屋根材カラーベストとは|スレートとの違いやメンテナンスは?アスベスト大丈夫?

カラーベストはケイミュー(株)が販売する屋根材で、同名称を付した製品は昭和30年代(1960年代)から続く長い歴史を持っています。

当初のアスベスト含有製品からの切り替え、製造メーカーの統合といった経緯を経ながら、現在は多くのラインナップを持つ化粧スレートの代名詞ともいえる存在となっています。

この記事では屋根材カラーベストについて解説します。

スレートやコロニアルとの違いは?アスベストでの健康被害は大丈夫なの?メンテナンスの方法は?屋根葺き替えの補助金制度はあるの?といった疑問も解説しています。

カラーベストとは?

スレート屋根の写真

カラーベストの基本的な事項について解説します。

スレートやコロニアルとの違いは?

カラーベストは屋根材の種類としては「住宅屋根用化粧スレート」となります。

一般に「住宅屋根用化粧スレート」は屋根の話題の中では略して「スレート」と呼ばれることが多くあります。

「スレート」は、「瓦」や「金属屋根材(ガルバリウムなど)」と並ぶ屋根材の種類です。

屋根材の種類
  • スレート屋根:スレートで葺いた屋根
  • 瓦屋根:粘土瓦・セメント瓦で葺いた屋根
  • 金属屋根:金属瓦・金属板で葺いた屋根

スレート」のことを「コロニアル」や「カラーベスト」と呼んでいるのを見かけることがあります。

「コロニアル」や「カラーベスト」はケイミュー(株)から販売されているスレートの商品名です。

整理すると以下のようになります。
屋根材の種類である「スレート」のことを「コロニアル」や「カラーベスト」といった商品名で呼んでいるのを見かけるのは、スレートの中でこれらの商品の知名度が非常に高いために、いつしか「スレート」を指して呼ぶようになったのだと思われます。

なお、スレートについて詳しく解説した記事がありますので、こちらもぜひお読みください。

製品の変遷

カラーベストは1961年に久保田建材工業株式会社(1990年に(株)クボタに社名変更)から屋根材として「カラーベストコロニアル」が販売されたときからその名称が続いています。

アスベストが劣化しにくい安定した材料であることから、当時各メーカーからアスベストを含む化粧スレートが多数製造され多くの住宅に使われていました。

カラーベストコロニアルもアスベストを含む製品でした。

その後アスベストに発がん性があることが分かり、平成16年(2004年)に法律で使用が全面的に禁止となります。

カラーベストコロニアルには「アーバニー」「ジュネス」「コロニアル」など多くのラインナップがありましたが、国土交通省の資料によると、1976年~2001年を最後にそれぞれアスベスト含有製品の製造を終了しています。

現在販売されている「カラーベスト」はアスベストを含まない製品で、以下のように4シリーズを持つ豊富なラインナップがあります。

現在のカラーベストのラインナップ
  • プレミアムグラッサシリーズ
    • レイシャスグラッサ(全4色)
    • グラッサ600(全4色)
    • グラッサ600・シャッフル(全3パターン)
  • グラッサシリーズ
    • コロニアルグラッサ(全23色)
    • コロニアルグラッサ・シャッフル(全4パターン)
  • 遮熱グラッサシリーズ
    • コロニアル遮熱グラッサ(全9色)
  • クァッドシリーズ
    • コロニアルクァッド(全10色)

※カタログによる

スレートは屋根材として軽量で比較的安価であることから多くの住宅で使われています。

カラーベストはスレートの中でも非常に知名度の高い製品です。

メーカーの変遷

1961年から屋根材として「カラーベストコロニアル」を発売していた久保田建材工業株式会社は、1990年に「(株)クボタ」に社名変更しています。

2003年には(株)クボタと松下電工(現パナソニック)の2社が統合し「クボタ松下電工外装(株)」となります。

さらに2010年に「ケイミュー(株)」に社名変更し、現在に至っています。

「カラーベスト」や「コロニアル」の話題の中で「ケイミュー(株)」の他に「(株)クボタ」の名前が出てくることがありますが、それはこのようなメーカーの変遷があったためです。

アスベストでの健康被害は大丈夫なの?

