雨樋とは?仕組み〜形状・素材・劣化サインまで簡単解説します!
今回は、知っているようで知らない 『 雨樋 』 について簡単に解説していきます!!
雨樋(あまどい)とは
雨樋は、屋根に降った雨水を集めて、地面の排水口まで運び、排水する仕組みです。
この仕組みによって、雨水が建物を傷つけるのを防いだり、コケやカビなどの発生を軽減させ、雨が降ったときの音も軽減されます。
もし、雨樋がなかったら?
雨樋がない場合、雨水は外壁を伝って地面に落ちます。それが何年も続くと地面に穴を空け、建物の土台にも影響を与える恐れがあります。
もし、外壁にひび割れなどがあった場合、ひび割れから雨水が侵入して、建物の基礎となる部分を腐食させる可能性もゼロではありません。
これらを放置してしまうと、建物の安全性が確保できなくなるので、雨樋はとても重要な役割を持っているのです。
雨樋の仕組み
雨樋は、様々な部品のパーツを組み合わせて作られています。
① 軒樋(のきどい)
屋根と並行になるように設置されている樋のこと。ここで屋根から流れてきた雨水を受け止めます。
② 集水器(しゅうすいき)
軒樋で受け止めた雨水を集水器に集めます。
③ 竪樋(たてどい)
集水器から縦に設置されている樋のこと。集水器で集められた雨水を地面へ流す通路になります。
その他、それぞれのお家の形に合わせて軒樋の長さが足りない場合は 「 継手(つぎて) 」 という部品を使ったり、外壁にカーブがある場合は 「 エルボ 」 という部品を使ったりして、雨樋を作っています。
雨樋の形状
半円形
現在、最も使われているスタンダードな形の雨樋です。どこのお家にも使われているので、価格も安価です。
近年、ゲリラ豪雨も多いことから直径が大きめのものも出てきています。
※ 画像参照 モノタロウ
角形
半円形に比べて、雨水を多く溜めることができるので、降水量が多い地域でよく使われていました。
近年では、ゲリラ豪雨など昔に比べ降水量が多くなってきたので、角形が主流になりつつあります。
※ 画像参照 モノタロウ
特殊型
雪国で多く使われる形状で、雪の重さに耐えられるような設計がされています。また、雪掻きで誤って雨樋を壊してしまわないような工夫もされています。
複雑な構造をしているため、価格は高額になります。
※ 画像参照 http://www.tanita-hw.co.jp/
リバーシブル
前面は「丸」、背面は「角」の形状を持ち、どちらも使用可能なリバーシブル雨樋です。耳部は従来の丸型雨樋の2倍の大きさで、強度もアップしています。
※ 引用 http://www.sekisui-kenzai.com/common/pdf/amatoi_house/ltk2293_54_59.pdf
雨樋の素材と特徴
今回は、一般住宅で使用される雨樋の素材を5つピックアップしました。
塩化ビニール製
塩化ビニールは【 軽い・簡単・安い 】の三拍子が揃った今、主流の素材です。
デメリットとしては、紫外線の影響で劣化しやすく、壊れやすいです。
しかし、近年では硬質ビニール樹脂が素材として使われるようになって、耐久性が上がった製品も増えています。
その中でもPanasonicのアイアンという雨樋の種類があり、これは亜鉛処理スチール芯の上に硬質塩化ビニール樹脂を覆いかぶせたもので、耐久度がアップしています。
※画像参照:https://sumai.panasonic.jp/amatoi/aian/lineup/s03_aimaru.html
合成樹脂製
見た目で塩化ビニールとの違いは分かりにくいですが、樹脂の表面に紫外線を浴びても劣化しにくい処理をしているため耐久性が高いのが特徴です。
塩化ビニールに比べて、作るのに手間がかかるので、少し高めです。
ガルバリウム製
耐久性が高いため、今、注目の金属素材です。サビにくく、加工もしやすいのが特徴です。
他の金属素材に比べて最も普及している素材で、金属素材の中では価格が抑えられています。
銅
新設時は輝くような銅色をしており、耐久性が高く、かなり高額です。徐々に酸化すると深みのある緑青色へと変色します。
この色合いがとても味のある素材で、神社や仏閣などの雨樋として使用されることが多いです。
ステンレス
鉄に様々な金属を加えて作られているため、耐久性に優れていますが、価格は高めになります。
雨樋を内側からつなげることができるので継ぎ目もわかりにくいです。
流通量が少ないことが難点で、メンテナンス時に同じものがない可能性も視野に入れておいた方が良いでしょう。
※画像参照:https://www.tanita-hw.co.jp/product/33/
雨樋修理が必要なサインとは?
