたときに慌てて直してしまうのではなく、まず、「風災や雪災によるものではないか?」どうだろう、と火災保険適用に詳しい業者に見てもらいます
  • 火災保険が保険会社の判断で最終的に適用となり保険金を受け取れたのを確認してから、雨どいの修理の作業を業者に開始してもらう

特に、雨どいの修理の作業は保険金が受け取れたのを確認してから、というところが重要です。

保険金がおりない場合や保険金が損害額よりも低い場合もあり得ます。このようなときに修理だけ先にしてしまっていたら支払い関係のトラブルの原因になります。

雨どいが壊れた原因が分からない場合も

雨どいが壊れたけれど風災・雪災によるものかどうか、分らないことが多いでしょう。

プロの目で見てもらうという意味で、火災保険適用での受注実績のある業者に見てもらうというのが賢い方法です。

分からない場合にプロの目を持った業者の協力を得ることで、どうするべきか判断できるようになると思います。

火災保険適用での修理に詳しい業者の場合、ただ雨どいを修理することを考えているのではなく、以下のような協力が得られるでしょう。

火災保険適用での修理に詳しい業者の協力
  1. 雨どいを現地調査し風災、雪災で破損したのかの検討
  2. 破損状況の写真の撮影
  3. 必要な場合は応急処置
  4. 雨どい修理の内容の説明
  5. 火災保険適用の場合の工程・手配・工事の内容の検討(資材発注の手配、作業員への作業指示、道具・車両の手配、近隣住人へ工事のお知らせ手配など)
  6. 火災保険適用の場合の工程で修理のときの見積書作成(火災保険適用のための手続きにより工程が遅れる分を考慮)
  7. 保険会社の現地調査の際、業者が立ち会ってくれて保険会社の方に説明してくれる

    火災保険適用での修理に詳しいしっかりした業者に見てもらうことで、ただ見積書をもらって修理してもらうだけの間柄ではなく、これほどの協力を得られるのだと分かると、火災保険適用に詳しく実績のある業者に協力してもらうことはメリットが大きいと感じていただけるのではないでしょうか。

    2023年4月3日住宅知識,雨どい修理,火災保険,雨樋