アスベストの写真

※アスベスト

国土交通省の資料によると、1961年に屋根材としてカラーベストコロニアルが販売になった当初はアスベストを含む製品で、白石綿という種類のアスベストを10~25%含んでいました。

同資料によるとカラーベストコロニアルは2001年を最後に製造を終了しています。

その後、法律で2004年10月からアスベスト含有製品の使用が全面的に禁止となります。

このような経緯ですので、2001年前後までの工事でカラーベストコロニアルを使用している場合、アスベストを含む製品の可能性があります。

アスベストは発がん性があることが分かっていますが、スレート屋根に使用されているアスベストの場合、劣化が進んでいなければ特別な管理を必要としないとされています。

ですので、ご自宅の屋根材がアスベスト使用のものであった場合、以下のいずれかの対応になります。

  • 当面はそのまま使用する
  • 今の屋根材を撤去し、新たに他の屋根材に葺き替える

    当面そのまま使用することができますが、屋根材に穴をあけたり切断したりするとアスベストが飛散する可能性がありますので行わないようにしてください。

    もし劣化が進んでいる場合は撤去し、他の屋根材に葺き替えることになります。

    信頼できる屋根工事業者に見てもらい、葺き替え工事の相談をしましょう。

    スレート屋根のアスベストについて、こちらの記事に詳しく書きましたのでぜひご覧ください。

    メンテナンスの方法は?

    カラーベストのメンテナンスの方法と品質保証について解説します。

    メンテナンスの方法

    メンテナンスとしては、塗装がメインとなります。

    カラーベストの塗装施工前と施工後の写真

    ※当社で施工したカラーベストの塗装塗り替え

    現在販売されているカラーベストのメンテナンス方法は以下の通りとなっています。

    カラーベストのメンテナンス方法
    • 約10年目に点検・部分補修・美観上必要に応じて塗り替え
    • 約20年目に点検・部分補修・美観上必要に応じて塗り替え
    • 約30年目に点検・部分補修・塗り替え

      ※10年ごとの定期メンテナンスを行う。定期メンテナンスにおいては、再塗装、取り換え等の大規模な補修等も想定しています。
      ※約30年目におけるメンテナンスについては住宅全体の劣化状況を確認し総合的な判断が必要。
      ※定期点検では、屋根材の部分的なズレや割れなどが見られた場合に、部分的な交換などを行う。
      ※カタログによる。

      ご自宅のある環境により違いがあると思いますので、こちらはあくまで目安と考え、ご自宅の屋根が気になったときには信用のできる屋根工事業者に点検してもらうようにするといいと思います。

      注釈にあるとおり、10年ほどで再塗装(塗り替え)が必要な場合が多くあります。

      苔の付着などがあれば高圧洗浄で洗浄後に塗装します。

      苔が付着したカラーベストの写真

      ※苔が付着したカラーベスト

      スレートは本体に防水性が無く防水性能は表面の塗装に依存しています。

      塗装がはがれてきたときには塗り替えでの対応となりますが、これを行わず放置すると本体の劣化が進み、剥離したりボロボロと崩壊するようになり、塗装ができない状態になります。

      こうなると屋根材の葺き替えをするしかなくなります。

      定期的な点検と塗り替えがたいへん重要です。

      なお、カラーベストが掲載されているカタログには40年目のメンテナンスの記載がありません。

      しっかりしたメンテナンスを行ったうえで、30~40年あたりが耐用年数という考え方のようです。

      品質保証について

      品質保証をデザインした写真

      メンテナンスに関連して、カラーベストの品質保証について解説しておきます。

      屋根材製品本体の保証について、概要は以下のようになっています。

      対象は新築物件のみです。

      保証期間
      1. 室内への雨水の浸水:10年間
      2. 色感の著しい変化:2年間

      ※ただし、対候性グレードがカラーベストの「☆☆☆」の製品については色についても10年間の保証(「クァッド」以外は対候性グレードが「☆☆☆」)

      品質保証は工事の元請け業者を対象としているので、品質保証についてご相談の際は、元請け業者(工務店、住宅会社)と連絡を取り現地を確認してもらうことになると思います。

      補助金制度はあるの?

      アスベスト使用の屋根を撤去して葺き替えたい、また、カラーベストに葺き替えたい、塗装の塗り替えをしたい、といったことを検討されることがあると思います。

      このようなときに受け取れる補助金制度があるの?という疑問がわくかもしれません。

      お住いの市町村にリフォーム工事の際に受け取れる補助金制度があるかもしれません。

      こちらの記事に、国の補助金制度と、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の市区町村の補助金制度をまとめていますのでぜひご確認ください。