屋根の葺き替えとは?施工方法から屋根材の種類、費用相場や葺き替えが必要なサインなど徹底解説します!
屋根の葺き替え(ふきかえ)とは、既存の屋根材をすべて取り外して、丸ごと新しい屋根材に交換する工事のことです。
屋根材や下地を新しくすることで、屋根の耐久性が向上し、建物全体の寿命を延ばすことが可能です。
この記事では、屋根の葺き替え工事の施工方法や屋根材の種類、費用の相場や葺き替えが必要なサインなどを解説します。
屋根の葺き替えって何?
屋根の葺き替えとは、既存の屋根材を撤去して新しい屋根材に張り替える工事のことをいいます。
屋根工事の中では、金額も工事内容も大規模になり、屋根の葺き替え工事を行うと、お家の耐久性や耐震性を向上させることができます。
近年の日本では、地震が多く発生するため、重い屋根材(瓦やスレート)から軽い屋根材(ガルバリウム)に葺き替えをするお家が増えてきました。
屋根の葺き替えを考えるタイミングは?
葺き替えを考える目安は、一般的に20年〜30年といわれてますが、住んでいる周りの環境によって変わります。
屋根は家の中で最も紫外線、雨、風などの影響を直接受けているため、経年劣化をします。
例えば、屋根に日光が当たりずらい場合、雨が降ったあと、乾燥がうまくできません。
そのため、屋根が生乾きのような状態になり、湿気を好むコケや藻・カビが生えやすくなります。
「雨が降る→生乾きになる→コケや藻・カビが生える」この悪循環が屋根を痛めてしまい、屋根をボロボロにして、雨漏りの発生に繋がります。
その他にも紫外線による色褪せなどの劣化や台風や豪雨、雹(ひょう)などの自然災害による破損などがある場合は、屋根の葺き替えを考えましょう。
屋根の葺き替えが必要なサインとは?
屋根の状態を確認するために屋根の上に上がる人は少ないと思います。
そこで、ここでは、一般の人でも分かる屋根の葺き替えが必要なサインを具体的に3つ紹介します。
星の数が多いほど、屋根の葺き替えが必要です!
もし、当てはまるものがあれば、業者へ連絡し、無料調査をしましょう。
今まで一度も屋根のメンテナンスをしたことがない
葺き替えを考える目安でもお伝えした通り、屋根の寿命は一般的に20~30年といわれているため、築年数が一つのサインとなります。
そのため、築20年以上で一度も屋根のメンテナンスや修理をしたことがない場合は、屋根が劣化し、耐久性が低くなっている可能性があります。
「まだ大丈夫」と何もせずにいると、突然の台風や地震などの災害が起こったときに、屋根が壊れてしまうかもしれません。
屋根材の色褪せやカビ・苔(コケ)が生えている
屋根を見て、写真のような変色が目立つようになったら、劣化しているサインです。
もしかしたら、その変色は色褪せや苔(コケ)・カビ・藻の色かもしれません。
立地にもよりますが、日がよく当たる屋根は、色褪せが発生し、日が当たらない屋根は、苔(コケ)や藻・カビが発生します。
このまま放置してしまうと、屋根がボロボロになってしまい、雨漏りしてしまう可能性があります。
雨漏りや天井に雨染みがある
雨漏りや天井に雨染みがあるなど、家の中に何かしらの症状が出ている場合は、屋根材の破損や劣化などの異常が発生しているサインです。
室内に目に見える形で症状が現れているということは、目に見えないお家の内部がボロボロになっているかもしれません。
雨漏りは、早い段階で原因を見つけることができれば、最小限の修理で解決できますが、発見が遅れるほど、大規模な修理になります。
大規模になるほど、かかる費用も多くなるため、可能な限り、早く、業者へ連絡しましょう。
葺き替え工事の相場と内訳
以下は、今の屋根材(スレート・ガルバリウム・瓦)から葺き替え工事をした場合の一般的な費用相場です。
- 瓦屋根:100~270万円程度
- スレート屋根:70~200万円程度
- ガルバリウム鋼板:80~210万円程度
費用は、古い屋根の廃材処分費や新しい屋根をどの屋根材にするか、屋根の面積はどのくらいかなどによって、大きく費用が変わります。
特にスレート屋根でアスベストが含まれている場合は、2倍以上の廃材処分費や資格保持者が監督する必要など、さまざまなルールがあるため、費用が高くなる傾向があります。
お家のスレート屋根がアスベスト入りか知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。
葺き替え工事費用の詳しい内訳を公開!!
