FRP防水は部分補修できる?|DIYと業者の判断基準・後悔しない補修方法の選び方を解説

結論:FRP防水は部分補修できます。
FRP防水は、軽量かつ丈夫で人気の防水工法です。
ただし、紫外線や雨水の影響を受け続けることで、年数とともに徐々に劣化していきます。
ひび割れや床面の膨れなどの症状を放置すると、雨漏りや下地の腐食につながる可能性があります。
劣化が軽度な場合はDIYで補修できるケースもあります。
一方で、防水層全体に劣化が広がっている場合や下地に腐食が見られる場合は、部分補修では根本的な解決にならず、業者による補修工事が必要になることもあります。
今回の記事では、FRP防水で部分補修が必要な症状や部分補修はDIYできるのか?、補修方法ごとの費用相場を解説します。
あわせて、FRP防水を長持ちさせるためのメンテナンス方法も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
結論:FRP防水は「部分補修できる!」

結論から言うと、FRP防水はひび割れなどの軽度な劣化であれば部分補修が可能です。
FRP防水は防水層そのものに強度があるため、劣化している箇所のみを補修しても、防水性能を回復できるケースが多いのが特徴です。
ただし、劣化が進行している場合や下地が痛んでいる場合は、部分補修では対応できません。
「劣化の範囲」と「劣化の深さ」を見極めることが大切です。
FRP防水で部分補修が必要な症状とは?
FRP防水は耐久性の高い防水工法ですが、屋外環境にさらされることで少しずつ劣化します。
以下のような症状が見られる場合は、早めに部分補修を検討しましょう。
ひび割れ

表面に細かいひび割れが発生する症状です。
放置するとひびが深くなり、雨水が侵入する原因になります。
初期段階での補修がおすすめです。
ガラス繊維が見える

FRP防水の特徴である“ガラス繊維(ガラスマット)"が表面に露出している状態です。
これはトップコートが摩耗(摩擦による損傷)しているサインで、防水性能が低下しています。
早急な補修が必要です。
立ち上がり部分の割れ

床面と壁面の境目にあたる立ち上がり部分は、紫外線や熱の影響を受けやすく、劣化しやすい部分です。
水の侵入口になりやすいため、注意が必要です。
床面の小規模な膨れ

気温差や経年劣化により、防水層が部分的に膨れることがあります。
小規模であれば部分補修が可能ですが、広範囲の場合は下地腐食の恐れがあります。
FRP防水の部分補修の方法
FRP防水では、劣化状況に応じて次のような部分補修が行われます。
シーリング補修

ひび割れや立ち上がり部分の細い隙間にシーリング材を充填する方法です。
軽度の劣化であれば、比較的簡単に行うことが可能です。
トップコート部分塗り直し

摩耗したトップコート部分に新しいトップコートを重ねる補修方法です。
紫外線による劣化を防ぎ、防水層を長持ちさせる効果があります。
防水テープ補修

防水テープは、貼るだけで一時的に水の侵入を防げる便利なアイテムです。
しかし、水の侵入を一時的に止めることはできますが、長持ちはしません。
根本的な解決にはならないため、あくまで応急処置として使うイメージです。
FRP防水の部分補修でFRPを使える?

「ひび割れ部分にFRPを重ねればいいでは?」と考える人もいると思います。
しかし結論として、既存のFRPの上に部分的にFRPを重ねる補修は、基本的に推奨されません。
その最大の理由が、FRPに含まれる“パラフィンワックス"の存在です。
この"パラフィンワックス"が表面に残ることで、新しい樹脂との密着を妨げ、剥離や強度不足を引き起こします。
そのため、専門業者であっても「部分的なFRPの重ね塗り」は、ほとんど採用されていません。
FRPを使うなら「部分」ではなく「全面施工」
FRPを使って補修する場合は、部分的にFRPを重ねるのではなく、既存のFRP層の上に新しいFRP層を施工する方法が基本です。
既存の防水層(1PLY)の上に、新しい防水層(1PLY)を重ねることで、合計2PLYとなります。
そうすることで、強度・密着ともに安定し、施工後のトラブルを大幅に防ぐことができます。
FRP防水の部分補修はDIYできる?

FRP防水の部分補修は「軽度ならDIYでも可能、しかし中~重度の場合は業者への依頼が必須」です。
DIYで対応しやすいのは、「シーリング材でひび割れを埋める補修」「摩耗したトップコートの部分塗り替え」といった“表面的な劣化"に限られます。
DIYで対応できないケースも多い
一方、以下のようなケースでは、DIYでの補修は基本的に不可能です。
ひび割れが深く、防水層まで到達している
ガラス繊維が大きく露出している
床面が広範囲で膨れている
下地の合板が腐っている
FRPを扱う補修は、施工技術そのものが難しいため、樹脂の扱いやガラスマットの貼りこみ・脱泡作業など、専門的な作業が必要になります。
少しのミスが強度不足や仕上がり不良につながるため、無理にDIYを行うのは控えたほうが良いでしょう。
FRP防水の修理別の費用相場

FRP防水の部分補修、劣化の程度から補修範囲によって費用が大きく変わります。
ここでは、DIYでできる軽度の補修から、業者へ依頼する場合の相場まで、一般的な金額感をまとめました。
| 補修内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| シーリング補修 | DIY:2,000円~/業者:5,000円~ |
| トップコート部分塗り替え | DIY:5,000円~/業者:10,000円~ |
| トップコート塗り替え(全面) | 80,000円~ |
| FRP防水の再施工 | 130,000円~ |
| 下地大工工事+FRP防水の再施工 | 250,000円~ |
劣化が進行してからの補修ほど費用は高くなります。
費用を抑えるためにも早めの点検・早めの対処が重要です。
FRP防水を長持ちさせるためのメンテナンス
FRP防水は耐久性の高い防水工法ですが、正しいタイミングでのメンテナンスを行わないと劣化が早く進み、補修費用が高額になることもあります。
特にトップコートは紫外線に弱く、数年おきの塗り直しが寿命を左右します。
ここでは、FRP防水をできるだけ長く使い続けるために欠かせないメンテナンスのポイントを紹介します。
定期的なトップコート塗り替え

FRP防水の紫外線保護として「トップコート」が塗られています。
この層が劣化すると、防水層そのものがダメージを受けるため、5~7年ごとの塗り替えが必須です。
ドレン(排水溝)の掃除

ドレン(排水溝)が詰まっていると、水が正常に流れなくなります。
床面に常に水が溜まることで、劣化が早まってしまうため、落ち葉や砂・ゴミを定期的に取り除いて詰まりを予防しましょう。
定期的なチェックをかかさない

FRP防水は、軽度の劣化だと見た目の変化が少ないため、劣化に気づきにくいのも特徴です。
そのため、洗濯や掃除でベランダに出た際に全体を見渡し、ひび割れや目立つ汚れ・色むムラなどを簡単にチェックすると良いでしょう。
劣化を早期発見することで、寿命を大きく伸ばすことができます。
まとめ
- FRP防水は軽度な劣化であれば部分補修が可能
- ひび割れ・ガラス繊維の露出は早めの対処が重要
- 部分的にFRPを重ねる補修は基本的にNG
- DIYは表面的な劣化まで、中~重度は業者依頼が必須
- 劣化を放置すると補修費用は大きく膨らむ
- 定期的な点検とトップコート塗り替えが長持ちのコツ








