FRP防水のトップコート塗り替え|工程・費用・メンテナンスのタイミングについて紹介
ベランダやバルコニーに使われているFRP防水。
その防水性能を長持ちさせるために欠かせないのが「トップコートの塗り替え」です。
「FRP防水のトップコートって何?」
「トップコートを塗らないとどうなるの?」
「DIYできる?それとも業者に頼むべき?」
など、疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、FRP防水のトップコートの役割や劣化のサイン、塗り替えの手順や費用、DIYできるのか?といった疑問までわかりやすく解説します。
FRP防水トップコートの基本
FRP防水のトップコートとは何か?
FRPとは、Fiber Reinforced Plastic(繊維強化プラスチック)の略称で、ガラス繊維や炭素繊維などの繊維をプラスチックに混ぜ合わせて作られた建材です。
屋上やベランダ、バルコニーの床面に使用され、耐久性や耐水性に優れています。
トップコートとは、FRPの防水層を保護するために塗る塗料のことです。
トップコートを塗ることでFRP防水層を太陽光(紫外線)から守り、劣化を遅らせることができます。
トップコートを塗らないとどうなる?
トップコートを塗らずに紫外線にさらすと、FRPの防水層が早く劣化し、防水性能が失われて雨漏りの原因になります。
雨漏りすると、FRP防水の再施工が必要になり、費用が高くなってしまいます。
しかし、トップコートがあれば、劣化するのはトップコートだけなので防水層をしっかりと守ることができます。
(※トップコート自体に防水機能はありません)
そのため、メンテナンスはトップコートの塗り替えだけで済み、メンテナンス費用を抑えることができます。
トップコートの劣化症状
FRP防水のトップコートは、紫外線や雨風にさらされることで、徐々に劣化していきます。
以下のような症状が見られたら、塗り替えのタイミングかもしれません。
色あせ・ツヤがない
塗りたてのトップコートには光沢がありますが、経年劣化によりツヤがなくなってきます。
見た目がくすんでいたり、色あせてきたら要注意です。
小さな剥がれやひび割れ(クラック)
表面に細かいひび割れが入っている場合、トップコートの防水効果が落ちてきている証拠です。
このまま放置すると、FRP防水層そのものが痛みやすくなります。
チョーキング現象(白い粉がつく)
表面をこすったとき、手に白い粉が付く場合があります。
それは塗膜が劣化しているサインです。
塗料が分解され粉状になっている状態で、防水性も大きく下がっています。
剥がれ・浮き
トップコートの一部が剥がれていたり、浮いているような状態は、かなり劣化が進行しています。
水が入り込むと、内部のFRP防水層にもダメージが及ぶ可能性があります。
FRP防水のトップコートの種類
FRP防水のトップコートには「ポリエステル系」と「アクリルウレタン系」の2種類があります。
新築・リフォームなどで使い分けられており、それぞれにメリットと注意点があります。
種類 | 主な用途 | メリット | 安定性 |
---|---|---|---|
ポリエステル系 | 新築工事向け | FRP本来の性能を活かせる | 重ね塗りには不向き |
アクリルウレタン系 | リフォーム・塗り替え用 | 再塗装がしやすく扱いやすい | FRPの性能を十分に活かしきれない |
塗り替えのタイミングとメンテナンス方法
FRP防水のトップコートは、紫外線や雨風の影響で少しずつ劣化していきます。
見た目が変わらなくても、防水効果が弱まっている可能性があるため、定期的なチェックとメンテナンスが重要です。
塗り替えのタイミングは?
以下のような状態が見られたら、トップコートの塗り替えを検討しましょう。
- 表面が粉を吹いたように白っぽくなっている(チョーキング現象)
- ツヤがなくなっている
- ひび割れがある
- コーティングが剥がれている
5年に1度の塗り替えがおすすめです。
普段のメンテナンス方法は?
長持ちさせるために、以下のような簡単なメンテナンスを心がけましょう。
- ほこりや落ち葉をこまめに掃除する
- 付きに1回、水で洗い流す
- 重いものを置かない・強く擦らない
異常が見つかった場合すぐ業者に相談をしましょう。
FRP防水のトップコート塗り替え手順と注意点
FRP防水のトップコートを塗り替える際は、以下のような工程で行います。
一つ一つの作業を丁寧に行うことで、防水性をしっかり維持することができます。
トップコート塗り替えの手順
- 高圧洗浄で汚れを落とす
表面に付着したゴミやカビをきれいに洗い流します。 - 表面を削る
塗料がしっかり密着するよう、表面に凹凸を作ります。 - 油分やホコリを拭き取る
アセトンを使って、表面の油分やホコリを丁寧に拭き取ります。 - プライマーを塗る
下地とトップコートの密着力を高めるための下塗りです。 - トップコートを塗る(1回~2回)
仕上げにトップコートを1~2回塗布します。
塗り替え時の注意点
アセトンは引火性が高いため、DIYは危険
火気厳禁!安全管理が難しいため、プロに任せるのが安心です。
施工中は強い臭いが発生する
特に密閉された場所や住宅密集地では、換気・近隣への配慮が必要です。
天候にも注意が必要
塗布後に雨が降ると、施工不良の原因に・・・。晴天が続く日を選びましょう。
トップコートの塗り替えは、DIYできる?
基本的に、FRP防水のトップコートをDIYで塗ることはおすすめできません。
- 扱いが危険な塗料が多いこと
- 防水層の状態を正しく判断できない
- 失敗したとき、元に戻すために余計な費用がかかる
見た目はトップコートが剥がれているだけに見えても、実は防水層まで劣化しているケースもあり、素人では判断が難しいです。
また、一度施工を失敗すると、塗り直しや防水層のやり直しなどで、かえって高額な費用がかかってしまうことも・・・
「簡単そうだからやってみようかな」と思ったその手、一度止めてください。
まずは、専門業者に相談して、現状を正確に見てもらうことが大切です。
トップコート塗り替えをプロに頼むメリット・デメリット
トップコートの塗り替えをプロに依頼すると、確かな技術と経験で安心して任せることができます。
ここでは、プロに依頼するメリットと注意しておきたいデメリットについて、わかりやすくご紹介します。
メリット
- 専門知識と技術があるため、劣化状況に応じた適切な施工ができる
- ムラのない美しい仕上がりが期待できる
- スピーディーな作業で、短時間で完了する
デメリット
- DIYに比べて費用が高くなる傾向がある
- ベランダが室内経由の場合、作業中に在宅対応が必要なことがある
- 業者とスケジュール調整が必要になる場合がある
プロに依頼する際の注意点
防水工事を行う業者は意外と少なく、情報も限られています。
知識や経験が浅い業者による施工不良のリスクもあるため、依頼前に作業内容や費用についてしっかり質問し、納得できる説明があるか確認しましょう。
FRP防水のトップコート塗り替え費用
FRP防水のトップコート塗り替え費用は、ベランダやバルコニーの広さによって大きく変わります。
人件費を含めた費用は、約10万円からです。
また、作業は通常1日で終わりますが、気温や天候によって多少変更することがあります。
まとめ
今回はFRP防水のトップコート塗り替えについてご紹介しました。
最後にポイントをまとめます。
- トップコートとは、FRPの防水層を守るための塗料のこと
- トップコートを塗ることで、防水層の劣化を遅らせることができる
- 色褪せや小さなヒビ、剥がれが見られたら劣化のサイン
- トップコートのDIYはおすすめできない
- プロに依頼することで、状態にあった最適な施工ができる
- 10年ごとのメンテナンスで防水性能を維持することができる
- 費用は約10万円~、作業は最短1日で完了(気温により変動)