外壁塗装の全知識|相場・工程・費用を抑えるポイントを解説
外壁塗装は、雨や紫外線などの外的要因から建物を保護し、耐久性を維持するために欠かせない工事です。
また、外観の美しさを保ち、住宅の資産価値を維持するうえでも非常に重要です。
外壁塗装の費用相場は、30坪程度の住宅で80万円~150万円(足場代込み)と言われています。
しかし、実際の費用は、塗装する面積や形状、劣化状況、使用する塗料の種類により、大きく変動します。
そのため、外壁塗装を検討する際は、複数の専門業者に見積もりを依頼し、内容や費用を比較することが大切です。
今回の記事では、外壁塗装が必要な理由や劣化のサイン、施工の流れや費用相場、塗料の種類など、外壁塗装に関する基礎知識をわかりやすく解説します。
外壁塗装が必要な理由
外壁は毎日、雨風や紫外線など自然の猛威にさらされており、とても劣化が進みやすい部分です。
塗装をしていない外壁は、人間で例えると裸で外に立っているような状態のため、自然からの攻撃を直接受けます。
ダメージを受け続けた外壁は、ひび割れや剥がれなどが起き、そこから水が侵入して建物の内部を腐らせてしまったり、様々な問題が発生してしまいます。
こうした劣化を未然に防ぐためには、定期な外壁塗装が効果的です。
- いつまでもキレイな見た目を保つため
- 外壁から水が入らないように保護するため
これらの理由から、外壁塗装は重要なメンテナンスのひとつだといえます。
外壁には、どんな種類がある?
まず、外壁の素材について解説します。
一般的に外壁は、「モルタル」または「サイディングボード」という2種類で作られていることが多く、どちらも塗装は必要です。
モルタル
「モルタル」は、砂、セメント、水を混ぜ合わせて作った建築材料のことです。
目地やつなぎ目がなく、スッキリとした仕上がりで、耐火性や断熱性に優れています。
また、デザインの自由度が高いことから、日本の住宅ではかつて最も広く使われていた外壁材です。
サイディングボード
「サイディングボード」は、外壁材として近年主流になっている板材のことです。
工場で生産したパネルを現場で貼り付けるため、工期の短縮や人件費の削減が可能です。
現在では、日本の新築住宅の約8割が、サイディングボードを採用しています。
コスト面はもちろん、耐火性や耐久性にも優れており、レンガ調や木目調、タイル調など様々なデザインや色があるのも人気の理由です。
外壁塗装の目安は?
外壁塗装の目安は10年前後と言われています。
外壁塗装で使われる塗料には、耐用年数があります。
日々の紫外線や雨風によって受けたダメージが蓄積され、少しずつ塗装効果が失われます。
使用している塗料により変動しますが、大体10年前後で外壁塗装が寿命を迎えます。
無料調査を行っている業者も多いため、活用してみてはいかがでしょうか?
「塗膜」って何のこと?
この記事でもよく出てくる塗膜・・・聞き慣れない言葉ですよね。
塗料を塗って、乾燥・硬化させることでできる膜のことを「塗膜」といいます。
イメージとしては、「外壁が肌」で「塗膜が洋服」と考えてもらえると分かりやすいと思います。
塗膜には3つの役割があります。
- 表面を保護する:熱や紫外線、水などから下地材を保護する
- 美観の向上:表面を保護し、美観を向上させる
- 機能性:塗料の種類によって、防水性や防カビ性、防汚性などの機能性もある
外壁塗装が必要なサインとは?