雨樋は、約15年〜20年くらいで正常に機能しなくなり、劣化し始めます。
一度も雨樋のメンテナンスをしたことがない方は、早めに業者へご連絡することをおすすめします。
また、雨樋は簡単に異変に気づくことができる箇所なので、雨樋修理が必要なサインを見てみましょう!
枯れ葉などのゴミが詰まる
危険度:レベル3
枯れ葉、泥、瓦の破片、風で飛ばされてきた浮遊物などが雨樋に入り、詰まりの原因になります。
ゴミが詰まったままですと、雨が降った時にゴミが邪魔をして雨水がうまく流れません。
その結果、水溜りが出来てその箇所が腐食してしまったり、雨樋の横から雨水が溢れて外壁を伝い、建物の劣化を早めてしまう可能性があります。
また、雨樋から溢れた雨水がお隣さんのお家にかかり、近隣トラブルに発展していることををよく耳にします。
現場で作業しているとお隣さんが出ていらっしゃって、「うちにすごく雨水が入ってきてうるさかったのよ・・よかったわ、修理されるのね」と、仰るパターンが雨樋職人のあるあるです。
雨樋の歪み
危険度:レベル4
雨樋は、屋根と同様に自然の影響を直接受けます。風や雪の影響を受けてしまった場合、雨樋が歪むことがあります。
雨樋が歪むことにより、歪んだ箇所から溢れるように雨水が地上に直接落ちるようになります。
落ちた雨水が跳ねて外壁を汚したり、音が気になったり、お庭がある真上の雨樋が歪んでいたら落ちた雨水が花や木の根を腐らせる原因なるかもしれません。
自然災害による雨樋の歪みの場合は、火災保険が適用されますので、気になる方はご相談ください!
継手の破損や隙間
危険度:レベル5
継手(つぎて)は、軒樋同士をつなげる役割のあるパーツです。
この継手が壊れたり隙間があったりするとその箇所から雨水が垂れて、雨漏りの原因にもなります。
一箇所だけであれば応急処置で対応も出来ますが、複数箇所ある場合は雨樋自体が壊れやすくなっている可能性があるので、最悪雨樋が落ちてくる可能性もあるため雨樋の交換をおすすめします。
金具外れ
危険度:レベル5
雨樋を支えている金具が曲がっていたり、一部外れている場合は注意が必要です。
そのまま放置していると、少し強めの風が吹いた時に金具が取れ地面に落ちる危険性があります。その場合の賠償責任は家主様にあります。勿論台風などの大きな災害だと免責になりますが、そういった場合を除くと基本的には家主様のメンテナンス不十分として責に問われますのでご注意を。
また、金具を差し込んでいた穴から雨水が建物に侵入し、雨染みを生じさせる可能性や雨樋が外側に傾いて正常に雨水が流れずに溢れてしまう原因になります。
雨樋の破損・欠落
危険度:MAX
雨樋の破損や欠落は、一目瞭然だと思います。
原因は自然災害や1〜4の危険サインを放置した結果かもしれません。
このような状態になる前に少しでも気になることがあれば、現地調査を依頼することをオススメします。
もし自然災害で雨樋が壊れてしまった場合は、屋根も被災している可能性があるので、調査を依頼する時に屋根も一緒にみてもらうと良いでしょう。
雨樋の修理で火災保険が使えるって知ってましたか?
火災保険は、火災があった時だけ補償されるという認識がまだあると思いますが、民間・共済関わらず、雨・風・雪・雹(ひょう)などの自然災害でも補償されます!!
「0円で雨樋の修理が出来ます!」と言った広告や記事は、火災保険を利用して実質負担金を抑えているケースが多いです。
もし、雨樋が壊れていて火災保険が利用出来るか知りたい方は、保険証券に補償内容が記載されているので、引き出しから保険証書を取り出して確認してみてください。
まとめ
今回は雨樋の仕組みについて解説しました。いかがだったでしょうか?
雨樋には、いくつもの種類や部品があり、修理方法も様々なので、工務店に相談して決めていきましょう。
また、あなたが劣化だと思われる部分も被災の可能性があり、火災保険から補修代金が出る可能性が高いです。
「まだ、大丈夫だろう」と、雨樋の破損を放置しているとお家の土台が腐食してしまい、お家の内部に影響を与える可能性があるため、早めに工務店に連絡を!!