ベランダ防水塗装を自分でやってはいけない!その理由を詳しく解説します。

ベランダが汚れてきたな。ベランダの剥がれが気になるな。など、ベランダの床は、目で見て劣化が分かるところです。

そこで考えることが、ベランダの防水塗装ですが 「 危なくないし、自分でやれそう 」 と思う人も多いかもしれません。

しかし、業者側からするとそれはNGです。今回はその理由をお伝えします。

ベランダ防水を自分でやるのはNG

ベランダ防水を失敗した例

まず、結論からいうと、ベランダ防水を自分で行うことはやめてください。

ベランダ防水は専門性が高く、発火の恐れのある溶剤も使う非常に危険な作業です。

また、自分で防水塗料を塗って、数年後に雨漏りしてしまったり、防水塗料の施工不良で雨漏りが悪化してしまって、当社にお問い合わせをいただくケースも多いです。

実際に自分で防水塗料を塗って、失敗してしまい、どうにかしてほしいとの依頼があったときの写真が上記です。

こうなってしまうと、費用も倍にかかってしまう場合が多いので、ベランダ防水を自分でやることはリスクの方が大きいです。

ベランダ防水の工法について

防水工法には、ウレタン防水・FRP防水・シート防水・アスファルト防水があります。

その中でベランダ防水で使われる工法は、ウレタン防水またはFRP防水です。

ウレタン防水

ウレタン防水とは、ウレタン樹脂の液体を厚く塗り重ねて、防水の層を作る方法です。

液体の性質上、ベランダの狭いところや複雑な形でも防水層を作ることができるので、多くのベランダで使われています。

紫外線に弱いため、表面はトップコート材で保護されています。

FRP防水

FPR防水とは、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)の略称でガラス繊維が含まれたプラスチックです。

防水用のガラスマットとポリエステル樹脂を使って、防水の層を作ります。

継ぎ目がないので、防水性が高く、軽くて丈夫な床に仕上がります。

ウレタン防水と同じく、紫外線に弱いため、表面はトップコート材で保護されています。

ウレタン防水とFRP防水の見分け方

ウレタン防水とFRP防水の見分ける方法を紹介します。

まずは、ベランダの床を指で押してみてください。

ウレタン防水の場合は、弾力性と伸縮性があるので、ベランダの床面を押すと、少し沈む感じがします。

逆にFRP防水の場合は、ベランダの床面を押すと、硬くて沈み込む感じはしません。

この方法でお家のベランダがウレタン防水なのか、FRP防水なのか、簡単に見分けることができます。

ベランダ防水を自分でやることのデメリットは3つ

ベランダ防水を自分でやることで発生する可能性がある3つのデメリットについて解説します。

FPR防水は発火の危険性があるので、絶対にやらない

FPR防水の工事をするとき、樹脂を固めるための硬化剤というものを使いますが、これは発熱する材料になるため、扱いを間違えると発火します。

実際に年に数回、FRP防水工事による火災が発生しています。

具体的には、硬化剤を継ぎ足して混ぜ合わせた後、数分後に発火して床材が燃えてしまったことや硬化剤が入っていた防水塗料の中に空き缶を入れたところ発火したということが過去に発生したようです。

参考資料:施工時にFRP防水が発火 / 日経BP

他にも、余った防水塗料をゴミと一緒に空き缶に入れておいたら、ボヤ騒ぎになったという事例もあるようです。

このように注意を守れない人や専門知識がない人がFRP防水を行うのは大変危険なので、絶対にやらないでください。

失敗する可能性がある

ベランダ防水は、専門性が高い工事のため防水工事業者以外の人が工事を行うと失敗する可能性が高いです。

ベランダ防水は簡単そうに見えて、細かい決まりを守れないと失敗します。

マニュアル通りにやろうと思っても予想外のことが起こることもあり、塗料が固まるスピードも天候によって変わるため、そういった様々な状況を見極めて、作業をする必要があります。