外壁塗装が必要なサインをご紹介します。
「私の家はどうかな?」と想像しながら見てみましょう。
1│外壁の色あせ
外壁塗装必要度:
外壁の色あせは、一番気付きやすい劣化のサインです。
分かりやすく見た目が変化するので、色あせた外壁をみて「外壁塗装をしようかな」と考える人は多いです。
外壁の色あせは、塗膜が薄くなり、劣化が始まっている状態なので、その範囲が広がり始めたら一度業者に相談しましょう。
2│チョーキング
外壁塗装必要度:
チョーキングとは、外壁や塗膜表面に触れると、白い粉が手につく現象のことです。
塗料が劣化し、成分が粉状になって表面に現れることで発生します。
この現象が起きると、外壁の防水性が低下している可能性が高いため、放置すると雨水が侵入しやすくなります。
チョーキングの症状が見られたら、外壁塗装を考えましょう。
3│塗膜の剥がれ
外壁塗装必要度:
外壁の塗装が膨れたり、剥がれたりしていると、塗膜がなくなっている可能性が高いです。
次第に防水機能はなくなり、そこから建物の中へ水が侵入するリスクがあります。
塗膜の剥がれは、塗装の必要度が高いため、すぐに業者に連絡するようにしましょう。
4│クラック
外壁塗装必要度:
クラックとは、外壁のひび割れのことです。
クラックは、劣化した外壁が水分を含み、膨張と収縮を繰り返すことで発生します。
雨が降るとクラックから建物内部に水が侵入、カビの発生や構造材が腐ってしまい、建物自体の強度が低下します。
クラックを見つけた場合は、早急に対応しましょう。
外壁塗装って、どうやるの?
「外壁塗装って壁に色塗るだけでしょ?」と思う人がいるかもしれません。
実際に、外壁塗装がどのような手順で行われているのか見てみましょう!
1│高圧洗浄
まず高圧洗浄機を使って、外壁の汚れを取り除いていきます。
塗装面の汚れや古い塗膜、ホコリ、コケなど取り除くために行います。
古い塗膜が残っていると、新しい塗膜の邪魔をして、塗料の付着が弱くなり剥がれやすくなります。
高圧洗浄をすることで、新たに塗装した塗膜が長持ちしやすくなります。
汚れが少しでも残っていると、仕上がりも汚くなってしまうので、高圧洗浄は丁寧に時間をかけて行います。
※水圧を調整して、外壁体を傷つけないように施工しています。
2│養生を行う
窓やサッシなど、塗料が付着しないように、養生テープやビニールシートを使って保護します。
「養生の仕上がりで塗装の仕上がりが決まる」と言われるほど、綺麗な塗装をするためには、綺麗な養生が必要です。
また、外壁塗装はローラーやハケで塗布することが多いですが、「吹き付け」といってスプレーのようなもので塗装する方法があります。
その場合、塗料が周りに飛び散ってしまうこともあるため、養生は必須です。
3│下塗り
下塗りは、外壁と塗料の密着度を高める接着剤のような役割です。
そのため、ほとんどが「透明」や「クリーム系」の色で、中塗りと上塗りの色にひびかないものが多いです。
外壁の素材や上塗りで使う塗料によって、下塗りの塗料をプロの職人の目で選びます。
下塗り材が終わったら、膜膜を作るために乾燥させます。
4│中塗り
下塗りが乾燥したら、塗膜を厚くするために中塗りをします。
基本的に、中塗りと上塗りの塗料は、同じ色を使うことが多いです。
同じ色を使うと、色ムラの防止にもなるため、おすすめしています。
★チェックポイント★
工事を安く行うために、中塗りの工程を省略する業者もいるようです。
中塗りをしないと、色ムラができたり、一般的な塗り替え時期よりも早く塗装が剥がれてしまう可能性があります。
そうすると、さらに費用がかかってしまうため、施工前に業者にしっかりと確認するようにしましょう。
5│上塗り
中塗りが乾いたら、最後の仕上げ、上塗りをします。
【 下塗り・中塗り・上塗り 】 と3層の塗膜を作ることで、耐久性が高く、塗膜が長持ちするようになります
見た目も色ムラがない、キレイな仕上がりになります。
★チェックポイント★
外壁塗装は、3回塗りが基本ですが、条件によって2回で可能な場合や、劣化状況によって4回塗りになる場合など、様々なケースがあります。
知識のある業者であれば、「なぜそうなるのか」説明できるので、気になる場合は、「なぜ4回塗りするのか?」を聞いてみるといいでしょう。
