スレートの屋根塗装で必要な縁切りとは?縁切りが必要な屋根の見分け方と縁切りで雨漏りリスクが下がる?

屋根塗装の見積もりで「縁切り」や「タスペーサー」という文字を見たことはありませんか?

聞き馴染みのない言葉なので、何だろう?と疑問に思う人もいるかと思います。

今回は、縁切りについて必要とされる理由やご自身の家に縁切りが必要なのか、縁切りをしないとどのような問題が発生するのかまで紹介します。

縁切りとは何か?

縁切りとは、スレートの屋根塗装時に発生する作業の一つです。

縁切りは全ての塗装が終わった後に、スレートの重なり部分をカッターなどで切って、水の通り道を作ってあげる作業です。

ただ、一つ一つ手作業で行う必要があり、かなりの手間になります。

そのため、現在では「タスペーサー」という部材で、縁切りをしているのと同じように水の通り道を作っています。

屋根塗装での縁切りの必要性について

縁切りが必要とされている理由が雨漏りの防止です。

スレートの屋根塗装を行うと、スレートの重なり部分にも塗料が入り込んで、固まります。

一見すると、スレートの隙間を全て塗料で埋めてくれているので、雨水が入ることがなく、雨漏りを防いでいるように思います。

しかし、これが間違いです。

雨漏りを防止するためには、水溜りを作らずに雨水がスムーズに排水できる道を作ってあげることが必要です。

そのため縁切りという作業は、スレートの屋根塗装をするにあたって、雨水がスムーズに排水できる道を作っているので、必要な作業といえます。

縁切りを行わなかったら?

雨が降ったとき、屋根には傾斜があるので、雨水は雨どいに向かって下に流れます。

その時に何らかの要因でスレート屋根の下に雨水が入ってしまったとします。

雨水は、上から下へ流れようとしますが、屋根塗装をした後だったので、塗膜(塗料が固まったもの)で道が塞がれており、そのまま水が止まって、水たまりができてしまいます。

その積み重ねで屋根の下地が劣化し、雨漏りへと繋がります。

このような雨漏りリスクがあるため、何らかの要因で雨水が入ったとしても、スムーズに排水できるような通り道を作ってあげることで、雨漏りのリスクを格段に下げることができます。

縁切りが必要な屋根と不必要な屋根の見分け方

先ほど、縁切りは必要だと説明しましたが、屋根の形状によって、必要な屋根と不必要な屋根があります。

一面は必要だけれど、もう片面は必要ないなど、屋根の劣化度合いによっても縁切りが必要かどうかも分かれます。

その見分け方について紹介します。

縁切りが必要な屋根

縁切りが必要な屋根 傾斜が緩い

縁切りが必要な屋根の特徴は、屋根の傾斜が緩いお家です。

屋根の傾斜が4寸までのお家は傾斜が緩いため、雨水の流れるスピードや勢いが遅いため、水が溜まりやすいです。

また、塗料も液体なので、傾斜が緩い屋根では塗料も溜まりやすく、厚い塗膜ができる可能性も高いため、縁切りが必要です。

その他にも屋根塗装が2回目以降の場合やスレートの重なり部分の隙間が狭いところは、縁切りが必要になります。

縁切りが不必要な屋根

縁切りが必要な屋根 傾斜が急

縁切りが必要な屋根の特徴は、屋根の傾斜が急なお家です。

屋根の傾斜が5寸以上のお家は傾斜が急なため、雨水の流れるスピードや勢いが早いため、水はけがとても良いです。

塗料も溜まりにくいため、縁切りは必要ありません。

その他にもスレートの重なり部分の隙間が広いところ(3~5mmくらいの隙間)は塗料が入っても埋まらないため、縁切りをする必要がありません。

縁切りをするタイミング

縁切りをするタイミングは、屋根塗装が全て終わり、完全に塗料が乾いた後に行います。

縁切りの作業は手作業で一枚一枚行うため、非常に手間がかかります。

2人でやっても、それだけで1日が終わってしまうほどです。

塗装の途中で縁切りをしたら?とも思う人もいるかもしれませんが、手間が増えるだけで、あまり意味がないため、縁切りは一番最後に行います。

そのため、ある問題点が発生します。

縁切りの問題点

縁切りは、屋根塗装の一番最後に行う工程ゆえに問題点があります。

それは、せっかく綺麗に塗装したのに、その上を歩いて縁切りをしてしまうため、靴の跡ができてしまうことです。

お客様側からしたら、せっかく高いお金を払って、綺麗にしたのに靴の跡がたくさん付いているというのは嫌ですよね。

そのほかにもカッターやヘラのようなものを使って、削る感じで切っていくので、屋根材などを傷つけてしまう可能性もあります。

縁切りの問題点を解決する部材がタスペーサー

タスペーサー

この問題点を解消するために生まれたのがタスペーサーという部材です。

タスペーサーは、ポリカーボネイト製でプラスチックのような見た目をしています。

タスペーサーは下塗りをしたあとに、スレート屋根の間に差し込んでいくので、縁切りの問題点であった屋根を汚してしまうことがなくなりました。

今では縁切りよりもタスペーサーのほうが簡単なため、利用する業者が非常に多いです。

ただ、タスペーサーにも注意しなければならないことがあり、それは、屋根を割ってしまうことです。

タスペーサーは、スレート屋根の間に差し込んでいくので、少し屋根材が浮くようになります。

その浮いた屋根材を誤って踏んでしまうと、屋根が割れてしまうので、業者に依頼する時は、その点だけ注意してもらうようにしましょう。

縁切りとタスペーサーの費用

縁切りの費用は、人の手作業によるものなので、人件費が主な費用になります。

そのため、一般的な30坪のお家で5~6万円くらいが相場となります。

業者やお家の広さなどにもよって変わりますので、あくまで目安としてお考えください。

一方、現在の主流であるタスペーサーは、360〜600円/㎡が相場となるので、2~5万円くらいになると思っていいでしょう。

まとめ

今回は、スレート屋根の屋根塗装で行われる縁切りについて紹介しました。

  • 縁切りとはスレートの重なり部分をカッターなどで切って、水の通り道を作ってあげる作業
  • 縁切りが必要な屋根は、傾斜が緩い屋根・スレートの重なり部分の隙間が狭い屋根
  • 縁切りをしないと、雨漏りするリスクがある
  • 縁切りをするタイミングは、屋根塗装が終わって完全に乾いた後
  • 縁切りの問題点は屋根を傷つける可能性があることと屋根を汚してしまうこと
  • 縁切りの問題点を解消した部材がタスペーサー
  • 縁切りの費用は約5~6万円くらい

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