溶剤を混ぜる量をきっちり守って、しっかり混ぜないと硬化不良を起こしたりする可能性もあります。

塗り方、塗る量が違うだけで仕上がりも悪くなってしまいます。

これを読んでいるだけでも 「 やめておこう 」 と思った人もいるかもしれません。

そのくらい専門性と経験値が必要な工事がベランダ防水工事です。

費用が高くなる

もし、自分で防水塗装をして失敗してしまった・雨漏りするようになったという場合、業者に依頼すると思います。

その場合、通常の防水工事を行うよりも費用が高くなります。

理由としては、防水工事の工程として、ケレンという、防水塗料を剥がす作業を行うのですが、これがすごく大変です。

剥がすだけだから簡単でしょ?と思うかもしれませんが、みなさんが思う2〜3倍大変です。

基礎が見えるまで削ったり、剥がしたりしますが、基礎を傷つけてはいけないので繊細な作業が必要です。

まれに全く塗料が剥がれてくれないこともあったりと、想定外のことが次々と発生します。

一般的なベランダの広さで、1~2時間程度で終わる作業ですが、1日で終わればいいほうで2日かかることもあります。

その手間賃をいただくので、一般的なベランダの防水費用より5~10万円は高くなる可能性があります。

防水業者を選ぶポイントと伝えてほしいこと

防水工事のやり直しをお願いしようと思ったとき、調べてみると分かるのですが、防水ができる業者を探すことが難しいです。

塗装職人なら、誰でもできると勘違いされますが、外壁や屋根の塗装職人と防水の塗装職人は、全くの別物と考えたほうが良いです。

そのくらい専門性が高く、できる職人が少ないことが業界内の問題ではあると思いますが、その中でも良い業者と出会いたいと思いますよね。

そんなときに見てほしいポイントは2つだけです。

施工実績があるか

施工実績は多いほうが経験値が高いということなので、安心できます。

今の時代、ネット上で施工実績を見れるサイトが多いですが、全ての施工実績を見せている業者さんは少ないと思います。

ちょっと少ない?と思っても、公開していない実績もあるかもしれないので、現地訪問時に聞いてみましょう。

デメリットもきちんと話してくれるか

現地調査にきてくれた人がどんな対応をしてくれたかも重要です。

話を親身になって聞いてくれて、どうしたら、失敗してしまった防水工事を良い状態にできるかを考えてくれる人がいいでしょう。

そのときにメリットだけでなく、デメリットもきちんと話してくれるかは重要です。

メリットよりもどこまでのデメリットを許容できるのかを選ぶ基準とするのが、納得できる工事に繋がると思うので、その点を話してくれる業者はいい業者だと思います。

業者に伝えてほしいこと

何度もお伝えしていますが、防水工事は専門性の高い工事です。

元々何が塗られていたのか、ウレタン防水なのか、FRP防水なのか、などの情報は非常に重要です。

そのため、現地調査時には、自分がどんな塗料を使って防水工事をしたのかをしっかり伝えましょう。

その情報があるだけで、業者側からすると、どんな工事をするかの提案もしやすくなります。

もちろん、見ただけで分かるときもありますが、正確な情報があったほうが施工不良を防げるので、情報はできる限り伝えてくれると幸いです。

まとめ

今回は、ベランダ防水塗装を自分でやってはいけないということについて紹介しました。

自分でできたら、費用を抑えられるからとやってしまいそうになりますが、実際にやってみると防水塗料の匂いがかなりキツいかったり、粉塵が舞って吸ってしまうので、専用のマスクがないといけなかったりと、いろいろと大変です。

塗料の中には扱いを間違えると発火するものもあります。

専門業者に任せることが一番安全で費用も必要以上に高くならず、適正な価格で工事できると思うので、業者へ依頼することをおすすめします。

2023年6月7日住宅知識,塗装