さらに詳しく葺き替え工事の相場内訳を以下の表で簡単にまとめました。
足場費用 | 700円~/㎡ |
足場養生シート | 200円~/㎡ |
既存屋根の撤去 | 1,200円~/㎡ |
下地の設置 (野地板) |
2,000円~/㎡ |
防水紙の設置 (ルーフィング) |
600円~/㎡ |
新しい屋根材の設置 (スレート) |
4,500円~/㎡ |
新しい屋根材の設置 (ガルバリウム鋼板) |
6,000円~/㎡ |
新しい屋根材の設置 (アスファルトシングル) |
5,000円~/㎡ |
棟の設置 | 2,000円~/㎡ |
付属部の設置 (ケラバなど) |
1,500円~/㎡ |
屋根で使われている屋根材は5種類
屋根で使われている屋根材は主に瓦・スレート・ガルバリウム・トタン・アスファルトシングルの5種類あります。
それぞれの特徴を詳しくご紹介します。
瓦屋根
一昔前は、瓦屋根が主流で、瓦の寿命は、50年以上を超え、耐久性は他の屋根材と比べて非常に優れています。
粘土瓦は、劣化しても味が出るような美しさがあり、今でも人気がある屋根材です。
瓦屋根の弱点
しかし、近年、地震の影響で瓦屋根のお家が倒壊している動画や写真を見たことがあると思います。
瓦の弱点は、瓦の1枚の重さ(約3kg)と安全性の低い引っ掛けるだけの施工方法です。
地震での被害の多さから、新しい工法(ガイドライン工法)が義務化されたりと、地震が発生しても倒壊しないような施工方法に変わっています。
もっと瓦屋根について詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
スレート屋根
スレートは、価格・耐久性・重さも瓦の半分以下のため、多くのお家で使用されています。
スレートの代表的な製品に「コロニアル」「カラーベスト」があり、スレートの代名詞になるほど、認知度が高いです。
スレート屋根について詳しく知りたい人は、こちらの記事をご覧ください!
スレート屋根のアスベスト問題
ご存知の人も多いと思いますが、“アスベスト"という有害物質が含まれているスレート材が発見され、現在、アスベスト入りのスレート材は廃盤になっています。
今でもアスベスト入りのスレート屋根は、一部存在しています。
しかし、廃棄費用が高額なため、費用面から既存の屋根材の上に新しい屋根材を被せるカバー工法を選択して工事する人も多いです。
カバー工法について詳しく知りたい人は、こちらの記事をご覧ください!
スレート屋根のノンアスベスト問題
その後に販売されたノンアスベストと呼ばれるアスベストが入っていないスレート材も劣化が早いなどの問題から販売が終了しています。
ノンアスベストの代表的な製品に「パミール」や「セキスイかわらU」がありますが、一部のお家でこの2つの屋根が利用されたままになっています。
こちらの記事でパミールの見分け方や問題点などを紹介していますので、気になる人はご覧ください。
スレート材は、さまざまな問題を乗り越えながら、「コロニアル」「カラーベスト」のような製品が生まれるまで生き延び続けました。
ガルバリウム鋼板屋根
ガルバリウム鋼板は、現在、一番人気があるといっても過言ではないくらい多くのお家の屋根で利用されています。
特に瓦屋根やスレート屋根からの屋根工事(葺き替え工事やカバー工法)で新しい屋根材をガルバリウム鋼板にしたいお客様が多くいらっしゃいます。
ガルバリウム鋼板は金属で軽いため、耐震性が高く、もし、地震が発生しても倒壊する心配が少ないです。
また、サビやすい金属特有の弱点もアルミニウムと亜鉛によるメッキ層があるおかげで、サビにくくなっています。
ガルバリウム鋼板の弱点
唯一の弱点が金属のため、雨が降ったときの雨音がうるさいと感じる人もいるので、音に敏感な人は避けたほうがいいかもしれません。
そんな中で音に敏感な人にもおすすめできる製品が「横暖ルーフ」や「スーパーガルテクト」です。
この2つの製品の特徴は、ガルバリウム鋼板の下に断熱材(断熱材一体型という)がついており、この断熱材を雨音を吸収するため、防音効果があるとされています。