外壁塗装で使用する塗料の種類
外壁塗装で使用される人気の塗料を紹介します。
ラジカル塗料
※画像引用:日本ペイント パーフェクトトップSi
ラジカル塗料とは、紫外線により発生する劣化因子「ラジカル」を抑える機能を持った塗料のことです。
比較的新しい塗料のため歴史は浅いですが、従来の塗料より優れた耐久性があり、そのコストパフォーマンスの高さから人気の塗料となっています。
ラジカル塗料について、こちらの記事で詳しく紹介しています。
シリコン塗料
※画像引用:エスケー化研 エスケープレミアムシリコン
シリコン塗料は、コストパフォーマンスに優れていて、価格と耐久性のバランスが取れています。
「費用を抑えたいけど、ある程度長持ちする塗料を探している」という人に、おすすめの塗料です。
シリコン塗料について詳しく知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。
フッ素塗料
※画像引用:関西ペイント アレスアクアセラフッソ
3つ目は、フッ素塗料です。
ほかの塗料に比べると価格は少し高めですが、耐候性・防汚性に優れており、長い間、建物の美観を保ってくれます。
関西ペイントの「アレスアクアセラフッソ」は、関西ペイント独自技術を使った塗料で、外壁が汚れにくい特徴があります。
フッ素塗料について詳しく知りたい人は、こちらの記事をご覧ください!
無機塗料
※画像引用:エスケー化研 エスケープレミアム無機
無機塗料の一番の特徴は、フッ素塗料を超える耐用年数で、約15年~20年綺麗な外壁を維持できるといわれています。
初期費用は少し大きくなりますが、耐用年数を考えると、総合的なコストパフォーマンスは非常に高いといえます。
無機塗料について詳しく知りたい人は、こちらの記事をご覧ください!
外壁塗装の費用相場
外壁塗装の費用相場は、一般的な30坪程度の住宅で80万~150万程度です。
これは、塗装する面積や形状、劣化状況、使用する塗料によって大きく変動します。
塗料の種類別相場
塗料の種類別の費用相場です。
一般的に、塗料が長持ちするほど高価になります。
- シリコン塗料:1,800円~3,500円/㎡
- フッ素系塗料:3,000円~5,000円/㎡
- 無機塗料:4,500円~5,500円/㎡
- ラジカル塗料:2,500円~4,500円/㎡
外壁塗装の費用を抑えるポイント
外壁塗装の工事費用を抑えるポイントをいくつか紹介します。
相見積もりをとる
相見積もりとは、複数の業者から見積もりを取ることです。
相見積もりをとる際のポイントは、工事内容や希望条件を「揃えて」見積もりを出してもらうことです。
そうすることで、塗装面積や塗料のグレードによる見積もりのバラつきが無く、比較しやすくなります。
補助金や助成金を利用する
外壁塗装に、補助金・助成金が使える自治体が全国に多数あります。
申請の条件や金額は様々ですので、お住まいの自治体の補助金・助成金制度を調べてみてください。
外壁塗装と他の工事を同時に行う
外壁塗装や屋根の工事は、高所で作業が必要なため、足場の設営が必須です。
たとえば、一般的な30坪の住宅で外壁塗装を行う場合、足場代だけで約15万円~20万円ほどかかります。
工事を別々のタイミングで行うと、そのたびに足場代がかかってしまいますが、複数の工事を同時に行うと、足場を共有できるためコストを抑えることができます。
完全自社施工の業者に依頼する
大手ハウスメーカーや工務店は、下請け業者に作業を外注しているケースがとても多いです。
その場合、中間マージンが発生しますので、費用は割高になります。
完全自社施工の業者は、下請け業者を使わず自社で施工を行うため、費用を抑えることができます。
最後に
今回は、外壁塗装について解説しました。
外壁からの「劣化のサイン」を見逃してしまうと、いつの間にか建物内部を侵食して、お家の基礎を破壊してしまう可能性もあります。
手遅れになる前に対策することをおすすめします!
また、外壁塗装は大規模な工事になりますが、ポイントをしっかりと抑えることで、工事費用を抑えることができるかもしれません。
今回解説したポイントを元に、自分の家が今どのような状態なのか?一度確認してみましょう。