屋根塗装で失敗しないために|タイミング・費用・塗料の基本がわかるガイド

屋根塗装で失敗しないために│タイミング・費用・塗料の基本gわかるガイド

屋根塗装は、屋根材の耐用年数を延ばすために行われる重要な工事の一つです。

屋根塗装の相場は、足場込みで50万円~と言われていますが、屋根材の種類や劣化の状態、使用する塗料や範囲により費用は大きく異なります。

今回の記事では、なぜ屋根塗装が必要なのか?という基本的な知識から、屋根塗装が必要なサインや工事の工程、屋根塗装に使われる塗料の種類や費用について詳しく解説します。

屋根塗装が必要な理由

屋根塗装が必要な理由

屋根は普段あまり目にする機会がなく、つい後回しにされがちです。

しかし、屋根は日々紫外線や雨風のダメージを直接受けているため、劣化が進みやすい部分でもあります。

屋根塗装は屋根材をしっかりと保護し、劣化を防ぐ役割があります。

結果として建物全体の寿命を延ばし、雨漏りやトラブルのリスクを減らすことにつながります。

また、塗装によって見た目の美しさも保つことができるため、快適で長持ちする住まいを維持するために、定期的な屋根塗装は欠かせません

  • 屋根材の保護
  • 雨漏りの防止
  • 美観の維持

これらの理由から、屋根塗装は必要なメンテナンスのひとつと言えます。

★塗り替えは10年が目安★

屋根塗装の周期は10年といわれています。

塗装が劣化してしまった屋根を放置すると、屋根材の劣化が進んでボロボロになり、雨漏りに繋がってしまう可能性があります

塗装を行うと、塗膜が先に劣化の影響を受けるため、結果として、建物全体の保護につながります。

そのため、一般的にはお家を建ててから10年くらいでの屋根塗装をオススメしています。

屋根塗装が必要なサインとは?

先にも申し上げたとおり、屋根が劣化する原因は紫外線や雨、風などの影響によるものです。

それでは、実際に屋根塗装が必要なサインを見てみましょう!

1│築10年以上である

築10年以上経っている

塗装必要度

屋根に使われている塗料にもよりますが、5~15年くらいで塗装が剥がれ始めます

築10年以上で今まで一度も塗装したことないという方は、屋根塗装をすることをオススメします。

2│屋根の汚れ・コケ

屋根の汚れ・コケ

塗装必要度

屋根の汚れが酷かったり、コケが生えている場合、屋根材の耐久性が低下してしまいます。

また、雨水を通すための道が詰まっていたり、コケが生えることにより、雨漏りを発生させる状況を作ってしまいます。

3│塗装が剥がれている

塗装が剥がれている

塗装必要度

屋根塗装が剥がれている場合は、剥がれている部分の屋根材から雨水などを吸収し、ひび割れを発生させる可能性があります。

また、ひび割れから雨漏りしてしまうこともあるので、至急屋根塗装が必要です。

屋根塗装って、どうやるの?

見積もりに「下地処理」や「下塗り」などの記載があるけれど、実際よく分からないということありませんか?

実際に屋根塗装がどのような工程で行われているのか紹介します。

1│下地処理

下地処理

下地処理は、地味な作業が多いですが、屋根塗装を行うにあたり最も重要な作業となります。

種類は主に高圧洗浄・ケレン作業・コーキング補修・セメント補修・パテ埋めなどの方法があります。

実際に施工する屋根の状態によって、プロの職人が判断し、施工不良にならないよう下地処理をします。

2│下塗り

下塗り

下塗りは、下地処理のあと最初に塗料を塗ることです。

下塗りをすることにより、塗装する屋根材のデコボコや細かい傷などを埋めて、きれいに整えてくれます。

また、下塗りをすることでムラが出来にくくなることに加え、あとに重ねる塗料がしっかりとくっついてくれるので、剥がれにくくもなります

★ チェックポイント ★

残念ながら、下塗りの工程を省略してしまう業者もあるようです。

その分、費用は抑えられますが、下塗りは屋根塗装する上で非常に大事な工程です。

業者を選ぶ時は、下塗りをしてくれる業者か確認すると良いでしょう。

【 番外編 】屋根塗装後の雨漏り・・・原因はタスペーサー?