ガルバリウム鋼板は、私たちのようなリフォーム業者や工務店も自信を持って、おすすめできる屋根材です。
ガルバリウム鋼板について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください
トタン屋根
一昔前に普及した屋根材で、写真のような波板トタンや瓦棒(かわらぼう)を使った縦葺きの金属屋根です。
トタン屋根の寿命は、約15~20年とされていますが、錆びやすくメンテナンスが必須です。
そのため、近年は同じ金属でサビにくく、メンテナンスも少ないガルバリウム鋼板に葺き替える人が非常に多くなっています。
以下の記事でトタン屋根とガルバリウム鋼板の違いについて解説しています。
アスファルトシングル
アスファルトシングルは、シート状の屋根材で複雑な屋根にも施工が可能な屋根材です。
主に北米などの海外で主流の屋根材で、寿命は15年〜30年といわれています。
専用のハサミで思い通りの形に切ることもでき、曲げてもいいので、よくある屋根が割れる・サビができるなどがありません。
代表的な製品は「リッジウェイ」「オークリッジ」です。
こちらの記事でオークリッジとリッジウェイの違いなどについて書いていますので、ご覧ください。
アスファルトシングルの弱点
シート状の屋根材のため強風に弱く、剥がれたり、破れることがあります。
そのほかにも表面が石粒コーティングされているため、石粒が落ちてきたり、汚れが目立ちやすいデメリットがあります。
屋根の葺き替え工事の施工方法は?
屋根の葺き替えの工事は、屋根の大きさ(面積)にもよりますが、約1週間〜2週間程度で施工が完了します。
では、実際の施工はどのように行っているのか見てみましょう。
今回は、瓦屋根からアスファルトルーフィングに葺き替えをしたときの工事を紹介をします。
1|既存の屋根材などの撤去
既存の屋根材や下地・防水シートなど、全て撤去します。
葺き替え工事を行う場合、屋根材を全て取り去うため、天候が大きな影響を及ぼします。
もし、工事中に雨が降ると、室内にそのまま雨水が入り、大惨事になってしまいます。
そのため、葺き替え工事は、雨の多い時期を避け、連続で晴れている日を選んで施工をします。
2|野地板の設置
野地板は、屋根材の下地になる板のことです。
野地板がなければ、これから施工するルーフィング(防水紙)や屋根材を固定することができません。
野地板は、増し張り(重ね張り)を行いますが、腐食や劣化が進んでいる場合は、既存の野地板を撤去し、新しい野地板に交換する場合もあります。
3|ルーフィング(防水紙)の設置
ルーフィング(防水紙)の設置をします。
ルーフィングを設置することで、屋根材の隙間から入ってしまった水をスムーズに外へ排出してくれます。
ここまで施工できれば、施工中に雨が降っても、ルーフィングで防水ができているので、室内に雨が入ることはありません。
4|屋根材の設置
屋根材の設置に必要な役物(唐草など)の取り付けをしたら、新しい屋根材の本体を設置します。
屋根材は下から順番に設置し、お家の形に合わせながら、屋根材の施工ルールに従って、しっかり施工します。
屋根材の本体の設置が終わったら、棟板金などの仕上げ部材を取付して工事完了です。
屋根工事の施工実績をもっと見たい人はこちらをご覧ください。
まとめ
今回は、屋根の葺き替えを考えるタイミングや劣化サイン、屋根材の種類などを紹介しました。
お家は、永く住み続ける場所です。
「何か起こってから・・・」と考える人が多いですが、その考えはとても危険です。
「何か起こってから」ではなく、“何かが起こる前"にメンテナンスをすることで、突発的な状況(地震や台風といった自然災害など)にも、最小限の被害で済む可能性があります。
屋根の葺き替え工事は、屋根工事の中でも高いため、金額面で迷われる人も多いと思います。
しかし、屋根材によっては、一度葺き替えただけで、その後のメンテナンスはしなくても大丈夫!といわれている屋根材もあります。
そのほかにも、金額を抑えるためのリフォーム方法や火災保険を使ったり、補助金を使ったりなど金額を抑えながらメンテナンスする方法はたくさんありますので、少しでも気になった人は、お気軽にご相談ください!