タスペーサー

タスペーサーとは、スレート屋根の屋根材同材の部分にあえて隙間を作り、水分や湿気を排出するための部品のことです。

屋根塗装の実績がない業者だと、タスペーサーを知らないことも・・・

タスペーサーを差し込まないと適切な隙間ができず、雨水が排出されないため雨漏りの原因になることもあります。

もう一つの方法は縁切りといって、お好み焼きのヘラのようなもので、塗装後に屋根材同士の間にヘラを入れて敢えて切れ込みを入れる作業です。

屋根塗装をする場合は、タスペーサーか縁切りどちらかをやってくれる業者を選定しましょう!

こちらの記事で、縁切り・タスペーサーについて詳しく解説しています。

3│中塗り

中塗り

中塗りは、下塗りと上塗りの中間に塗る工程のことで、基本的に、上塗りと同じ塗料を塗ります

中塗りをすることにより、塗装による厚みが出て、屋根の塗装が長持ちします

また、この後の上塗りをしたときに塗りムラがなくなり、きれいな見た目になります。

★ チェックポイント ★

中塗りの工程を省略して、下塗りと上塗りのみを行う業者もあるようです。

中塗りがないと塗りムラができてしまったり、早く塗装が剥がれてしまう可能性があります。

結果的にコストがかかってしまうため、契約前に業者にしっかりと確認するようにしましょう

4│上塗り

上塗り

上塗りは、仕上げの塗装です。

1度塗りで終わった場合、色見本より薄く仕上がってしまったり、塗装の持ちも違うため、中塗りと上塗りの2回塗装するのがスタンダードとなっています。

中塗りで出来てしまった塗りムラをカバーしたり、お客様が求めるツヤや色に仕上げます。

また上塗りすることにより、使用している塗料に含まれる効果を長持ちさせることもできます

屋根塗装で使用する塗料の種類

屋根塗装で使用される塗料の種類を紹介します。

シリコン塗料

シリコン塗料

※画像引用:日本ペイント サーモアイSi

シリコン塗料とは、アクリルシリコンを基に、シリコン樹脂を混ぜたものからできている塗料のことです。

撥水性に優れており、見た目も光沢感があり、屋根を綺麗に見せ続けてくれるような塗料です。

また、耐用年数に対して価格が比較的リーズナブルなのも魅力の一つです。

シリコン塗料について、こちらの記事で詳しく紹介をしています。

フッ素系塗料

フッ素系塗料

※画像引用:日本ペイント サーモアイDF

多くの建材は紫外線が原因で劣化しやすいですが、フッ素系塗料に含まれるフッ素樹脂は、紫外線に壊されにくく、色あせなどの劣化を抑えることができます

また、フッ素系塗料は水と密着する性質があるため、雨が降った際に汚れが一緒に流れてくれたり、藻やカビの発生を抑える性質もあり、手入れの頻度が少ない点がメリットです

こちらの記事で、フッ素系塗料の解説をしています。

無機塗料

無機塗料

※画像引用:エスケープレミアム無機ルーフ

無機塗料とは、名前の通り樹脂成分に無機物が含まれている塗料のことです。

耐用年数が長く、汚れが付きにくいことやコケやカビの栄養源になる有機物の含有量が少ないため、コケやカビが生えにくいことなどがメリットです。

こちらの記事で、無機塗料について詳しく紹介しています。

ラジカル塗料

ラジカル塗料

※画像引用:日本ペイント ファインパーフェクトベスト

ラジカル塗料とは、顔料として配合している酸化チタンのラジカルを制御した塗料で、塗膜の劣化を抑える効果がある塗料です。

塗料の中に「ラジカル(劣化の原因になる物質)」の発生を抑える成分が入っていて、色あせやチョーキング現象など、塗膜の劣化を防いでくれる特徴があります。

こちらの記事でラジカル塗料について詳しく解説しています。

屋根塗装の相場

屋根塗装の相場

屋根塗装の費用相場は、一般的な30坪程度の住宅で40万~80万程度です。

屋根材の種類や塗料の種類、屋根の面積や工事の規模によって大きく変動します。

屋根材の種類

屋根塗装は、屋根材の種類によって費用が異なります。

これは、屋根材の形状や性質、塗料の吸収性や作業の難易度、勾配など屋根材によって施工工程が異なるためです。

  • 瓦屋根:1,500円~2,500円/㎡
  • スレート屋根:2,000円~3,000円/㎡
  • 金属屋根:2,500円~4,000円/㎡

塗料の種類

次は塗料の種類別の費用相場です。

一般的に、塗料が長持ちするほど高価になる傾向があります。

  • シリコン塗料:1,800円~3,500円/㎡
  • フッ素系塗料:3,000円~5,000円/㎡
  • 無機塗料:4,500円~5,500円/㎡
  • ラジカル塗料:2,500円~4,500円/㎡

屋根塗装費用の内訳と割合

屋根塗装の費用と言っても、費用は塗料だけではありません。

塗料費用以外に「工事費用(人件費)」や「足場費用」など含まれます。

全体の費用における、内訳の比率は塗装代20%・工事費(人件費)30%・足場代20%です。(その他諸経費が3割)

必ずしもすべての工事がこの比率にあてはまるわけではありませんが、見積書を受け取った際に塗料代が全体の70%になっていたり、足場代が50%だった場合は、業者に見積もりの内容について説明を求めることをおすすめします。

業者が答えられず説明をはぐらかした際は、その業者とは契約しないほうが良いでしょう

屋根塗装が不要な屋根材は?

建物全体を保護するために、屋根塗装が大事だとお伝えしてきましたが、実は屋根塗装が必要ない場合もあります。

それは、屋根材の種類によって耐久性や防水性が高いためメンテナンスの必要性が少ない、または不要な場合があるからです。

粘土瓦(日本瓦)

粘土瓦

粘土瓦は、高温で焼き固められているため、表面が非常に丈夫で劣化しにくい素材です。

塗装による保護が不要で、30年以上メンテナンスなしでも使えることが多いです。

そのため、基本的に塗装によるメンテナンスは必要ありません

瓦屋根について、こちらの記事で詳しく紹介しています。

アスファルトシングル

アスファルトシングル

次に、アスファルトシングルです。

アスファルトシングルとは、グラスマットとアスファルトを重ね、表面に細かい石粒を吹き付けた屋根材のことです。

アスファルトシングルは、防水性能が高く、塗装をしても屋根の機能や耐久性が向上するわけではないため、原則塗装は不要といわれています。

美観維持や表面の石粒の剥がれを防ぐために塗装するケースがありますが、使用できる塗料が限られているため、注意が必要です。

アスファルトシングルで有名なオークリッジについて、こちらの記事で詳しく紹介しています。

ジンカリウム鋼板

ジンガリウム鋼板に似ているガルバリウム鋼板

※上記写真はガルバリウム鋼板

ジンカリウム鋼板という言葉自体、聞きなれない人も多いかと思います。

実は、ガルバリウム鋼ととても似ている屋根材です。

ジンカリウム鋼板もアスファルトシングルと同様で、表面に天然石粒がコーティングされているタイプもあり、塗装による保護は必要ありません

アスファルトシングルと同様、基本的には塗装不要の屋根材です。

最後に

今回は、屋根塗装の必要性やタイミング、塗り替える理由、工事の流れ、塗料の種類や費用相場など、屋根塗装に関するさまざまな情報を解説しました。

屋根塗装工事は、決して安い買い物ではありません。

だからこそ、正しい知識を身につけて、納得できる判断をすることが大切です。

見積もりを受け取ったら、必ず内容を確認し、不明点があれば業者にきちんと説明してもらいましょう。

適切な情報をもとに判断すれば、きっと満足のいく屋根塗装工事ができるはずです。

屋根塗装は大きな出費だからこそ、正しい知識で備えることが大切です。

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2020年2月1日住宅知識,塗装